「広告費をかけて集客しているのに、なかなか売上につながらない」
「サイトの改善をしたいけれど、何から手をつけていいかわからない」
このような悩みを抱えている企業のマーケティング担当者も多いのではないでしょうか。
その解決に重要になってくるのが、CVR(コンバージョン率)の改善です。CVRを正しく把握し、適切な施策を実行することで、同じ集客数でも成果をより高められます。
本記事では、CVRの計算方法や業界別の平均値、改善方法について、実践的なノウハウを詳しく解説します。
CVR(コンバージョン率)とは
CVR(Conversion Rate)とは、一定期間のうち、Webサイトの運営上における目標がどのくらい達成されたかを表す割合です。目標は商品の購入数や資料請求数、予約完了数などその都度異なり、Webサイトへの訪問数から割り出します。計算式は以下のとおりです。
計算式:CVR=コンバージョン数 ÷ セッション数(訪問数)× 100(%)
たとえば、商品購入を目標にしている場合、サイトに100回のアクセスがあり、3回商品が購入されたらCVRは「3÷100×100=3%」となります。セッション数とはサイトに訪問した回数のことで、同じユーザーが2回訪問したら「2」とカウントされます。
CVRが高いほど、同じ集客数でもより多くの成果を得られるため、マーケティング活動において欠かせない測定指標となっています。
CVRとCTRの違い
CTR(Click Through Rate)は、Webサイトに誘導する広告やWebサイトのリンクなどが表示された回数に対して、クリックされた割合を示します。計算式は以下のとおりです。
計算式:CTR=クリック数 ÷ インプレッション数(表示回数)× 100(%)
たとえば、広告が1,000回表示されて50回クリックされた場合のCTRは「50÷1,000×100=5%」となります。CTRは集客力、CVRは成約力を測るため、両方を分析することでマーケティング施策の課題を特定できます。
CVRの計測・改善が重要な理由
CVRの計測・改善は、Webサイトの費用対効果を最大化するために不可欠です。CVRを1%から3%に改善すれば、同じ広告費で3倍の成果を得られることを意味します。
CVRを改善するには、サイトのデザインやコンテンツを工夫しながら継続的にCVRを計測することが大切です。どのような施策に効果があったかが明確になるため、効率的なマーケティング活動を展開できるようになります。
CV(コンバージョン)の主な種類
CVとは、Webサイトの運営における目標のことです。Webサイトのサービスに応じてさまざまな種類が設定されます。自社のビジネスモデルに最適なCVを設定することが重要です。以下の表で、サービス別のCV例をまとめました。
サービス | 主なCV(コンバージョン) |
---|---|
ECサイト・通販 | 商品の購入、会員登録 |
BtoBサービス | 資料請求、問い合わせ、見積もり依頼 |
サブスクリプション | 無料トライアル申込、有料プラン契約 |
メディア情報サイト | メルマガ登録、会員登録 |
求人・転職サイト | 求人応募、アカウント登録 |
アプリ・ゲーム | アプリダウンロード、課金 |
CVRの計算方法
CVRの計算方法を以下の3パターンに分けて解説します。
- 一般的なWebサイトのCVRの場合
- ユーザー数をベースにしたCVRの場合
- 広告に対するCVRの場合
訪問数をベースにしたCVRの場合
Webサイトへの訪問数をベースにした計算方法は、CVRを導き出す一般的な方法です。サイトに訪問した数(セッション数)に対して、どれだけのコンバージョンが発生したかを割合で表します。この計算方法により、サイト全体のパフォーマンスを客観的に評価できます。
計算式:CVR = コンバージョン数 ÷ セッション数 × 100(%)
たとえば、セッション数が20,000でコンバージョン数が400の場合、CVRは「400÷20,000×100=2%」となります。
ユーザー数をベースにしたCVRの場合
