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ブランドコンセプトとは

ブランドコンセプトとは?重要な理由や作り方、代表的な事例を解説


宮崎桃

Oct 16, 2023

ブランドコンセプトの意味や重要な理由を踏まえ、作り方も丁寧に解説していきます。ブランドコンセプトを作成する際に押さえるべきポイントや、代表的な事例についても併せてご紹介しています。

ブランドコンセプトとは?

What is brand concept?

ブランドコンセプトとは、ブランドが提供する価値や社会で果たす役割を言語化したものです。企業によってはブランドミッションとも呼ばれています。

ブランドコンセプトは顧客などに分かりやすく伝えるため、短い言葉で表すことが多いです。

例えば、USJはすべてを忘れるくらい思いきり楽しんでほしいという思いから「NO LIMIT!」、スバルは安全性を重視することから「一つのいのち 一台のSUBARU」をブランドコンセプトとしています。

ブランドは企業の個性や価値観、いわゆる「その企業らしさ」を表した概念ですが、抽象度が高いケースも多く、それだけで顧客にもたらす価値を正しく伝えることは難しい場合があります。

 ブランドを軸としつつ、ブランドコンセプトとして言語化することで、顧客に対してブランドの価値や独自性を明確に伝えていくことができるのです。

また企業を象徴するだけではなく、事業や製品・サービス、採用といった領域でもブランドコンセプトを活かせます。様々なシーンにおいて他社と差別化を図る上でも効果的です。

▶あわせて読みたい:ブランディングとは?メリットや実践する流れについて解説

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ブランドコンセプトが重要な理由

Why is the brand concept important?

ブランドコンセプトが重要な理由としては、以下の二つが挙げられます。

重要な理由①:従業員のブランドへの理解が深まる

ブランドは抽象度が高いため、顧客は勿論のこと、そのブランドを伝えていく役割を担う従業員ですら、正しく理解できていないこともあるでしょう。

しかしブランドコンセプトとして言語化することで、従業員のブランドへの理解が進み、顧客とのコミュニケーションにぶれが無くなります。

 部署の垣根を越え、社内全体でブランドの提供価値や存在意義、独自性などを共有できるようになり、顧客に正しくブランドのことを理解してもらえるのです。

このようにブランドコンセプトは顧客に伝えるという側面だけでなく、従業員のブランドに対する理解を深める上でも、重要な役割を果たすと言えるでしょう。

重要な理由②:ブランドとして伝えるべき価値を明確にできる

ブランドコンセプトは、短文で表されることが多いため、ブランドが内包する価値全てを盛り込むことはできません。

そのためブランドコンセプトの作成においては、「このブランドが伝えたい最も重要なことは何か」という点を社内で議論し、絞り込んでいくことが大切です。

この過程を経ることで、ブランドとして本当に伝えるべき価値を明確にでき、社内全体のブランドへの理解も深まるでしょう。

ブランドコンセプトと企業理念の関係性

Relationship between brand concept and corporate philosophy

ブランドコンセプトと企業理念は強い関係性を持ちます。

企業理念とは企業の存在意義や目的など、その企業の根本となる思想・価値観を表した概念です。

そのため、企業の価値観や個性を詰め込んだブランドを具体的に言語化したブランドコンセプトにも、企業理念のエッセンスが少なからず含まれることになります。

例えば企業理念に「環境保護」を掲げている場合、ブランドコンセプトにも「環境にやさしく」「これからも使い続けるために」といった言葉が使われるでしょう。

企業理念は企業の方向性についての具体的な説明であり、ブランドコンセプトは企業理念にメッセージ性やストーリー性を持たせて分かりやすく表現したものです。

このように企業理念は、ブランドコンセプトの根幹をなす要素の一つとも言えます。

ブランドコンセプトの作り方

How to create a brand concept

ここからはブランドコンセプトの作り方について、以下の5つのステップに分けてご紹介します。

  1. 現状の把握
  2. ターゲット設定と分析
  3. ブランドの提供価値の明確化
  4. ブランドストーリーの制作
  5. 短い言葉に要約

それでは一つずつ見ていきましょう。

1. 現状の把握

まずは自社ブランドと競合ブランド、顧客という3つの観点から現状を把握していきます。

自社ブランドが目指している世界観や提供したい価値を改めて確認し、ブランドを構成する重要な要素を挙げていきましょう。

 また顧客から自社ブランドが現在どういった評価をされているのかは勿論、市場におけるポジションなども整理します。併せて競合ブランドについても分析が必要です。

競合ブランドが訴求しているポイントや掲げているコンセプトなどを把握しておくことで、自社のブランドコンセプトに独自性を持たせやすくなります。

 

2. ターゲット設定と分析

現状把握の後はターゲット設定と分析を行います。 

ブランドコンセプト策定におけるターゲット設定では、単にブランドの価値を提供したい顧客像を決めるのではなく、自社ブランドに共感してくれるのはどういった顧客なのかを考えていくことがポイントになります。

