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USPとは?作り方・マーケティングへの活用方法・事例を解説

USPとは?作り方・マーケティングへの活用方法・事例を解説


宮埼桃

Sep 4, 2025

「競合他社との違いがわからない」「価格競争に巻き込まれてしまう」といった課題を解決するのがUSPです。

USPとは、競合他社にはない自社だけの独自の強みを明確に示したもので、顧客が自社を選ぶ理由となります。

本記事では、USPの定義や作成方法、企業の事例などを分かりやすく解説します。

USPとは?

USPとは?

USP(Unique Selling Proposition)とは、競合他社にはない自社だけの独自の強みのことです。マーケティング活動において、自社が選ばれる理由を顧客に明確に伝える重要な概念です。

ライザップの「結果にコミット」は、他社には真似できない具体的な価値を示す良い例といえるでしょう。USPを設定することで、価格競争に巻き込まれることなく競合との差別化を実現できます。

コンセプトやキャッチコピーとの違い

USPは具体的な差別化要因を示すもので、コンセプトやキャッチコピーとは明確に異なります。

コンセプトは、商品やサービスの基本的な考え方を表す抽象的な概念です。キャッチコピーは顧客の注意を引くための表現手法を指します。

他方、USPは競合他社が提供していない具体的な価値や強みを明確に示すものです。

つまり、コンセプトが「何を目指すか」、キャッチコピーが「どう伝えるか」を示すのに対し、USPは「なぜ選ばれるか」という具体的な理由を提示するのが主な違いです。

▶︎あわせて読みたい:ブランドコンセプトとは?重要な理由や作り方、代表的な事例を解説

USPが重要な理由

USPは、競合との差別化を図り、顧客に自社を選んでもらうために重要です。

現代は類似した商品やサービスが市場にあふれているため、顧客が各社の違いを理解することが困難になっています。自社の独自性を明確に示さなければ、価格競争に巻き込まれたり競合他社に埋もれたりしてしまうでしょう。

USPを活用することで、過度なセールス活動をしなくても商品やサービスが売れるようになり、「〇〇といえば、あの企業」として顧客の記憶に残るブランドを確立できます。資金力や知名度で大企業に劣る中小企業にとって、差別化を図る重要な手段といえるでしょう。

USPを作成するメリット3つ

USPを作成するメリットとして、以下の3つが挙げられます。

  • ブランド認知の拡大
  • 競合との差別化
  • コンバージョンの促進

それぞれ詳しく解説します。

ブランド認知の拡大

USPの設定により、ブランド認知を拡大できます。独自の強みを明確に打ち出すことで、顧客の記憶に残りやすくなるためです。

単に「良い商品です」と伝えるよりも「他社にはない○○機能を搭載した商品」と具体的にアピールした方が、顧客の印象に強く残ります。

またUSPを作成することで、広告やプロモーション活動の効果が向上し、自然と口コミでも話題になる機会が増えます。顧客にとって印象的なメッセージは、SNS上や知人との会話でも取り上げられることが多く、拡散効果が期待できるでしょう。

競合との差別化

USPは競合他社との差別化にも効果を発揮します。類似する商品やサービスがあふれる市場において、自社だけの独自性を示すことで競合優位性を獲得できるためです。

顧客は商品やサービスを比較検討する際、違いがわからなければ価格で判断することが多くなります。このような状況でUSPがあれば、競合他社が真似できない独自のポジションを築くことが可能です。

差別化に成功すれば、価格競争に巻き込まれることなく、価格以外の価値を評価される企業になることができるでしょう。

コンバージョンの促進

USPの作成はコンバージョン率の向上にも直結します。顧客はさまざまな選択肢の中から自身のニーズに最も適したものを選ぼうとしており、USPがその判断基準となるからです。独自性が明確であれば、顧客は「この商品やサービスを選ぶべき理由」を見つけやすくなるでしょう。

