AIビジビリティ(AIの可視性)とは、ChatGPTやGeminiなどの生成AIが作る回答の中で、自社ブランドがどれだけ登場し、どう扱われているかを表したものです。AIの回答から情報収集を始めるユーザーが増えつつあるいま、回答に自社が登場するか、どう説明されているかが、マーケティングや広報の現場で注目され始めています。
本記事では、AIビジビリティの意味やSEOビジビリティとの違い、言及率や引用元といった測定指標、向上のために押さえたいポイントを解説します。
AIビジビリティ(AIの可視性)とは
AIビジビリティが重要な理由
SEOビジビリティとの違い
AIビジビリティを測る主な指標
AIビジビリティ向上のために押さえたいポイント
AIビジビリティに関するよくある質問
まとめ|AIビジビリティを測定し、AI検索上のブランド露出を可視化しよう
AIビジビリティ(AIの可視性)とは
AIビジビリティとは、ChatGPTやGemini、AI Overviewsなどの生成AIが作る回答に、自社ブランドがどれだけ登場し、どのように扱われているかを表したものです。「AIの可視性」とも呼ばれます。
AIビジビリティは、以下のような要素で評価されます。
- AI検索での回答に、自社名や自社の商品名が登場したかどうか
- 自社サイトのページがAI回答に引用されたかどうか
- 自社がどのように語られたか
AIビジビリティでは、AI回答で自社ブランドがどのくらい言及・引用されたかどうかという量のみならず、どのように言及・引用されたかという質も重要とされています。情報の正確さや好意的かどうかというセンチメントなども、評価される要素です。
「言及」「引用」「推薦」はそれぞれ意味が異なる
AIビジビリティを考えるうえで最初に区別しておきたい用語が、「言及」「引用」「推薦」の3つです。AI回答において、自社ブランドが「言及される」「引用される」「推薦される」という意味は以下のとおりです。
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 言及(Mention)される | 自社名や自社商品名がAI回答の文中に登場する |
| 引用(Citation)される | 自社のWebサイトがAI回答の根拠として示される |
| 推薦(Recommendation)される | AI回答で自社や自社商品が薦められる |
ブランドが推薦されることは、言及されることの一部に当たります。言及と推薦は引用された文の中にあり、AIはあくまで引用のみを行います。
自社ブランドが言及された場合は、回答の位置も注目しておきたいところです。文章の上部の目につきやすいところか、クリックしないと見られない位置にあるのかで、ユーザーへのブランド認知の影響が変わります。
AIビジビリティは「量」だけでなく「語られ方」も対象にする
AIビジビリティは、言及・引用・推薦のすべてが含まれるといえます。言及や引用された量だけでなく、内容も重要です。「推薦」のように自社が好意的に扱われているかどうかのほか、情報の正確さ、競合と比べられている軸などもAIビジビリティの評価対象に含まれます。自社のブランドイメージが狙いどおりに確立されているかどうか、AIビジビリティで捉えておきましょう。
AIビジビリティが重要な理由
AIビジビリティは、自社のブランドイメージを作り、ユーザーの購買行動にも影響を与えるため重要です。
従来からあるWeb検索では、結果の一覧からページをいくつか開き、読み比べながら答えを探すのが一般的でした。しかし現在は、検索するとAIがWeb上の情報を要約したものが自動的に提示されます。Webサイトをクリックしなくても回答が得られるため、検索結果一覧よりもAI回答が参考にされるようになってきています。
「おすすめの◯◯は?」「◯◯に強い会社は?」といったユーザーの質問に対してAI回答に挙げられた数社は、そのまま比較の候補になります。さらにユーザーが自社名を使って検索すると自社の詳細が回答に引用され、内容によってはブランドイメージにも影響があります。
自社の第一印象がAIの回答で作られつつある以上、AIにどう語られているかを把握するAIビジビリティが重要になっているのです。特にB2Bが扱う商材は検討期間が長いため、AIビジビリティの影響も長く続くと考えられます。
SEOビジビリティとの違い
SEOビジビリティとは、検索結果において特定のWebサイトが表示される程度を表したものです。AIビジビリティとの主な違いを表にまとめました。
| SEOビジビリティ | AIビジビリティ | |
|---|---|---|
| ユーザーの行動 | 検索結果の一覧からWebサイトを選んで訪問する | AI回答を閲覧する |
| 主な指標 | 検索結果順位、表示回数、クリック率、各キーワードの検索ボリューム | 言及率、引用率、自社の取り上げられ方(センチメント、推薦など)、情報の正確さ |
SEOビジビリティは順位や表示回数など量が指標とされるのに対し、AIビジビリティは量だけでなく質も指標となるのが相違点です。しかし、SEOビジビリティはコンテンツの質によっても影響されるため、質も重要視されています。
SEO対策とAI回答の引用対策は、共通点も少なくありません。クローラーが読み取れる構造や、質の高い情報、サイト全体の信頼性といったSEO対策はAIの最適化にも活かすことができます。
GEO・LLMO・AIOとの関係
GEO(生成エンジン最適化)・LLMO(大規模言語モデル最適化)、AIO(AI最適化)とは、AI回答で引用されるようにシステムやテキスト構造を最適化することです。SEOが検索エンジンを対象とするのに対し、GEO・LLMOは生成AIを、AIOはAIシステム全般を最適化の対象とします。
GEO・LLMO・AIOは、AIビジビリティを向上させるための対策の一つといえます。ただし、あくまで引用に関する部分のみであり、AI回答でポジティブな言及を増やすには、別の対策が必要です。
▶︎あわせて読みたい:GEOとは?SEOとの違い・具体的な実践方法・マーケティングでの重要性を解説
▶︎あわせて読みたい:LLMOとは? SEOとの違い・具体的な対策・ツール活用を解説!
