コンテンツへスキップ
logo
口コミ分析とは?

口コミ分析とは?分析すべき口コミの種類や分析手法を解説


山﨑伊代

Nov 2, 2023

  • 口コミ分析とは何か知りたい
  • 分析対象とすべき口コミを知りたい
  • 具体的にどんな分析手法があるのか知りたい

この記事は上記のような思いをお持ちの方に向けて、口コミ分析の概要や需要が高まっている背景を踏まえつつ、メリットや分析すべき口コミの種類などをご紹介します。口コミ分析の活用方法や口コミを収集・分析する手法なども解説しています。

口コミ分析とは?

What is word-of-mouth-analysis?

口コミ分析とは、SNSや口コミサイト、ブログなどに投稿された消費者の口コミを収集・分析することを指します。口コミは消費者の本音が表れたデータと言え、これらを分析することでマーケティングにおけるコミュニケ―ションや商品・サービスの開発などに活かすことが可能です。

日本国内でのSNSの利用者は年々増加しており、2022年時点で約1億200万人となっています。

Trends and Forecasts in the Number of Social Media Users in Japan

参照:総務省 │令和5年版 情報通信白書

SNS利用者の増加傾向は今後も続き、日本のソーシャルメディア利用者数は、2027年には約1億1,300万人に達すると予測されています。今後もSNS上には消費者が抱く本音や意見といった情報が大量に集まることが見込まれるため、口コミ分析は今後の企業活動において欠かせないものになるでしょう。

▶あわせて読みたい:ソーシャルリスニングとは?重要性や分析手法、事例を解説

口コミ分析の需要が高まった背景

口コミ分析の需要が高まった背景には、何があるのでしょうか。先に挙げたSNS人口の増加に加えて、SNSやインターネット上での口コミを参考にしている消費者が増加していることも挙げられます。

マイボイスコム株式会社が2023年3月に実施した調査によると、商品やサービスを購入・利用する際に、インターネット上の口コミを参考にする人は約55%にまで及ぶことが示されているのです。

Percentage of consumers who refer to internet reviews whrn purchasing products and services

参照:ネット上の口コミ情報に関する調査

また上記のグラフを見ていただくと、口コミを参考にする消費者の数が調査の回数を追うごとに増加していることがお分かりになるでしょう。

同調査では、特に10〜30代の女性の傾向が顕著で、7〜8割が口コミを参考にするといった結果が出ています。口コミ分析をすると、売上改善に繋がるというわけです。

口コミ分析を実施するメリット

Benefits of Conducting a Word of Mouth Analysis

それでは口コミ分析にはどういったメリットがあるのか、具体的に見ていきましょう。

1. 消費者の本音を把握できる

一つ目のメリットとして挙げられるのは、消費者の本音を把握できるという点です。

アンケートやインタビューでも、ある程度消費者の意見を聴くことはできますが、これらの手法では真面目に答えなかったり企業側に遠慮したりすることがあり、どうしても本音や潜在的なニーズまで引き出すことが難しいと言えます。

しかしSNSや口コミサイトに投稿されるメッセージは、消費者が商品やサービスを使った際の感想を自発的に投稿するため、本音が表れやすいのです。

口コミ分析を行うことで、アンケートやインタビューでは抽出しきれなかった消費者の生の声、本音を把握することができます。

2. サービスや商品開発に活かせる

続いて紹介するメリットは、消費者の本音を知ることでサービスや商品開発に活かせるという点です。

口コミにはポジティブなものもあれば、当然ネガティブなものも含まれます。

どうしてもポジティブな口コミに注目してしまいがちですが、ネガティブな口コミにこそ、自社が成長するチャンスが眠っています。

ネガティブな口コミは、消費者のニーズを十分に満たせていない可能性を示唆するものでもあるため、これらの口コミを積極的に収集・分析することで、商品・サービスの開発や改善に繋げることができるでしょう。