ユーザー数ベースのCVRは、同一ユーザーが複数回訪問した場合でも「1」とカウントされるため、より実態に近い成果を把握できます。リピート訪問数や、ユーザー単位での成果測定をする際に有効な指標となります。
計算式:CVR = コンバージョンしたユニークユーザー数 ÷ 総ユニークユーザー数 × 100(%)
たとえば、ユニークユーザー数が15,000人で、そのうち300人がコンバージョンした場合、CVRは「300÷15,000×100=2%」です。
広告経由のCVRの場合
広告CVRは、広告投資の効果を直接測定する重要な指標です。広告経由でWebサイトにアクセスした数のうち、実際にコンバージョンに至った割合を示すため、広告の質や投資効率を評価できます。リスティング広告やディスプレイ広告などのクリック課金型広告では、クリック数を分母とするのが一般的です。
計算式:CVR = コンバージョン数 ÷ 広告クリック数 × 100(%)
たとえば、広告が5,000回クリックされ、そのうち150件のコンバージョンが発生した場合、CVRは「150÷5,000×100=3%」となります。この数値が高いほど、広告の訴求力や誘導先ページの完成度が優れていることを示しています。
▶︎あわせて読みたい:【SNS広告の基本】特徴や費用・成功事例までわかりやすく解説
【業界・商材別】CVRの目安・平均値
CVRの平均値は業界やビジネスモデルによって大きく異なりますが、どの業界もディスプレイ広告からよりも検索からのCVRが高いことが共通しています。
業界・分野 | 検索経由のCVR | GDN(Googleが提供する ディスプレイ広告)経由のCVR |
---|---|---|
アドボカシー(権利擁護) | 1.96%w | 1.00% |
自動車 | 6.03% | 1.19% |
BtoB | 3.04% | 0.80% |
消費者サービス | 6.64% | 0.98% |
出会い・パーソナル | 9.64% | 3.34% |
Eコマース | 2.81% | 0.59% |
教育 | 3.39% | 0.50% |
人材サービス | 5.13% | 1.57% |
金融・保険 | 5.10% | 1.19% |
医療・ヘルスケア | 3.36% | 0.82% |
家具・インテリア | 2.70% | 0.43% |
産業サービス | 3.37% | 0.94% |
法務・リーガル | 6.98% | 1.84% |
不動産 | 2.47% | 0.80% |
テクノロジー | 2.92% | 0.86% |
旅行・ホスピタリティ | 3.55% | 0.51% |
参照:Google Ads Benchmarks for YOUR Industry[Updated!]
CVRを改善させるコツ
CVRを改善させるコツは以下の4つです。
- 広告のターゲットの最適化
- Webサイトの改善
- 口コミ・レビューを増やして信頼感を上げる
- ABテストなどを活用した継続的な改善
それぞれ詳しく解説します。
広告のターゲットの最適化
Web広告やSNS広告からWebサイトへ誘導しCVRを高めるには、ターゲットを正確に絞り込み、興味を引くアプローチをすることが重要です。
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ターゲット設定の精度を上げる
ターゲットを絞り込めば、広告のクリック数がさほど多くなくても、コンバージョン率を高めることができます。ターゲット設定の精度を上げるには、ペルソナのような詳細な設定が不可欠です。年齢や性別だけでなく、職業や居住地域、ライフスタイル、趣味嗜好まで具体的に設定します。詳細な設定により、SNSの使用傾向や購買行動が分析でき、配信すべき媒体やタイミングが明確になります。
ターゲットに合わせた広告クリエイティブ
ターゲットを決めたら、設定したターゲットの関心やニーズに合わせて広告クリエイティブを最適化する必要があります。ターゲットの悩みや疑問をキャッチコピーにしたり、質を重視するターゲット向けに高級感のある色合いやレイアウトにしたりするなどの工夫が考えられます。SNS広告では、SNSプラットフォームによって短文のテキストや動画など表現の強みが異なるため、それぞれに適したクリエイティブを制作することが重要です。
