開封するまで中身がわからないワクワク感が魅力のランダムグッズ。幅広い商品やサービスに取り入れられ、人気を集めています。
開封する楽しさを感じる人がいる一方で、欲しい商品が手に入らないことや金銭的な負担を理由に、購入をためらう人もいるようです。
この記事では、ランダムグッズ市場の動向や消費者の購買心理を調査データから読み解き、販売方法の課題と企業の活用事例を紹介します。
消費者が感じる魅力と不満の両面を理解し、顧客満足度を高めるランダムグッズ施策のヒントを探りましょう。
拡大を続けるランダムグッズ市場
ランダムグッズの人気は、市場規模の拡大や消費者の購買動向にも表れています。
- カプセルトイ市場は約1,960億円で過去最高
- 月1回以上ランダムグッズを購入する大人は63.3%
市場規模の集計範囲と購入者調査の対象を確認し、自社企画に当てはめられる需要を見極めましょう。
カプセルトイ市場は約1,960億円で過去最高
日本カプセルトイ協会によれば、国内のカプセルトイ市場は2025年度に約1,960億円へと拡大し、前年度の1,410億円から39%増えて過去最高を更新しました。
購入できる場所も増えており、専門店は2026年1月31日時点で全国900店舗以上と、前年度より200店舗以上増加しました。
同協会は市場規模を平均単価で割り、年間販売数を約5億5,000万個、日本人1人あたりでは年4個~5個に相当すると試算しています。
月1回以上ランダムグッズを購入する大人は63.3%
直近1年以内にランダムグッズを買った大人を対象とする調査では、63.3%がいずれかの商品を月1回以上購入していました。
BANDAI SPIRITSが2026年2月に行った調査で、18歳~59歳の購入経験のある男女1,032人に尋ねた結果です。
月1回以上買う商品では、次のカテゴリーが上位にあがりました。
ランダム販売が広がる3つの背景
販売方法を選ぶときは、購入者の楽しさと販売側の事情を踏まえ、次の3つの背景に目を向けてください。
楽しい体験をしたいという要望と、商品を確実に手に入れたいという要望を区別し、販売側の効率だけで企画を決めないようにしましょう。
1. 開封の「ドキドキ・ワクワク感」を楽しむ消費者心理
ランダムグッズには商品そのものにくわえ、中身がわかるまでの高揚感も魅力としてあります。
BANDAI SPIRITSの購入者調査では、魅力の首位が「ドキドキ・ワクワク感」の45.7%で、「目当てを引けたときの嬉しさ」が40.3%と続きました。
「買うこと自体が遊びになっている」は26%で、自由回答にも家族や友人と開封の喜びを分かち合った経験が寄せられました。
2. SNSと店頭が生む「目的買い」と「衝動買い」
ランダムグッズの購入は、新商品を探して買う行動と、店頭で偶然見つけて買う行動の両方に支えられています。
BANDAI SPIRITSの調査では、購入のきっかけは「好きなキャラクターグッズが発売されたとき」が47.3%で最多でした。
続いて「店頭でたまたま見かけた」が28.4%、「運試しをしたい」が24.4%で、あらかじめ目当てを決めていない購入も見られました。
情報源としては、企業や店舗のX投稿が39.4%、個人のX投稿が32.6%で、商品を知る経路としてSNSが使われています。
3. 販売側にとっての在庫・客単価のメリット
販売企業にとってランダム形式は、キャラクター間の人気差による在庫負担を抑えながら、売上や運営効率を確保する選択肢になっています。
Hamaru Strategyが調査報告を希望した18社に行ったヒアリングでは、メーカー・販売企業から、在庫を調整しやすいことや、陳列・管理の手間が軽減したという声があがりました。
客単価が選択購入に比べ約5倍~10倍になるという発言もありますが、複数社の声をまとめた参考情報として捉えましょう。
消費者目線で見るランダムグッズ人気の実態
自社企画の対象を定めるには、次の人気ジャンルと需要の広がり、不満の声をあわせて捉える必要があります。
- 人気ジャンル1位は「アニメ・マンガ・ゲームのキャラクター」
- 訪日客や海外にも広がるランダムグッズ人気
- 「嫌い」「買い控え」という消費者の声
自社が届けたい層に近い調査結果を参考に、関心のある題材と購入をためらう理由を確認しましょう。
人気ジャンル1位は「アニメ・マンガ・ゲームのキャラクター」
カプセルトイでもっとも関心を集めるジャンルは、アニメ・マンガ・ゲームのキャラクターです。
クロス・マーケティングが2025年8月に行った調査では、全国の20歳~69歳の男女1,100人のうち、25.5%が興味のあるジャンルとしてあげました。
また、日本カプセルトイ協会は2025年度にサンリオやたまごっちなど平成キャラクターのリバイバル人気と、推し活グッズの好調を報告しています。
訪日客や海外にも広がるランダムグッズ人気
ランダムグッズへの関心は訪日客にも広がり、海外では関連商品のメーカーが大きく成長しています。
日本カプセルトイ協会によると、人気観光地付近のカプセルトイ店では購入者の半数以上を訪日客が占める状況が続いています。
2025年には海外でも知られる「鬼滅の刃」「呪術廻戦」などのアニメ映画公開が、カプセルトイの売上を後押ししたと報告されました。
海外の例では、ラブブで知られる中国のPOP MARTの2025年連結売上高が約371.2億元となり、前年の約130.4億元から184.7%増えました。
「嫌い」「買い控え」という消費者の声
ランダムグッズには熱心な購入者がいる一方で、販売方法を嫌い、購入を見送る消費者もいます。
Hamaru Strategyの「ランダムグッズに関する消費者意識調査2026」では、3万5,866件の回答のうち「嫌い」「非常に嫌い」の合計が89.9%に上りました。