AIビジビリティを測る主な指標
AIビジビリティの主な指標として以下の5つを紹介します。
- ブランド言及率・言及回数
- 引用率
- AI SOV(シェア・オブ・ボイス)
- センチメント・文脈・回答の正確性
- AI経由の流入数・指名検索数・コンバージョン率
複数の指標を組み合わせることで、AI上での自社状況を把握できます。AIモデルや地域、測定日によってAI回答内容は変わるため、一定の条件のもとで計測を続けることがポイントです。
ブランド言及率・言及回数
ブランド言及率とは、あらかじめ用意したプロンプト(質問)のうち、何割のAI回答に自社ブランドが登場したかを示す数値です。AI回答内で何回自社ブランド名が出たかという言及回数を測る場合もあります。
自社ブランドの言及率と言及回数はプロンプトの設計しだいで変わるため、関連のある質問を複数用意しておくとより正確に測ることができます。言及された引用元から、どのようなサイトや場面で自社が言及されやすいのかを確認しておくことも大切です。
▶︎あわせて読みたい:AI検索のブランドメンションとは?ツールを活用した測定・改善方法
引用率
あるプロンプトに対する回答として、自社サイトが参考にされた割合が引用率です。AIはWeb上にある情報を参考にして回答を生成し、参考にしたサイトをリンクや出典の形で示します。
自社サイトがAIに引用されるということは、ユーザーが求める答えをサイトで与えられているということです。また、Google AI OverviewsはE-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)が重視されているため、引用率が高いということは信頼できるサイトとして認識されたということでもあります。言及率と引用率は異なるため、別々の測定が必要です。
▶︎あわせて読みたい:AIに引用されるブランドになるには?AI検索で選ばれる7つの対策
AI SOV(シェア・オブ・ボイス)
AIにおけるシェア・オブ・ボイスとは、同じプロンプトの回答に自社が競合と比べてどれだけ言及されたかを表す割合です。認知・比較・選定といった購入までの段階ごとや商品ごとにプロンプト(質問)を用意すると、自社の傾向が明確になり、施策に活かすことができるでしょう。
▶︎あわせて読みたい:AI検索におけるブランド競合分析とは?ツールを使った比較方法
センチメント・文脈・回答の正確性
センチメントとは、文章に込められた感情のことです。ポジティブ・中立・ネガティブに分けて判定され、それぞれの割合や決められたスコアの合計などで算出されます。AIの回答では、自社が好意的に紹介されているのか、否定的に触れられているのかを測る指標になります。
センチメントは背景や文脈を読み取ることが重要です。特に、センチメントをツールで測った場合は、条件付きの評価や皮肉が読み取れないこともあるため、人の目で確認する必要もあるでしょう。ネガティブな言及の引用元をたどったら、誤情報が元になっていることが判明するケースもあり、情報の訂正や謝罪などを速やかに行うことが大切です。
AI経由の流入数・指名検索数・コンバージョン率
AI経由の流入数・指名検索数・コンバージョン率は、AI上の露出がビジネスの成果につながっているかを確かめる指標です。
AI回答から自社サイトへ流入した数は、GA4などのアクセス解析ツールで確認できます。また、自社名を使って検索された指名検索数の推移は、Google Search Consoleなどで確認が可能です。コンバージョン率は、自社サイトの訪問者のうち、問い合わせや資料ダウンロードの件数など自社が定めた目標に達した人の割合を指します。言及率や引用率と照らし合わせることで、AIビジビリティとの関連性を見ることができます。
AIビジビリティ向上のために押さえたいポイント
AIビジビリティを向上させるために押さえておきたいポイントとして、以下の4つが挙げられます。
- AI向けのテクニックより、ユーザーに価値ある情報を優先する
- ブランド情報の一貫性と正確性を保つ
- 部門をまたいで連携する
- 短期の変動ではなく中長期的な傾向で判断する
それぞれ詳しく解説します。
AI向けのテクニックより、ユーザーに価値ある情報を優先する
まず気を付けたいのが、AIへの露出だけを狙った小手先の施策に走らないことです。引用されることを目的に、似たようなページを大量に作ったり、Q&Aやブランド名を不自然に詰め込んだりするやり方は、読者の信頼を損ないます。Googleも公式ガイドで、生成AI向けの特別なファイルや書き方は必要ないと説明しています。
