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フリークエンシーとは?広告効果を高める最適頻度と設定方法

フリークエンシーとは?広告効果を高める最適頻度と設定方法


山﨑伊代

Jun 10, 2025

「フリークエンシーって何?」「広告を出すならどのくらいの頻度がベストなの?」と悩んでいる方もいるのではないでしょうか。デジタル広告運用において、適切な広告表示頻度は効果を左右する重要な要素です。しかし、目的や媒体によって最適な設定値は異なるため、判断に迷うことも少なくありません。

そこでこの記事では、フリークエンシーの基本概念から最適な設定方法、媒体別の確認手順までを詳しく解説します。

フリークエンシーとは

フリークエンシーは、「1人のユーザーが特定の同じ広告を見た平均回数」を表す指標です。測定期間は1週間や3か月など、設定は自由です。Web広告だけでなく、テレビCMなどの媒体でも扱われる指標です。

1人のユーザーが何回広告に接触したかが明確になると、他の指標とあわせて認知の質が分かるようになり、ユーザーとの適切な接触バランスを見極めることができます。

リーチやリーセンシーとの違い

リーチやリーセンシーとの違い

フリークエンシーと似た指標に「リーチ」「リーセンシー」がありますが、それぞれ意味が異なります。

リーチは広告を見たユーザーの数を示す指標です。3人のユーザーがそれぞれ6回同じ広告を見たら、リーチは3、フリークエンシーは6となります。

リーセンシーは、ユーザーが広告に接触してからの経過期間を指します。いつその広告を見たか知ることで、広告の記憶が新鮮かを確認できます。

フリークエンシーとリーチを組み合わせることで、広告が届いた先が幅広い層かニッチな層かを知ることができます。リーセンシーと広告のクリック率もあわせて分析すると、広告効果が持続する期間も見えてくるでしょう。

フリークエンシー最適化が重要な理由

フリークエンシーの最適化は、広告の費用対効果(ROI)を高めるうえで欠かせません。

広告を複数回表示することで認知や理解が深まり、ユーザーの行動につながる可能性が高くなります。特にBtoB領域では、検討に時間がかかるため、繰り返しの接触が重要です。

しかし、同じ広告を何度も表示すると「しつこい」「見飽きた」といったネガティブな印象を与え、逆に離脱を招く恐れがあります。その結果、クリック率やエンゲージメントが低下し、コストだけが増える状態に陥りかねません。

適切なフリークエンシー設定により、限られた予算で最大限の成果を上げるためには、接触の質と回数のバランスを取ることが必要です。

フリークエンシーの計算方法

フリークエンシーの計算方法

フリークエンシーの基本的な計算式は以下のとおりです。

フリークエンシー = 広告の総インプレッション数 ÷ リーチ数

インプレッションとは、広告が表示された回数を表します。例えば、あるキャンペーンで5,000回のインプレッションがあり、1,000人のユニークユーザーが広告を見た場合、フリークエンシーは「5」となります。これは1人あたり平均5回広告を見たことを意味し、広告がどれほど繰り返し届けられているかを示しています。

フリークエンシーが高いと、広告がユーザーの印象に残っていることが分かります。しかし、高ければよいというわけではありません。過剰な表示で、ユーザーが広告疲れをしている可能性もあります。クリック率などと併せて、フリークエンシーの質を見抜く必要があります。


フリークエンシーの目安

フリークエンシーはターゲット層や広告の掲載媒体によって異なるため、適切な値というのは一概にはいえません。実際に広告を配信し、フリークエンシーや他の指標をデータとして蓄積することで、自社にとっての適切な値が見えてくるでしょう。

目安としては、フリークエンシーの平均は広告セット当たり1~2回とのことです(Metaビジネスヘルプセンター)。

また、デジタル・アドバタイジング・コンソーシアムの2011年の調査結果によれば、フリークエンシーが4回に達すると、約半数のユーザーがディスプレイ広告を認知し、8回以上になると再び認知度が向上する傾向がみられました。

注意したいのは、フリークエンシーが高いことは、コンバージョン(最終的な目標の達成)につながるとは限らないことです。何度も同じ広告が表示されることで、ユーザーが気分を害しているかもしれません。クリック率やコンバージョン率(広告をクリックしたユーザーのうち最終的な成果につながったユーザーの割合)とも組み合わせてデータを読み取ることが大切です。


フリークエンシーキャップとは

フリークエンシーキャップとは、同じWeb広告を1人のユーザーに何回まで表示するかを制限できる仕組みです。各Web広告やSNS広告で設定できます。

広告の表示しすぎを抑え、ユーザーの広告疲れや不快感を防止します。また、関心の薄いユーザーに何度も広告を表示する無駄を省くことで、広告費を抑えられる点も大きなメリットです。