ターゲット設定においては年齢や性別といった人口統計的属性、価値観や悩み、ライフスタイルなどの心理的属性などを踏まえ、詳細な人物像=ペルソナを設定しましょう。

例えば、シンプルで使いやすく手頃な値段のスタンドライトの提供を目指している会社があるとします。

「質感にこだわらない学生で、机でもベッドサイドでもどちらでも使えるのをほしがっている」、「機械操作の苦手な高齢者で、ワンタッチで使えるものを探している」、「フリーのネイリストやYouTuberのように、移動しながら仕事で電気を使いたい人」のようにターゲットを絞っていきます。

そのあとペルソナの思考をマインドマップなどで整理していくと良いです。マインドマップとは、テーマに関する連想を枝葉状に次々と書きだして思考やアイデアを整理したものです。

スタンドライトの例なら、「使いやすいスタンドライト」→「いろいろなところへ移動して使えるといい」→「コードがなくて軽いといい」→「軽すぎると置いたときに安定感がなさそう」のように連想をつなげていきます。

このように整理していくと、次のステップで行う提供価値の明確化もスムーズに進められます。

3. ブランドの提供価値の明確化

続いて、ブランドの価値を明確にしていくステップに入ります。

現状把握で整理した情報と設定したターゲットの情報を踏まえ、自社ブランドの持つ要素の内、どの要素を掛け合わせて提供価値として打ち出していくのかを検討します。

スタンドライトの例で、現状把握では「ペン立てやスマホ置きなど簡単な収納付きのスタンドライトも販売しているが、顧客からは収納については取り立てて意見がない。好評なのは充電機能。競合ブランドを見てみると、収納付きのスタンドライトが多い」ということがわかっていたとします。これに、ターゲット像も考慮します。

そこで見えてくるのは、「持ち運びやすさ」を提供価値として強調すると良いということです。スタンドライトに収納機能は付けず、充電機能に加え軽さと安定感を備えていることを全面に押し出し、競合との差をつけます。

ブランドが提供する要素を単体で見ると、競合との差別化が難しいケースが往々にしてありますが、それらの要素を複数かけ合わせることで差別化した提供価値に昇華できる可能性があります。 

そのため現状把握の際に整理したブランドの構成要素をリストアップし、組み合わせを考えていくと良いでしょう。

4. ブランドストーリーの制作

続いてブランドストーリーを制作していきます。

ブランドストーリーの構成要素は以下の通りです。 

  • 自社ブランドの目的や目指している世界・社会の在り方
  • その目的を掲げるに至った背景や理由
  • その目的を果たすために、自社ブランドが行うこと

これらの要素をストーリーとして文章化していきます。

顧客に自社ブランドの存在意義を丁寧に語りかけていくイメージで、文章化していけば良いでしょう。

この際、美辞麗句を並べ立てたような文章を作るのではなく、自社の従業員が発する生の声を反映させ、血の通ったストーリーにすることがポイントになります。

5. 短い言葉に要約

ブランドストーリーそのものをブランドコンセプトにすることもできますが、キャッチコピーのように短い言葉で伝えたい場合は最後にそれを考えます。

先のステップで創り上げたブランドストーリーを、一言あるいは一文で伝わる形に集約します。

ブランドコンセプトを短くまとめる際は、以下のいずれかのタイプになることが多いです。

  • 意志宣言タイプ(Ex. カラダにピース:カルピス)
  • 事業紹介タイプ(Ex. 窓を考える会社:YKK AP)
  • 関係構築タイプ(Ex. ニッポンの人事部長:パーソルグループ)
  • 価値提供タイプ(Ex. 驚安の殿堂:ドン・キホーテ)

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ブランドコンセプトを作る際の6つのポイント 

Six points to consider when creating a brand concept

続いてブランドコンセプトを作る際のポイントを6つご紹介します。

1. 分かりやすい

一つ目のポイントは「分かりやすい」という点です。 

ブランドコンセプトを策定する目的は、ブランドが提供する価値を顧客に対して正しく伝えることだと解説しました。

正しく伝えるには顧客が直感的に理解できるようなブランドコンセプトでなければなりません。

そのためブランドコンセプトを策定する際は、専門用語や業界特有の難しい言葉を使わずに、シンプルな言葉や表現を用いることが重要になるのです。

2. 美辞麗句を並べない

また美辞麗句を並べないことも重要なポイントになるでしょう。 

ブランドの目指す世界観や価値観の素晴らしさを表現したいがため、ブランドがもたらす本来の価値や個性からかけ離れた言葉で飾り立ててしまうケースがあります。

どれだけ美辞麗句を並べ立てても、実態にそぐわない内容であれば、いずれメッキは剥がれてしまいます。

そうなれば顧客にブランドの価値を正しく伝えるどころか、逆にネガティブな印象を抱かれてしまう結果となるでしょう。

 