また、USPが明確であれば、営業担当者も顧客に対してより説得力のある提案ができるようになり、成約率の向上も期待できます。

USPの作り方4STEP

USPの作り方4STEP

USPは以下の流れで作るのがおすすめです。

  1. 自社サービスの特徴を明確にする
  2. 競合分析を行う
  3. 顧客ニーズの理解を深める
  4. USPを作成する

順番に解説します。

1. 自社サービスの特徴を明確にする

まず、自社の商品やサービスが持つ特徴を体系的に整理することから始めます。USPの基盤となる要素を洗い出せば、競合との差別化ポイントを発見できるでしょう。

特徴を整理する際は、以下の4つの観点から分析するのがおすすめです。

  • 価格面での優位性
  • ラインアップの豊富さ
  • 機能・性能
  • サポート体制の充実度

これらの要素を客観的な数値や具体的な内容で表現することが重要です。例えば「高品質」ではなく「顧客満足度3年連続1位」といった具体性のある表現で整理しましょう。

2. 競合分析を行う

次に、競合他社のWebサイトや広告、販売資料、プレスリリースなどを収集し、訴求ポイントを分析します。競合の状況を把握することで、自社が本当に独自性を持つ領域を特定できるのです。

分析を進める中で、自社が独自のものだと考えていた強みが実は他社でも提供されていることが判明する場合もあるでしょう。

一方で、業界全体でまだ誰も手を付けていない新たな領域を発見することも可能です。この段階で競合よりも明らかに優れた要素があれば、それがUSPの候補となります。

▶︎あわせて読みたい:競合分析とは?手順やフレームワーク、便利なツールを解説

3. 顧客ニーズの理解を深める

顧客が抱える課題やニーズを深く理解することに注力します。顧客が価値を感じない独自性では、USPとしての効果が期待できないためです。

顧客インタビューやアンケート調査に加えて、ソーシャルリスニング(SNSでの顧客の声を収集・分析する手法)を活用すれば、表面化していないニーズも把握できます。

ソーシャルリスニングでは、X(旧Twitter)やInstagram、FacebookなどのSNSで顧客が投稿している商品やサービスへの感想や悩みを分析します。アンケートでは聞きにくい本音を探ることができるので、新たな価値提案のヒントを得られるのがメリットです。また、問い合わせ窓口に寄せられた意見やクレームの内容も貴重な情報源となるでしょう。

複数の情報源から得たデータを組み合わせて分析することで、顧客が本当に求めている価値を理解し、それに応えるUSPを検討できるようになります。

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4. USPを作成する

前述した3つのステップで得た情報をもとに、USPを作成します。USPでは商品やサービスの単なる機能の説明にとどめるのではなく、「これを選ぶことで顧客が得ることができる具体的なメリット」を明確に示す必要があります。自社の独自性と顧客ニーズが重なる部分を見つけ、それを魅力的なメッセージとして表現することが重要です。

作成したUSPは、ターゲット顧客に響く言葉で表現し、覚えやすく印象に残るメッセージにまとめます。また、広告やWebサイト、営業資料など、あらゆるマーケティング活動で一貫して使用できる形に仕上げることが大切です。

効果的なUSP作成のコツ3つ

効果的なUSP作成のコツ3つ

USPを作成する際のコツを3つ紹介します。

  • 独自性・専門性を強調する
  • 顧客のニーズにあった価値を訴求する
  • メッセージの一貫性を保つ

独自性・専門性を強調する

USPでは、自社だけが持つ独自性や専門性を明確に打ち出すことが重要です。競合他社との違いを際立たせることで、顧客に選ばれる理由を作り出せるためです。

独自性を強調する際は、具体的な数値や事実を用いて表現すると良いでしょう。「迅速な対応」ではなく「最短30分で到着」、「豊富な実績」ではなく「累計10万件の施工実績」といった形で、他社が簡単に真似できない要素を具体的に示します。

結果として、顧客に「この分野ならこの会社」という認識を植え付けることが可能です。

顧客のニーズにあった価値を訴求する

USPは顧客のニーズに合致した価値を訴求する内容にしなければなりません。どれだけ独自性があっても、顧客が求めていない価値を提供していては意味がないためです。

価値を訴求する際は、顧客の立場に立って「この商品やサービスを選ぶことで何が得られるのか」を明確に示すことが大切です。

例えば、忙しいビジネスパーソンには「作業時間を半分に短縮」、品質を重視する顧客には「不良品率0.1%以下を実現」といったように、具体的なメリットを数値で示すと良いでしょう。