3. 新しいアイデアが生まれる

新しいアイデアが生まれるという点もメリットとして挙げられます。口コミ分析に取り組んでいると、消費者の意見や感想から思わぬ視点を発見することがあります。

例えば、自社が想定していなかった使い方をして生活に役立てている投稿や、マーケティング担当者が思いもしなかった改善点のコメントなどです。

こういった情報も逃さずに収集することで、商品・サービス開発やマーケティング施策において新しいアイデアが生まれるケースがあります。

4. 広告・プロモーションの効果をリアルタイムに把握できる

メリットの最後に挙げられるのは、広告やプロモーションの効果をリアルタイムに把握できるという点です。広告やプロモーションの効果は広告配信ツール上でも確認できますが、消費者のリアルな反応までは網羅できません。

広告表示数やクリック数などの数値的な効果に加えて、口コミ分析で消費者のリアルな声を取得することで、より精度の高い広告・プロモーションへと改善することも可能です。

▶あわせて読みたい:VOC分析とは?メリットや効果を最大化する3つのポイント

口コミ分析における課題

口コミ分析の課題として挙げられるのは大きく以下の2点です。

  • 情報の精査が難しい
  • ユーザー層の特定が難しい

SNSや口コミサイト、ブログなどを通じて投稿される口コミの数は膨大な量になります。

そのため投稿された口コミを精査し、マーケティングなどに活用できる情報を抽出することはかなりの工数がかかることになるでしょう。

またSNSは、Facebookを除き匿名性が高いため、口コミ投稿者の性別や年齢といった情報を把握しにくいという難点があります。

分析ツールを使わずに、投稿者を属性ごとにグルーピングして口コミの傾向を分析するのは、決して簡単ではないでしょう。

分析すべき口コミの種類

ここからは口コミ分析の対象となる口コミの種類をご紹介します。

1. SNS投稿

まず挙げられるのはSNS投稿です。SNSはX(旧Twitter)やFacebook、Instagramなど多くの種類があり、それぞれ特徴が異なります。

Xは短いテキスト投稿が中心となり、投稿される口コミは端的・直感的な内容が多く、投稿数も多いという特徴がある一方で、文字制限があるため口コミの詳細や背景までは把握しづらいと言えます。

一方FacebookはXほど投稿数が多くないものの、投稿可能字数は約63,000文字もあり、長文の投稿なら詳細な口コミを取得することが可能です。

Instagramは画像をメインとしたSNSであることから、商品・サービスの活用シーンが見た目で分かりやすいという利点がありますが、その分テキスト情報は比較的少なめになるでしょう。

上記のようにそれぞれ取得できる情報の性質が異なるため、商品やサービスの特徴に合わせて、口コミ分析の対象とするSNSを選ぶ必要があります。

2. 口コミ・レビューサイトのコメント

続いて挙げられるのは口コミ・レビューサイトのコメントです。

口コミ・レビューサイトは、口コミやレビューを投稿することを目的としたWebサイトであるため、数多くの口コミが集まります。サイト例は「ぐるなび」のようなグルメ系、「ホットペッパービューティー」のような美容系、「じゃらんnet」のような観光系などです。

ユーザーが自由に投稿するSNSとは異なり、良かった点や悪かった点、価格といった決まった項目に基づいた投稿や、星の数で総合評価されるものも多く、情報の精査がしやすいという特徴があります。

