検索エンジンで情報検索するとAIの要約が回答として表示され、検索結果一覧のWebサイトをクリックしなくても回答が得られるようになりました。AIはWeb上から適切な情報を探し出し、回答を生成します。自社ブランドが情報の参考元になれば、ユーザーの目に触れるようになり、認知拡大などにつながります。
本記事では、AI検索におけるブランドメンションの意味や、どんな質問で名前が挙がるのか、量・質・背景の3層で評価する方法、ツールを使った測り方と注意点を解説します。
AI検索におけるブランドメンションとは
AI回答内でブランドメンションが重要な理由
AI検索ではどのような質問でブランドが言及されるのか
AI検索でのブランドメンションは「回数」だけで評価しない
ツールを活用してAI検索でのブランドメンションを測定する
AIブランドメンションを分析する際の注意点
AIのブランドメンションに関するよくある質問
まとめ|ツールでAIブランドメンションを継続観測し、ブランド戦略へつなげよう
AI検索におけるブランドメンションとは
AI検索におけるブランドメンションとは、ChatGPTやGemini、Claude、Perplexity、Google AI Overviewsなどが生成する回答の中に、企業名や商品・サービス名が登場することを指します。
通常のWeb検索と同様に「〇〇のおすすめは?」「A社とB社のどちらの商品が費用対効果が高い?」「◯◯に強い会社は?」といった質問を検索バーにユーザーが入力すると、AIがWeb上から回答を探し出して要約を生成します。要約の中に自社ブランド名があれば、AI検索でブランドメンションされたことになります。企業や商品の例示のほか、調査データの出どころとして自社名が取り上げられることもあります。
AI回答は、通常の検索結果一覧よりも上部に表示されるのが特徴です。自社ブランドがメンションされれば、ユーザーがブランドを認知するきっかけになります。
▶︎あわせて読みたい:AIビジビリティとは?AI検索でのブランドの測定指標・ポイントを解説
一般的なブランドメンションとの違い
一般的なブランドメンションとAIブランドメンションの主な違いは次のとおりです。
| 一般的なブランドメンション | AIのブランドメンション | ||
|---|---|---|---|
| 言及される場所 | ニュース、SNS、ブログ、口コミサイト | AIにより生成された回答 | |
| 言及の量や質を測る指標・基準 | 投稿数、リーチ、エンゲージメント、正確性、センチメント | 言及率、AIモデル・日時・地域などのカバレッジ、回答内の位置、正確性、センチメント、引用元 | |
| 言及の要因/ | 報道、キャンペーンw | 質問文、会話履歴、AIモデル・日時・地域などのカバレッジ、引用元 | |
| 言及されたコンテンツへの対応方法 | 投稿者への返信や訂正依頼ができる | 回答への返信や書き換えは通常できない |
一般的なブランドメンションは、SNSやニュースサイトなどWeb上で企業名や商品名が言及されることです。Web上にあるため、コンテンツが削除されない限り記録は残ります。
対して、AI回答は複数のWeb情報をもとに生成された文章です。生成したAIの種類や日時、地域によって回答は変化し、Web上に記録は残りません。ブランドメンションの測定時には、回答文だけでなく条件も記録しておくことが必要です。
言及されたコンテンツへの対応方法についても、一般的なブランドメンションならSNSで投稿者へ返信したり、メディアへ誤報の訂正依頼をしたりできますが、AIの回答には返信ができません。回答の材料になり得る公式情報やメディア、SNS、口コミ、顧客体験などで対策を整えることが実務の打ち手になります。
▶︎あわせて読みたい:ソーシャルリスニングとは?最新事例・始め方ガイド・ツール活用を解説
AI回答内でブランドメンションが重要な理由
AI回答内の言及を把握する重要性が高まっている理由は以下の3つです。
- ブランドの第一印象をつくる
- 言及されないと比較・検討の候補から外れる可能性がある
- 誤情報やブランド評判を把握できる
それぞれ詳しく解説します。
ブランドの第一印象をつくる