3. 独自性がある

次に独自性があることも大きなポイントとなります。 

もし策定したブランドコンセプトを競合ブランドと並べてみて、何も特徴が見えなければ、そのブランドコンセプトには独自性はありません。

独自性がなければ、ブランドの価値が伝わっても他企業と同質化し、顧客にその企業らしさが伝わることはないでしょう。 

ブランドコンセプトを策定する際は提供価値だけでなく、独自性や個性を盛り込む必要があるのです。

4. ニーズを捉えている

続いてご紹介するポイントは顧客のニーズを捉えているかという点です。

ブランドコンセプトにはブランドの提供価値が盛り込まれていますが、その提供価値が顧客ニーズとはかけ離れた内容であれば、ただの独りよがりになります。

独りよがりのブランドコンセプトは、当然顧客に受け入れられることもなく、価値を見出されることもありません。

そのためブランドコンセプトに含める提供価値には、顧客ニーズもしっかりと盛り込んでおく必要があるのです。

5. ストーリーも併せて作る

ブランドストーリーを作らずとも、提供すべき価値やターゲットが決まっていれば、ブランドコンセプトを策定することは可能です。 

ブランドコンセプトにブランドストーリーを取り入れて訴求することで、そのコンセプトの背景や根拠も伝わりやすくなります。顧客の理解を深めることができると同時に、ブランドに対する信頼性の向上も期待できるでしょう。

伝えやすくしようとするとブランドコンセプトはどうしても短文になりがちですが、短文ではブランドがもたらす価値などを詳しく説明することはできません。

製品やサービスによって、ストーリー性を強調するか短く伝えるか、使い分けると良いでしょう。

6. プロのコピーライターに委託する

ポイントの最後にご紹介するのは、プロのライターに委託するという点です。ブランドストーリーを考え、ブランドコンセプトとして作り上げるのは、決して簡単な作業ではありません。

いくつも候補を出し、社内で試行錯誤するため、時間がかかります。社内にコピーライティングなどのノウハウがない場合、その作業はより一層難航するでしょう。

 そこで、ブランドストーリーの設定も含め、外部のコピーライターに制作依頼をかけるというのも一つの方法です。

 コピーライターからいくつか候補をもらい、社内で検討するという形で制作を進めることで、スムーズにブランドコンセプトを策定することが可能です。第三者の目が入ることで、自社の新たな面に気づくかもしれません。

ブランドコンセプトの代表的な事例 

最後にブランドコンセプトの代表的な事例を3つご紹介します。

1. QBハウス/10分の身だしなみ

事例としてまずご紹介するのは、QBハウスです。

QBハウスは1996年に国内初のヘアカット専門店としてオープンし、「10分の身だしなみ」というブランドコンセプトを掲げて、事業を展開しています。

美容院は「おしゃれになること」を目的として訪れる場所ですが、QBハウスでは「髪型を維持する」ことを重視し、メニューもカットしか用意されていません。 

「10分の身だしなみ」には、「合間時間に気軽にヘアカットを受けられる、その他の重要なことに時間を割くことができる」といった価値が表れており、それに共感したビジネスパーソンを中心に愛されているのです。

2. ディズニーランド/夢と魔法の王国

続いてご紹介するのはディズニーランドです。 

ディズニーランドは「夢と魔法の王国」というコンセプトを掲げ、開業以来ゲストたちに非日常的な体験を提供し続けています。 

このコンセプトを軸にパーク全体の設計が行われており、パーク内から外の景色があまり見えないようになっていたり、時計の数を少なくしていたり、現実世界に意識が戻ってしまわないように工夫が凝らされています。

従業員教育に力を入れています。従業員の意識が高いことも、コンセプト実現の一因でしょう。

3. 大戸屋/こころを満たすもう一つの食卓

事例の最後にご紹介するのは大戸屋です。 

大戸屋は1958年に池袋の大衆食堂として事業を始め、「こころも満たす、もう一つの食卓へ。」というコンセプトを掲げてきました。

1950年代は戦後間もなく「日本人の4人に1人が栄養不足」と言われており、そうした状況の中で「かぁさんおなかすいたよう」という言葉に応えるために大戸屋は創業したのです。お母さんの料理を手頃な値段で食べてほしいという思いがあります。

創業当時の思いを記載した「かあさん額」を全店に飾ることで、「こころも満たす、もう一つの食卓へ。」というコンセプトを現場や顧客に浸透させています。2022年3月時点で416店舗まで事業を拡大するに至りました。

まとめ

ブランドコンセプトは、ブランドの持つ価値を顧客や従業員に正しく理解してもらう上で重要な役割を果たします。

 そのためブランディングに取り組んでいるものの、なかなか顧客や従業員にブランドの価値が伝わらないという際に、とても役に立つ概念となるでしょう。

 現状整理や顧客分析など、ブランドコンセプト策定には工数も時間もある程度かかりますが、独自性のあるブランドコンセプトが策定できれば、その効果は計り知れません。

この記事を参考にブランドコンセプトの策定に取り組んでいただければ幸いです。

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この記事の監修者:

宮崎桃(Meltwate Japanエンタープライズソリューションディレクター)

国際基督教大学卒。2016年よりMeltwater Japan株式会社にて新規営業を担当。 2020年よりエンタープライズソリューションディレクターとして大手企業向けのソリューションを提供。 ソーシャルメディアデータ活用による企業の課題解決・ブランディング支援の実績多数。 趣味は映画鑑賞、激辛グルメ、ゲーム

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