そのためネガティブな口コミやレビューを狙って収集することもでき、商品やサービスの改善などにも繋げやすいと言えるでしょう。

ただし商品・サービスのジャンルによっては、口コミやレビューの投稿数が少ないケースがあります。

3. 掲示板

次に挙げられるのは掲示板です。

インターネット上には数多くの掲示板が存在しており、そこに商品やサービスに関する口コミが投稿されることもあります。

口コミ・レビューサイトとは異なり、掲示板では書き込みに対して消費者同士が議論を交わしていることも多く、また違った視点での口コミを収集することが可能です。

ただし自社の商品・サービスが投稿されている掲示板を見つける手間がかかり、さらには匿名性の高さから、信憑性の薄い情報が記載されていることも多いと言えます。

そのためSNSや口コミ・レビューサイトよりも、慎重に情報の精査を行う必要があるでしょう。

4. 公式サイト・ブログに寄せられたコメント

公式サイトやブログに寄せられたコメントも口コミ分析の対象です。

公式サイトやブログにコメント投稿機能を搭載している場合、その機能を通じて消費者からコメントが寄せられることもあります。

これらのコメントには単純なクレームもあれば、提供している商品・サービスに関する感想も含まれています。

またコメントへ返信することも可能であるため、消費者とコミュニケーションを図りながら、本音を受け止め信頼関係を築くといった活用の仕方もできます。

口コミ分析の活用方法

How to Use Word-of-Mouth Analysis

次に口コミ分析をどのように活用するのかについてご紹介します。

1. 消費者のニーズやインサイトの把握

口コミ分析を実施することで、消費者の潜在的なニーズやインサイト(購買を促すポイント)を把握することができます。

口コミは商品・サービスに対する消費者の本音であるため、良い評価だけでなく悪い評価や改善要望なども含まれます。

「どういった機能があってどういった点を訴求すれば、消費者の購買意欲を促進できるか」といった点を理解でき、より効果的なマーケティング施策の展開に繋げられるでしょう。

▶あわせて読みたい:消費者インサイトとは?事例や調査方法、活用のポイントを解説

2. ブランドイメージの評価

口コミ分析を通じてブランドイメージを評価することも可能です。

商品・サービスの機能面に関する口コミを通して、ブランドがどのように評価されているか明らかにすることができます。

例えば「どれくらい消費者が自社や商品・サービスについて知ってくれているか」や、「ポジティブな意見とネガティブな意見とどちらが多いか」といった情報から、消費者が抱く自社のブランドイメージを割り出します。

理想とするブランドイメージと実際のものがかけ離れていないか、確認しましょう。

3. 炎上などのリスクマネジメント

続いて挙げられるのは炎上などのリスクマネジメントです。

口コミ分析を実施していれば、自社や商品・サービスに関するネガティブな意見がどれくらいあるのかをタイムリーに把握することができます。

そのため、その意見を参考に商品・サービスを改善したり、投稿者に対してコミュニケーションを図ったりして、マイナスイメージを早期になくすことが可能です。

ネガティブな口コミを追跡することで、炎上リスクを回避し、企業イメージ低下や顧客離れといった事態を防ぐことができるでしょう。

4. 競合調査

口コミ分析は競合調査にも活用できます。競合他社に関する口コミも、分析対象となるためです。競合に関する口コミを分析することで、競合商品・サービスのどういった点が消費者に評価されているのかなどを具体的に知ることができます。

また、競合他社関連と自社関連の口コミを比較することで、差別化の方向性を探ることもでき、マーケティング戦略に役立つでしょう。

口コミの収集や分析を行う手法

Methods for collecting and analyzing wod-of-mouth

次に口コミの収集や分析を行う手法について解説していきます。

1. エゴサーチをする

一つ目に紹介する手法はエゴサーチです。SNSを利用して、自社名や商品・サービスブランド名などを検索することで口コミを収集します。

各SNSのアカウントさえ用意すれば実施できる上、費用も掛からないため、最も手軽に実施できる口コミの収集・分析手法と言えるでしょう。ただし、手作業で情報を集めていくことになるため、かなりの工数がかかるのが難点です。

集めた情報の精査もアナログで行うことになり、分析の精度が低くなってしまう可能性があるでしょう。

2. 口コミ分析ツールを活用する

口コミ分析ツールを利用すれば、各種SNSや口コミサイトなどに投稿される口コミを効率的にモニタリングすることができます。

SNSにおける検索上位キーワードやトレンドとなっているトピック、消費者のセグメンテーション(属性ごとの分類)など把握できるため、精度の高い口コミ分析を実現することができるでしょう。