AI回答は、従来からある検索結果の一覧よりも上部に表示され、ユーザーの目につきやすいのが特徴です。そのため、AIの回答だけで満足するユーザーが増え、検索結果の一覧にあるWebページのリンクはクリックされなくなってきました。Ahrefsの日本市場での調査では、2025年12月から2026年6月の間に、検索順位1位のクリック率は24.7%下がったとのことです。AI回答でのブランドメンションが、ブランドの第一印象を作るといえます。
参考:AI 概要で検索 1 位の CTR が半年で -62.7 % に激減| Ahrefs 調査
言及されないと比較・検討の候補から外れる可能性がある
ユーザーが「おすすめの◯◯は?」「◯◯ができる会社は?」のような質問をしたとき、回答に自社が挙がらなければ、比較検討の候補から外れる可能性があります。ユーザーがAI回答で十分と感じれば、回答内に出てきたブランド名での比較が行われることになるでしょう。すべての質問で言及される必要はありませんが、顧客の意思決定に影響する質問の回答で言及されると、売上につながる可能性があります。
▶︎あわせて読みたい:AI検索におけるブランド競合分析とは?ツールを使った比較方法
誤情報やブランド評判を把握できる
ブランド名が出れば成功とは限りません。以前の価格や終了した機能、対応していない地域などの誤った企業情報や、根拠のない否定的なレビューは、ユーザーの信頼を低下させます。
情報の誤りなら訂正をし、ネガティブなコメントでも正当な指摘なら商品やサービスの改善へとつなげるのが得策です。AIの回答は、自社サイトの記事のように直接書き換えられるわけではありません。引用元と原因を確かめ、適切に対応していくことが求められます。
AI検索ではどのような質問でブランドが言及されるのか
AI検索でブランドが登場する質問は、顧客が情報を探し始めてからブランドを選び終えるまでの流れに沿って、以下の3段階に分けられます。
- 課題の解決方法を聞く質問
- おすすめを聞く質問
- 比較・評価について聞く質問
ブランド名は回答のなかで、事例や調査データの参考元としてメンションされます。段階ごとに詳しく解説します。
課題の解決方法を聞く質問
課題解決のために情報収集する段階では、ユーザーはまだ特定のブランドを使った質問はしません。以下のような質問が考えられます。
質問例:「SNS上の自社の評判を把握する方法は?」
「オフィス移転の手続き」
「にきびを抑えるには」
課題解決策としてブランドメンションされるには、自社の専門領域に関するコンテンツをあらかじめ提示しておくことが重要です。専門領域以外で言及された場合は、AI側の理解と提供価値がずれていることになるため、自社サイトや広告などの発信内容を見直す必要があるでしょう。
おすすめを聞く質問
ある程度の情報収集ができたら、特定のカテゴリでのおすすめなど、より解決につながる質問が出てきます。例えば、以下のような質問です。
質問例:「SNS分析ツールでおすすめは?」
「オフィス移転はどこの業者がいい?」
「にきび対策ができる化粧水」
おすすめの質問に自社がメンションされていたら、購入の比較検討の対象となることが期待できます。メンションされた基準を確認しておくと、自社の強みも見えてくるでしょう。
比較・評価について聞く質問
複数の企業との比較や評価について聞く段階では、以下のように直接ブランド名を使った質問が予測されます。
質問例:「A社とB社のツールは、どちらが使いやすい?」
「〇〇という業者の評判は?」
「化粧水〇〇の効果は?」
特定の企業や商品の情報が検索されるため、言及率よりもAI回答の内容が事実と合っているかが重要になります。好意的な評価だけでなく、クレームも明示される可能性があり、改善に向けた対応や誤情報の通知などが必要なこともあります。
AI検索でのブランドメンションは「回数」だけで評価しない
AI検索のブランドメンションは、何回出たかを数えるだけでは評価できません。以下の表のように、どう説明されたかという質、なぜそう説明されたのかという背景まで読み解きましょう。
| ブランドメンションの評価基準 | 主な指標・考慮すること | 改善策 |
|---|---|---|
| 量(どれだけ自社名が出ているか) | 言及率、AIや地域などのカバレッジ、回答内の位置 | コンテンツ作成、メディア露出の増加、第三者サイトへの掲載 |