Webサイトの改善
Webサイトの改善は、CVR向上において直接的な効果をもたらします。ユーザーがサイトに訪問してからコンバージョンに至るまでの各段階で離脱を防ぎ、スムーズな導線を作ることが重要です。
LPの改善
LP(ランディングページ)とは、狭義では申し込みや購入へ誘導するためのページのことです。縦長1ページにまとめるのが一般的で、商品の必要性が分かるようストーリー仕立てにし、最終的に購入ページなどにつなげます。ストーリー部分を見やすくしたり内容を充実させたりするなどして、いかにユーザーの関心をひきつけるかがポイントです。
KWの最適化
コンバージョンにつながるユーザーからのアクセスを増やすには、適切なキーワードを選定し、Webサイトのコンテンツで使用することが重要です。SEO対策とも呼ばれているもので、ターゲット層がどのような疑問を持ち、どのようなキーワードを使って検索するかを予測することで、キーワードを洗い出します。ツールを使えば、適切なキーワードを自動的に抽出したり、競合他社が成果を上げているキーワードを調査したりすることもできます。
CVに繋がる導線とCTAの設計
CTAとは、「今すぐ購入」「無料で試す」などユーザーに具体的な行動を促すためのボタンのことです。コンバージョンに直接つながる部分のため、CTAに至るまでの導線を分かりやすい構造にしたり、CTAボタンを目立つ色にしたりするなどの工夫が必要です。
フォームの改善
問い合わせや入力フォームの改善も、入力途中の離脱を防ぐのに効果的です。入力項目を必要最小限に絞ったり、選択項目を作って入力の手間を省いたりする方法があります。決済ページのフォームも、Amazon PayやApple Payなどのワンクリック決済を導入することで、スムーズな購入につながります。
口コミ・レビューを増やして信頼感を上げる
口コミやレビューを積極的に増やし、新規ユーザーの不安を解消することでCVRを改善できます。既存顧客の商品やサービスの体験談が購入決定の重要な判断材料となります。
レビュー投稿を促すには、ポイント付与や割引クーポンなどの特典を用意することが有効です。またSNSキャンペーンを実施して、商品使用シーンの写真投稿を促進することで、より多くのユーザーに商品の魅力を伝えられます。質の高いレビューが蓄積されることで、サイト全体の信頼度が向上し、結果的にCVR改善につながります。
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ABテストなどを活用した継続的な改善
顧客ニーズは社会の変化によっても変わるため、訴求方法は継続的な改善が必要です。CVRと併せて、商品の売上や競合の動きなど複数のデータに基づいて仮説と検証を繰り返すことで、実際のユーザー行動に基づいた最適化が可能になります。
施策を2パターン用意しどちらが効果的かを測るABテストの実施は、改善のための方法の一つです。SNSの広告文やメインビジュアルなどを検討する際にも使えます。定期的な検証サイクルを構築することで、着実にCVRアップを目指せるでしょう。
まとめ|CVRを理解してコンバージョン改善に繋げよう
CVR(コンバージョン率)は、Webサイトへの訪問回数のうち成果に至った割合を示す指標です。
業界によって平均値は異なりますが、継続的な改善によりCVRを向上させることができます。ターゲティング精度の向上やサイトの導線の改善、口コミによる信頼性構築など、ユーザー体験を重視した施策が効果的です。
適切な施策を実行し、より多くの成果につなげましょう。
この記事の監修者:
宮崎桃(Meltwate Japanエンタープライズソリューションディレクター)
国際基督教大学卒。2016年よりMeltwater Japan株式会社にて新規営業を担当。 2020年よりエンタープライズソリューションディレクターとして大手企業向けのソリューションを提供。 ソーシャルメディアデータ活用による企業の課題解決・ブランディング支援の実績多数。 趣味は映画鑑賞、激辛グルメ、ゲーム