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ROASとは?計算式や目安、ROI・CPAとの違い、改善策を解説

ROASとは?計算式や目安、ROI・CPAとの違い、改善策を解説


宮崎桃

Oct 3, 2025

「広告費をかけているのに思うように売上が上がらない」

「どの広告が効果的なのか判断できずに予算配分に悩んでいる」

このような課題を抱えている中小企業のマーケティング担当者も多いのではないでしょうか。

その解決策となるのが、ROASの活用です。ROASを正しく理解し、適切に運用することで、限られた予算でも最大の成果を上げることができます。

本記事では、ROASの計算方法やメリット・デメリット、改善方法を詳しく解説します。

ROASとは?

ROASとは?

ROAS(ロアス)とは「Return On Advertising Spend」を略した言葉で、広告費用に対する売上の割合(広告費用対効果)のことです。広告を経由した売上が広告費に対してどのくらいあったかを導き出すことで、広告の効果を測ります。ROASが200%であれば、広告費の2倍の売上があったことになります。


ROASが重要な理由

ROASが重要視される理由は、広告の効果を数値で明確に把握でき、次の施策につなげることができるからです。

複数の広告を比較することで、効果の高い広告に予算を集中させ、限られた予算を効率的に使うことができます。また、効果が低い広告であるとわかれば、デザインを変えたりランディングページを工夫したりと改善策を打つことができます。

ROASは広告費と売上が基準で、商品の製造にかかった費用は考慮されていません。そのため、異なる広告媒体で同じ商品をアピールする場合や、原価などは計算に入れず手軽に効果を知りたい場合などに適しています。

ROASの計算式

ROASの計算式は以下のとおりです。

計算式:広告経由の売上 ÷ 広告費 × 100(%)

たとえば、80万円の広告費で売上が200万円発生した場合、200万円 ÷ 80万円 × 100 = 250%となります。

計算で注意すべき点は、「広告費」の範囲を明確に定義することです。広告掲載費のみを対象とするか、代理店手数料や制作費なども含めるかによって結果が変わります。正確に効果を測定し続けるためには、社内で統一したルールを設けることが重要です。

また、売上が広告経由であることを正確に把握する必要があります。Web広告なら各種分析ツールで追跡可能ですが、テレビCMなどオフライン広告では購入者にアンケートをとるなど手間がかかり、測定が困難です。そのため、ROASはデジタルマーケティングにおいて特に有効な指標として活用されています。

ROASの計算基準

ROASの計算基準は、100%を基準とするか、売上とコストが同じ値になる損益分岐点を基準とするかの2つがあります。

100%を基準とする場合、広告費と同額の売上が発生する状態を基準点とします。ただし、この状態は商品の原価を考慮していないため、実際には赤字となります。

より実用的なのが損益分岐点を基準した考え方で、「顧客単価 ÷(顧客単価 - 原価)× 100(%)」で算出されます。たとえば、一つの商品の販売価格が10万円で原価6万円の場合、10万円 ÷(10万円 - 6万円)× 100 = 250%が損益分岐点となります。

ROAS200%は、100%を基準とする場合は2倍の効果となりますが、損益分岐点を基準とする場合は250%より低いため、効果がないことになります。

ROASとROI、CPAとの違い

広告効果を測定する指標にはROAS以外にもROIやCPAがあります。それぞれの特徴と使い分けを見ていきます。

指標何を測る指標か計算式適用範囲
ROAS広告費対売上広告経由の売上÷広告費×100(%)同じ商品で異なる複数の広告の効果を比較したい場合
ROI広告費対利益広告経由の利益÷広告費×100(%)利益率を正確に把握したい場合
CPAコンバージョン1件を獲得するコスト広告費÷コンバージョン件数(通貨単位)顧客を獲得したい場合

ROIとの違い

ROASとROI(投資利益率)の違いは、ROASは広告費に対する売上の割合を示すのに対し、ROIは広告費に対する利益の割合を表すという点です。以下がROIの計算式です。

ROIの計算式:広告経由の利益 ÷ 広告費 × 100(%)

「広告経由の利益」の出し方は、「売上 - 原価 - 広告費」が一例です。たとえば、5万円の広告費で原価8万円の商品が売上20万円だった場合を考えてみましょう。ROASは「20万円÷5万円×100=400%」となりますが、ROIは「(20万円-8万円-5万円)÷5万円×100=140%」となります。

利益率を知りたい場合はROI、原価や人件費などは考えず売上ベースでシンプルに効果を測定したい場合はROASが適しています。

以下内部リンクの設置をお願いします。

▶︎あわせて読みたい:ROIとは?併せて理解したい指標、計算式を解説

CPAとの違い

ROASとCPA(顧客獲得単価)の違いは、ROASは広告費に対する売上の割合を示すのに対し、CPAはコンバージョン1件を獲得するのにかかった費用を表すという点です。コンバージョンとはWebサイトにおける目標達成数のことで、資料のダウンロード数や問い合わせ件数などがあります。以下がCPAの計算式です。

CPAの計算式:広告費 ÷ コンバージョン件数(円)

たとえば、14万円の広告費で20件のコンバージョンが発生した場合、CPAは7,000円となります。

CPAは資料請求や会員登録など顧客との接点を持つのにどのくらい広告効果があったかを測るのに適しています。


ROAS活用のメリット・デメリット

ROAS活用のメリット・デメリット

ROASを広告運用の指標として活用する際のメリットとデメリットを解説します。

メリット

ROASを活用する最大のメリットは、どの広告キャンペーンがどれだけの売上を生み出しているかが一目でわかることです。特に同じ商品で異なる媒体での広告効果を比較するときに役立ち、効果の高い施策に予算を集中させることができます。同じ広告を使う期間は限られるため、ROASは短期間での効果を測るのに適した指標です。