ターゲット層が異なれば求められる価値も変わるため、想定顧客を明確に定めた上でUSPを設計することが重要です。顧客にとって真に価値のあるUSPを作成できれば、自然と選ばれる理由が生まれます。

▶︎あわせて読みたい:止まらぬニーズ多様化、調査の鍵は四つの“みる”?ニッセイ基礎研究所が語る、消費者理解を深めるヒント

メッセージの一貫性を保つ

USPを一度設定したら、広告やWebサイト、営業資料、接客対応など、すべての顧客接点で一貫したメッセージを発信し続けましょう。メッセージがバラバラでは顧客に混乱を与え、ブランドイメージも曖昧になってしまうためです。

一貫性を保つためには、社内でUSPの内容を共有し、全社員が共通認識を持つことが重要です。また、USPで約束した内容は必ず実行できる体制を整えておかなければなりません。例えば「最短30分で配達」を掲げるなら、実際にその時間で配達できる仕組みが必要です。

継続的に同じメッセージを伝えることで、顧客の記憶に定着し、「〇〇といえばあの会社」という認識を構築できます。短期的な戦略変更があっても、USPの核となる部分は変更せず、長期的に一貫した発信を続けましょう。

USPの企業成功事例3つ

USPを活用して成果を挙げている企業の事例を3つ紹介します。

スターバックス

スターバックスのUSPは「豊かなカフェ体験を提供する」ことです。高品質なコーヒーを提供するだけでなく、快適な店内空間やスタッフのフレンドリーな接客、長時間滞在できる環境の創出に注力しています。

この戦略により、スターバックスは「コーヒーを飲む場所」から「過ごしたい場所」へとブランドイメージを転換させることに成功しました。仕事や勉強の場や、友人とのひとときを過ごす場として、顧客から「第三の場所」と認識され、コーヒーの価格が競合より高くても、支持され続けています。

ライザップ

ライザップのUSPは「結果にコミット」という明確なメッセージです。従来のパーソナルトレーニングジムでは、設備の充実度やトレーナーの質、プログラムの内容などを中心とした訴求が行われていました。しかし、ライザップは「結果にコミット」という独自のメッセージで差別化を図ったのです。

ビフォーアフターの劇的な変化を見せる広告と組み合わせることで、成果への責任を打ち出しました。ライザップはこのUSPにより、料金が他社より高額でありながら多くの顧客を獲得し、パーソナルトレーニング業界でのポジションを確立しています。

ドミノピザ

ドミノピザのUSPは「30分以内の配達保証」です。宅配ピザ業界では味や価格での競争が主流でしたが、ドミノピザは配達スピードという新たな価値軸を打ち出したのです。

この約束は単なるキャッチコピーとして掲げたのではなく、実際の配達システムや店舗運営を大幅に見直すことで実現可能になりました。

現在は安全性への配慮から表示を控えていますが、ドミノピザはこのUSPにより「早くピザが食べたい」という顧客ニーズを捉え、宅配ピザ市場での地位を確立しました。

まとめ|サービスの価値が伝わるUSPを作成しよう

USPをうまく活用できれば、競合との差別化を図り、顧客に選ばれる理由を明確にできます。作成する際は、顧客ニーズを深く理解することが不可欠です。

そのためには、SNS上での顧客の声を広く分析するのがおすすめです。Meltwaterのツールを使えば、ソーシャルリスニングやVOC分析を通じて顧客の本音を把握し、USPの作成に役立てることができます。また、口コミ分析により競合他社との違いも明確になり、自社だけの独自性を見つけ出すことができるでしょう。

顧客に響くUSPを作成し、マーケティング活動の成果を最大化させましょう。

この記事の監修者:

宮崎桃(Meltwate Japanエンタープライズソリューションディレクター)

国際基督教大学卒。2016年よりMeltwater Japan株式会社にて新規営業を担当。 2020年よりエンタープライズソリューションディレクターとして大手企業向けのソリューションを提供。 ソーシャルメディアデータ活用による企業の課題解決・ブランディング支援の実績多数。 趣味は映画鑑賞、激辛グルメ、ゲーム

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