| 質(どのようなブランドとして説明されているか) | センチメント、情報の正確さと新しさ、AIや地域などのカバレッジ | コンテンツ作成、公式情報の更新、ブランドメッセージの発信、商品・顧客体験の見直し |
| 背景(なぜそう説明されたのか) | トピックなどのカバレッジ、併記される競合、引用元、時系列の推移 | コンテンツの種類の最適化、商品・顧客体験の見直し、口コミへの対応、季節に合わせたイベント開催 |
ブランドメンションの評価基準をそれぞれ詳しく解説します。
量|カバレッジを考慮した言及率・回答内の位置
言及率とは、追跡している質問のうち自社のブランド名が何割出たかを示す数値です。20個の質問を追っていて6個の回答に名前が出れば、言及率は30%になります。
計算する上では、追跡する質問のカバレッジ(範囲)を設定する必要があります。カバレッジはChatGPTやGeminiなどのAIプラットフォーム、測定時期、地域、言語、トピックなどです。カバレッジによって言及率は変わることがあり、同じ条件のもとで定期的に言及率を測定することがポイントになります。
また、回答内で自社が言及された位置も重要です。目につきやすい上部にあったり、「続きを読む」などをクリックしないと見られないような箇所にあったりすることもあります。位置の基準を決めて、それぞれの回数を測定しておくと、よりAI回答での自社状況が把握できます。
質|文脈・センチメント・ブランド情報の正確性
質の評価では、回答の内容を読み取ります。ポジティブかネガティブかのセンチメントや、情報の正確さなどを確認します。
「好意的だが、情報が以前のものになっている」ということもあるかもしれないため、公式サイトの記載や実際の顧客の声と突き合わせ、自社で対応できる部分は修正する必要があります。センチメントはツールにより自動的に測ることもできますが、皮肉や条件付きの評価は読み違えられることがあるため、重要な質問の回答は担当者の目で確認しておくと安心です。
▶︎あわせて読みたい:センチメント分析とは?メリットや活用法、注意点を解説
背景|トピック・競合・引用元・時系列変化
背景の評価では、なぜ言及が生まれたのかをたどります。どのトピックで名前が挙がり、どの競合と並べられ、どのサイトが引用元になっているかを分析すると、原因の見当が付き、施策の改善につなげることができます。
時期による変化も手がかりです。新製品を出した後、大きく報道された後、レビューサイトの評価が動いた後で、AIの説明が変わっていないかを比べてみましょう。引用元の情報だけでなく、メディアやSNSのデータなど、複数の情報を突き合わせて検証することがポイントです。
▶︎あわせて読みたい:AIに引用されるブランドになるには?AI検索で選ばれる7つの対策
ツールを活用してAI検索でのブランドメンションを測定する
ブランドメンションを確認する際に、参考にする質問が数個であれば、手作業でも分析できます。しかし、複数のAIをまたいで定期的に大量のAI回答を分析する場合は、AI上での言及を自動で集めるツールが有効です。
MeltwaterのGenAI Lensは、AI上でブランドがどう語られているかを可視化するモニタリングツールです。ユーザーが投げかける質問を指名・非指名のプロンプトに分けて登録しておくと、ChatGPTやGemini、Claude、Perplexity、Google AI Overviewsなどの主要なAIプラットフォームで、自社や商品の言及の頻度が追跡できます。
他にも、説明の正確さ、センチメントと文脈、引用元、時系列の変化などが分析可能です。登録した質問群の中で各ブランドがどのくらい占めたのかという「シェア・オブ・ボイス」も測定できるため、競合ブランドの捉えられ方も把握できます。
大量のデータを分析することで客観的に自社状況を把握でき、広報・PR、コンテンツ、ブランド施策の改善につなげられるでしょう。
▶︎GenAI Lensの詳細について学ぶ:LLMモニタリングツール「GenAI Lens」
AIブランドメンションを分析する際の注意点
測定した数値を社内で共有する前に、押さえておきたい注意点が3つあります。
- 言及率・AIのSOVの定義をそろえる
- 観測事実と原因仮説を分ける
- AI回答を直接コントロールできると考えない
それぞれ詳しく解説します。
言及率・AIのSOVを定義づける