デメリット

ROASの主なデメリットは、売上のみに焦点を当てるため利益の実態を見落とす可能性があることです。たとえば、原価1万円の商品が売上4万円、広告費2万円だった場合、ROASは200%となりますが、ROIは50%です。また、ROASは測定時の広告効果を表すにすぎないため、リピートを増やしブランドロイヤリティを高めるといった顧客との長期的な関係構築の施策には向いていません。マーケティング効果の全体像を知るためには、ROIやCPAなど他の指標と併用することが重要です。

▶︎あわせて読みたい:ブランドロイヤリティとは?高めるメリットや評価指標、事例を解説

ROASの目標値の目安

ROASの目安として目標値を設定する際は、損益分岐点を基準に考えることが重要です。損益分岐点は、「顧客単価 ÷(顧客単価 - 原価)× 100(%)」で算出できます。損益分岐点はコストと利益が同値に当たる部分であるため、赤字にならない最低の目標値として設定します。単価8万円、原価2万円の商品では「8万円÷(8万円-2万円)×100=133%」が損益分岐点です。


積極的な目標値を設定するには、どの程度の利益を確保したいかによって決めます。30%の利益を確保したい場合は、「単価8万円-原価2万円=6万円」の70%にあたる4.2万円まで広告費をかけられることになります。ROASの計算式「広告経由の売上 ÷ 広告費 × 100(%)」に当てはめると、「8万円÷4.2万円×100=190%」です。したがって、この場合のROASの目標値の目安は190%で、少なくとも133%を下回らないように注意することです。

ROASの目標値の目安

なお、この計算では原価のみが考慮されています。人件費など他の投資額も計算に入れるなど、自社の利益構造を正確に把握した上で現実的な目標設定を行うのが大事です。

ROASを改善するためのポイント

ROASを改善するためのポイント

ROASを改善するためのポイントは以下の3つです。

  • 広告運用の最適化
  • サイト・CV導線の改善
  • 顧客単価を上げる

それぞれ詳しく解説します。

広告運用の最適化

広告運用の最適化では、ターゲティングの精度向上、クリエイティブの改善、広告費の見直しが重要な要素となります。

ターゲティングの精度をあげる

ターゲティングの精度を向上させることで、より購買意欲の高いユーザーに広告を配信でき、コンバージョン率の向上が期待できます。重要なのは、ターゲットのさらなる詳細であるペルソナ設定です。年齢や性別だけでなく、職業、年収、ライフスタイルまで具体的に設定することで、ペルソナに合わせたクリエイティブが作成できます。

▶︎あわせて読みたい:ターゲットオーディエンスとは?定義の方法と活用方法を解説

クリエイティブを最適化する

広告クリエイティブの質は、ユーザーの関心を引きつけ、行動を促すための重要な要素です。クリエイティブを改善するには、A/Bテストの実施が欠かせません。異なるデザインやコピーの効果を2パターンずつテストし、パフォーマンスの高いバージョンを特定しましょう。

SNS広告では動画コンテンツが特に効果的です。商品の使用方法や魅力を視覚的に伝えることで、静止画よりも高いエンゲージメントを獲得できます。

広告費を見直す

ROASは商品の原価を考慮しないため、同じ商品を異なる広告媒体で比較するのに適しています。広告媒体ごとの成果を定期的に分析し、ROASの高い媒体により多くの予算を配分しましょう。パフォーマンスの高い媒体に広告費の予算を集中させ、効果の低い媒体の広告費は予算を抑えながら改善策を打ち出すことで、最適化を図れます。コンバージョンにつながりやすいキーワードの入札単価を上げるといった調整も大事です。

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サイト・CV導線の改善

ランディングページやサイト内のコンバージョン導線を最適化することで、ROASを向上させることができます。購入ボタンの配置や色を目立つように調整し、入力フォームの項目数を最小限に抑えるなどの方法があります。A/Bテストを継続的に実施し、見出し文言や商品画像の配置などを改善していくことでコンバージョン率を高められるでしょう。

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顧客単価を上げる

顧客一人当たりの購入金額が増えれば、、同じ広告費でより多くの売上を獲得でき、ROASを改善できます。最も効果的な手法はクロスセルとアップセルです。クロスセルでは関連商品を同時購入してもらい、アップセルではより高価格帯の商品への誘導を行います。商品の購入時に「この商品と一緒によく購入されています」といった関連商品を提案したり、上位グレードの商品の魅力を訴求したりする施策が有効です。

まとめ|ROASを活用して費用対効果を向上させよう

ROASとは、広告費用対売上の割合を数値化した指標で、広告の効果を測るものです。広告の予算配分や、次の施策の改善に活かすことができます。

ROIやCPAといった他の指標と併せて活用することで、利益率の把握や顧客との接点作りの費用効果なども見えてきます。限られた予算で最大の成果を上げるために、ROASを積極的に取り入れていきましょう。

この記事の監修者:

宮崎桃(Meltwate Japanエンタープライズソリューションディレクター)

国際基督教大学卒。2016年よりMeltwater Japan株式会社にて新規営業を担当。 2020年よりエンタープライズソリューションディレクターとして大手企業向けのソリューションを提供。 ソーシャルメディアデータ活用による企業の課題解決・ブランディング支援の実績多数。 趣味は映画鑑賞、激辛グルメ、ゲーム

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