クロス・マーケティングのカプセルトイ調査でも、印象の上位には品質の高さや大人でも楽しむことができる点と並び、無駄遣いのように感じることが入っています。
約9割が「嫌い」と答えるランダムグッズの課題
Hamaru Strategyの自発回答で約9割が嫌いと答えた背景は、次の4つの課題に分けて考えると施策の改善につながります。
- 売上の好調さに隠れた「嫌い」の声
- 「手に入らない・割高・転売」が招く買い控え
- ランダム販売が招く作品・ブランドイメージの悪化
- 企業と消費者の間にある認識のずれ
売上の好調さに隠れた「嫌い」の声
売上が伸びていても、購入者がランダムという販売方法に満足しているとは限りません。
Hamaru Strategyの回答者には購入経験のある人が99.3%含まれ、直近2年間に3か月に1回以上買った割合も75.4%でした。
それでも好きと答えた割合は2.9%にとどまり、嫌いと感じながら買う人の声が多く集まっています。
同調査で過去1回の購入・配布にかけた最大金額を尋ねた結果は、回答の上下10%ずつを除いた平均が2万256円、中央値が1万5,000円でした。
「手に入らない・割高・転売」が招く買い控え
目当てが手に入らない不安と費用負担は、ランダムグッズの購入を見送る大きな理由になっています。
同調査でランダム販売を理由に購入をやめた経験がある人は93.6%で、不満が購入見送りにつながったという申告も多数集まりました。
購入をやめた理由を尋ねると、85.5%が種類の多さを、75.9%が1個あたりの価格の高さをあげています。
嫌いな点を尋ねた別の設問では、次の理由が上位となりました。
| デメリット | 割合 |
|---|---|
| 欲しいものが手に入らない可能性がある | 98.5% |
| 通常販売よりお金が余計にかかる | 91.6% |
| 高額転売が横行する | 85.4% |
ランダム販売が招く作品・ブランドイメージへの影響
販売方法への不満は、グッズの評価にとどまらず、作品や企業への信頼に影響する場合があります。
Hamaru Strategyの自発回答では、ランダムグッズの影響で作品などの印象が悪くなったという経験が85.2%に上りました。
自由回答にはランダム商品が増えてからグッズを追わなくなった、推しのグッズを買いたい気持ちが薄れたという声もあり、応援する意欲への影響がうかがえます。
企業と消費者の間にある認識のずれ
企業が把握する楽しさと、購入者が抱く負担の間には、売上だけでは見えない認識のずれが生じています。
BANDAI SPIRITSは2026年3月24日に開封の高揚感を魅力とする調査を発表し、その後Hamaru Strategyは業界の認識と消費者の実態のずれを確かめる調査を実施しました。
企業ヒアリングでも、炎上を認識していなかったという声と、嫌でも買っている人がほとんどだと思うという声の両方がありました。
ランダムグッズを活用した3つのマーケティング手法
ランダム形式を自社施策へ取り入れるときは、次の3つの手法からブランド接点と購入者の納得感を両立する方法を考えてください。
1. 自社商品のミニチュア化によるブランド接点づくり
自社商品をミニチュア化すると、実用品を買う場面以外にもブランドを楽しんでもらう接点をつくることができます。
たとえば、東海の着火器具「チャッカマン」は2025年の40周年にあわせ、バンダイのガシャポンでミニチュアチャームになりました。
本体だけでなくパッケージや注意書きまで再現し、東海の担当者は認知度向上の機会と捉え、SNSの反響も大きかったと説明しています。
2. 地域・店舗限定による希少性と収集意欲の喚起
地域や店舗を限ることで、ランダムの楽しさに、その場所で手に入れる理由をくわえることができます。
出版文化産業振興財団(JPIC)の「ブックカバーカプセル」は、書店のブックカバーを地域ごとに異なる内容で商品化し、2025年に20地域・計151書店で販売しました。
JPICによると、地域によって中身が違う点がSNSでも話題となっています。
3. 商品の種類・価格・販売方法の工夫による購入者の不満抑制
種類数と価格を抑え、欲しいものを選択できる方法も用意することが、購入者の不満を減らす判断材料になります。
Hamaru Strategyの自由回答分析では、許容できる目安として5種類以内・500円以下への言及が多く見られました。
ジャンルによる違いがあるため一律の基準ではありませんが、企画の初期に価格と種類数の組み合わせを確かめる参考になります。
アカチャンホンポの事例はシークレットを含む全5種類・1回500円(税込)で、比較的種類を絞った設計の一例です。
まとめ
ランダムグッズの企画では、市場の伸びだけでなく、自社の顧客が何を楽しみ、どこに負担を感じるかを判断の軸にするのが大切です。
自社商品のミニチュア化や地域・店舗限定の企画には、ブランドに触れるきっかけを増やす工夫ができる一方、入手の難しさや追加出費への配慮が欠かせません。
まずは購入者が納得できる種類数・価格・選択購入の併売条件を確かめ、売上と不満の両方を追うことで、長く楽しんでもらうことができる施策へと育てていきましょう。
の記事の監修者:
宮崎桃(Meltwater Japanエンタープライズソリューションディレクター)
国際基督教大学卒。2016年よりMeltwater Japan株式会社にて新規営業を担当。 2020年よりエンタープライズソリューションディレクターとして大手企業向けのソリューションを提供。 ソーシャルメディアデータ活用による企業の課題解決・ブランディング支援の実績多数。 趣味は映画鑑賞、激辛グルメ、ゲーム