重要なのは、ユーザーにとって価値のある情報を発信することです。Google AI Overviewsでは、E-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)が重視されています。独自の調査や実体験、具体的な数字、専門的な解説を備えたコンテンツは、AIに引用されやすいといえます。SEO対策で大切にされてきた考え方は、AI検索にも応用できるということです。
参照:Google検索セントラル「Google 検索の生成 AI 機能向けに最適化するための Google のガイド」
ブランド情報の一貫性と正確性を保つ
Web上で自社情報が一貫していると、AI回答での自社情報も正確なものになります。特に、自社サイトは一次情報として参考にされることが多いため、サイト内での名称や料金、機能、対象者、所在地が統一されているか確認しましょう。サイトを更新する担当者を決め、料金改定や機能変更の際にページを修正できる体制を整えておきます。
部門をまたいで連携する
AIビジビリティの改善はブランディング施策にもなるため、社内の1つの部門だけでは完結しません。例えば、Webサイトの他に広告や店舗なども含めた自社からの発信に一貫性を持たせることで、情報の正確性が保たれます。また、PR担当がプレスリリースなどメディア掲載を行い、それを自社サイトやSNSでも発信すると、Web上での自社の露出を増やすことにつながります。
部門をまたいで動くには、言及率・引用率・センチメント・競合との比率・流入数やコンバージョン率を、共通のダッシュボードで確認できるようにしておくと良いでしょう。
短期の変動ではなく中長期的な傾向で判断する
Web上の情報やAIシステムは変わり続けるため、生成AIの回答は、同じ質問でも日によって変わります。自社の名前が出ても翌週には消えるといったことが起こり、1回の測定だけで施策の良し悪しは判断できません。決まったプロンプトやAIモデルなど測定条件をそろえて、中長期的に測定を続けましょう。
AIビジビリティに関するよくある質問
AIビジビリティについて、3つの質問に回答します。
検索順位が高ければ、AIビジビリティも高くなりますか?
検索順位とAIビジビリティには、関連性があります。SEO対策とAI回答の引用対策は共通するものが多く、AIが引用するのは検索順位上位のサイトがほとんどです。ただし、AIビジビリティは引用率だけでなく、言及率や言及されている内容も考慮されるため、検索順位と完全には連動しません。
AIビジビリティは無料で確認できますか?
はい、手作業であれば、費用をかけずに始められます。重要な質問を10個ほど決めて主要なAIに入力し、回答の内容と日付を記録するだけでも、自社の現状把握に役立つはずです。複数のAIモデルを使って、大量の回答を長期間にわたって追い続ける場合は、有料のツールを検討すると良いでしょう。
AIビジビリティを高めるには、SEOはもう不要ですか?
いいえ、不要にはなりません。GoogleはAI検索機能について、特別な最適化は必要なく、従来のSEOのベストプラクティスがそのまま通用すると案内しています。クロールやインデックスの整備、読者に役立つ情報、分かりやすいサイト構造といった要素は、AI検索でも変わらず求められます。
参考:Google 検索の生成 AI 機能向けに最適化するための Google のガイド
まとめ|AIビジビリティを測定し、AI検索上のブランド露出を可視化しよう
AIビジビリティとは、生成AIの回答の中で、自社ブランドがどれだけ登場し、どのように扱われているかを表したものです。AIの回答だけで情報収集や比較を済ませるユーザーが増えたいま、検索順位とは別の物差しとして押さえておく必要があります。
測定では、言及率や引用元、AIシェア・オブ・ボイス、センチメント、AI経由の流入数などを確認します。1回の結果で判断せず、条件をそろえたうえで一定期間傾向を読み、公式情報の整備や部門をまたいだ改善へつなげていきましょう。
複数のAIをまたいで、自社と競合の言及や引用元、語られ方の変化を続けて追う場合は、MeltwaterのGenAI Lensのようなモニタリングツールが役立ちます。詳細は下記をご覧ください。
この記事の監修者:
宮崎桃(Meltwater Japanエンタープライズソリューションディレクター)
国際基督教大学卒。2016年よりMeltwater Japan株式会社にて新規営業を担当。 2020年よりエンタープライズソリューションディレクターとして大手企業向けのソリューションを提供。 ソーシャルメディアデータ活用による企業の課題解決・ブランディング支援の実績多数。 趣味は映画鑑賞、激辛グルメ、ゲーム