同じ「言及率30%」でも、測定条件を考慮する必要があります。対象にした質問、回答の取得数、比較に入れた競合、使用したAI、測定期間などが変われば、言及率も変化します。レポートには、測定条件を必ず書き添え、同じ条件のもとで定期的に測定するようにしましょう。
「言及率」と似た指標に、「シェア・オブ・ボイス(SOV)」があります。競合との相対的な露出度を表す数値であり、全市場に対する露出を示すものではないため注意が必要です。
観測事実と原因仮説を分ける
ブランドメンションについて記録するときは、事実と推測を分けて書きます。「〇〇という質問で自社が出てこなかった」という事実から、「広告を出していないから比較候補から外されたのではないか」といった推測を行います。書き分けておくことで、意思決定の過程が明確になり、次の施策を判断する際にも参考になるでしょう。
AI回答を直接コントロールできると考えない
AI回答はAIがWeb上で参考になる情報を整理した結果であり、直接コントロールできるものではありません。しかし、施策を工夫することでWeb上の情報が変わり、AI回答も変化する可能性があります。
公式情報を正確に保つことが、第三者からの発信も正確なものにするでしょう。また、適切なブランディングにより、市場でのブランドイメージの統一が期待できます。
AIのブランドメンションに関するよくある質問
AIブランドメンションの測定でとくに判断に迷いやすい4つの質問に回答します。
指名プロンプトも言及率に含めるべきですか?
ブランドメンションを測定する目的によります。自社名の入った指名プロンプトは、情報の正確さや競合との比較軸、ブランドイメージの確認に有効です。対して、自社名がない非指名プロンプトは、特定のカテゴリでの自社の想起具合を見るのに適しています。指名プロンプトと非指名プロンプトとでは回答内の言及率が必然的に変わるため、分けて集計するとよいでしょう。
リンクのないブランドメンションにも価値はありますか?
はい、リンクがなくても価値はあります。回答の中で自社名と特徴が伝われば、比較候補として記憶に残る可能性があります。AI回答は検索結果一覧よりも上部に表示されるため、宣伝効果が期待できるでしょう。
AIブランドメンションは無料で確認できますか?
はい、ユーザーと同じように自社に関連する質問をAIに入力すれば、無料でブランドメンションが確認できます。モデルやログインの状態、地域、言語、日時など測定条件を定めておくと、定期的な測定が可能になります。複数のAIで多数の質問を追ったり、競合分析が必要になったりした場合は、有料ツールの使用が現実的です。
AI回答の誤情報やネガティブな言及は削除できますか?
いいえ、企業側がAIの回答を直接削除したり修正したりすることは、通常できません。対策としては、各AIサービスにある報告やフィードバックの機能を使いながら誤った情報源を探し出し、自社ページの修正や、第三者サイトへの問い合わせを行う方法などがあります。
ネガティブな内容でも事実の場合は、削除ではなく、謝罪対応やサービスの改善を図るほうが賢明です。法的な問題や安全に関わる重大な事案は、社内の法務や危機管理の方針に沿って対応しましょう。
まとめ|ツールでAIブランドメンションを継続観測し、ブランド戦略へつなげよう
AI検索でのブランドメンションは、自社のブランド名が出た回数だけでは評価できません。どの質問で登場し、どんな文脈でどこまで正確に語られ、何を根拠に選ばれたのかまで確かめる必要があります。測定条件をそろえて定期的に状況を把握することで、広報・PR、コンテンツ、商品やサービスの改善につなげることができます。
複数のAIで継続してAI回答を測定する場合は、ツールの活用が効果的です。MeltwaterではGenAI LensというAI回答の分析ツールを提供しています。ぜひ導入をご検討ください。
この記事の監修者:
宮崎桃(Meltwater Japanエンタープライズソリューションディレクター)
国際基督教大学卒。2016年よりMeltwater Japan株式会社にて新規営業を担当。 2020年よりエンタープライズソリューションディレクターとして大手企業向けのソリューションを提供。 ソーシャルメディアデータ活用による企業の課題解決・ブランディング支援の実績多数。 趣味は映画鑑賞、激辛グルメ、ゲーム