Meltwaterでは、キーワード分析やセグメント分析は勿論のこと、競合他社のモニタリング・ベンチマーク分析やオーディエンスの把握、コンテンツ戦略の最適化なども実施できます。

3. マーケティング会社に委託する

マーケティング会社に口コミ分析を委託するというのも一つの手法です。専門的なノウハウや経験を持つ人材が分析を行うため、自社で行うよりも精度の高い分析結果が得られる可能性があります。

またその分析結果を基にした、マーケティング施策改善に関するコンサルティングまで実施してくれるケースもあるため、分析から施策反映まで効率的に繋げることができるでしょう。

口コミ分析を実施する際の注意点

最後に口コミ分析を実施する際の注意点についてご紹介します。

1. 口コミ分析を行う目的を明確にしておく

一つ目に挙げられるのは口コミ分析を行う目的を明確にするという点です。口コミ分析を行う目的は企業によって異なります。

商品・サービスの改善に繋げることを主目的とする場合もあれば、炎上防止に軸を置いている場合もあるでしょう。

目的によって精査すべき口コミも異なるため、あらかじめ何のために口コミ分析に取り組むのかを明確にしておくことが重要になります。

2. 適切なキーワードを選ぶ

次に挙げられるのは、適切な検索キーワードを選ぶという点です。

例えば炎上防止などを目的とした場合は、メインキーワードに商品・サービス名や企業名を含めつつ、サブキーワードとして「使いにくい、最悪、ひどい」などのネガティブなワードを含めます。エゴサーチなら、企業名や商品名のみでも良いでしょう。

また検索結果を確認した際に、全く関係のない投稿があればその投稿に含まれるキーワードを除外キーワードとして設定しておくことで、情報の精査もしやすくなります。

除外キーワードは検索時に「‐”除外したいワード”」と入力することで設定可能です。半角のマイナス記号を、除外キーワードの前に打ちます。

3. 確証バイアスに注意する

ポイントの最後に挙げられるのは確証バイアスに注意するという点です。

確証バイアスとは、自分の持つ仮説や意見を肯定するような意見ばかりを集めてしまう心理現象のことを指します。

口コミ分析は消費者の本音を理解するために行うべきであり、自らの仮説や意見を補強するために行うものではありません。

とはいえ口コミ分析をしていると、自社にとって都合の良い情報ばかりに目が行き、ネガティブな情報は排除してしまいがちになります。

そのため、意識的にこのバイアスを排除しながら口コミ分析を行うことがポイントになるでしょう。ネガティブな意見でも、ビジネスチャンスや炎上防止に繋がるものであると覚えておくと良いです。

まとめ

今回は口コミ分析をテーマに、需要が高まった背景やメリット、具体的な手法などについてご紹介してきましたが、いかがでしたか。

SNS利用者が増加の一途を辿る中、インターネット上の口コミを参考に購買行動を行う消費者も増加しています。

消費者がどのような口コミをSNSなどに投稿しているのかをリアルタイムに把握することで、商品・サービスの改善は勿論、炎上などのリスクも防止することができるでしょう。

ぜひこの記事を参考にしつつ、口コミ分析に取り組んでいただければ幸いです。

Meltwaterでは口コミ分析に役立つソーシャルリスニングツールを提供しておりますので、ご興味のある方はぜひお問い合わせください。

山﨑伊代(Meltwate Japanエンタープライズソリューションディレクター)

大学卒業後、新規顧客開拓セールスコンサルタントとしてMeltwater Japan株式会社入社。
食品・生活用品・エンタメ・自動車・機械・学校法人等多種多様な企業・団体の広報・マーケティング部門のデジタル化並びにグローバル化をMeltwaterのソリューションを通して支援。 2016年~2018年グローバルセールスランキング首位。 趣味は山登りとビデオゲーム。

LinkedIn