フリークエンシー最適化のコツ3つ

フリークエンシー最適化のコツ3つ

フリークエンシーを最適化するために押さえておきたい3つのコツを紹介します。これらを実践することで、広告予算の無駄を減らしながら、効率的に成果を上げられるでしょう。


広告の目的を明確にする

フリークエンシーを最適化するには、まず広告の目的をはっきりさせることが大切です。新商品の認知拡大が広告の目的なら、何度も表示することでユーザーに印象を残す必要があります。逆に、すでに関心の高い層へのリマインド目的であれば、少ない回数でも十分効果が得られる場合もあるでしょう。

表示回数に正解はなく、目的に応じた調整が欠かせません。「認知」「検討促進」「購入促進」など、どの段階のユーザー行動を狙うかをはっきりさせることで、配信設計やKPIの設定、予算配分の見直しもしやすくなります。

ターゲットを定める

ターゲットを明確にすることもフリークエンシーの最適化には欠かせません。誰に向けて広告を届けるのかを決めずに配信を続けると、不要なユーザーにまで広告が届き、コストだけがかさむ可能性があります。

すでにサイトを訪れたユーザーと、新規接触のユーザーでは、最適な接触回数は当然異なります。ここで重要になるのがターゲットオーディエンスの設計です。年齢・性別・関心・行動履歴といったデータをもとに分類することで、届けたい層に広告を届けることができます。

若年層向けならSNSを活用する、購入検討層には比較記事と連携させるなど、配信媒体や配信方法も戦略的に決めるべきです。無駄なインプレッションを減らすには、ターゲットの精度がカギになります。

他の指標とあわせて効果を検証し改善する

最適なフリークエンシーを見つけるには、テストと検証の繰り返しが欠かせません。まずは仮の設定値で広告を運用し、クリック率(CTR)やコンバージョン率(CVR)、1件のコンバージョンを得るまでにかかったコスト(CPA)などの成果指標をチェックしましょう。

効果が期待値を下回る場合は、表示回数が過剰になっていないかを確認します。PDCAサイクルを活用し、「設定→配信→結果分析→再設定」という流れを何度か繰り返すことで、自社に合った適切な表示頻度が見えてきます。一度で正解を出すのは難しいため、数値に基づいた改善を継続することが重要です。


媒体別のフリークエンシー確認方法

広告プラットフォームごとにフリークエンシーの確認手順や指標名は異なります。ここでは、主要な媒体別に確認方法を紹介します。広告運用の調整に役立てましょう。

Google 広告

Google広告では、フリークエンシーを含めたさまざまな指標を示した「ブランド レポート」にアクセスできます。フリークエンシーの値を表示させるには、項目を追加する必要があります。以下は項目の追加方法です。フリークエンシーは「平均表示頻度」という名称で表示されます。

  1. Google広告管理画面にログインし、「キャンペーン」のアイコンをクリックする
  2. 「キャンペーン」のプルダウンメニューから、「キャンペーン」か「広告グループ」か「広告」を選択する
  3. 掲載結果の表の上の「表示項目」アイコンをクリックし、表示されるドロップダウンから「表示項目の変更」を選択する
  4. 開いたウィンドウ内で「リーチの指標」カテゴリを探し、「平均表示頻度(ユーザーあたり)」か「「平均表示頻度(ユーザーあたり7日間)」か「平均表示頻度(ユーザーあたり30日間)」にチェックを入れる
  5. 「適用」ボタンをクリックすると、掲載結果の表にフリークエンシーの数値が表示される

また、ブランド レポートへのアクセス方法は以下のとおりです。  

  1. Google広告管理画面にログインし、「キャンペーン」アイコンをクリックする
  2. セクションメニューの「分析とレポート」から「ブランド レポート」をクリックする

参考:掲載結果データの表の表示項目を追加、削除する - Google 広告 ヘルプ

   リーチとフリークエンシーを測定する - Google 広告 ヘルプ


Yahoo!広告

Yahoo!ディスプレイ広告の場合は、専用レポートの作成によってフリークエンシーを確認できます。レポート内では「平均接触回数」という名称でフリークエンシーが表示されています。

  1. Yahoo!広告の管理画面にログインし、画面右上にある「レポート」アイコンをクリックする
  2. 表示されたページで「+レポート・テンプレート作成」ボタンを選択する
  3. レポートの名前や期間などの必要情報を入力し、「作成」ボタンをクリックする
  4. 生成されたレポートをダウンロードすると、フリークエンシーの値を含む詳細データが確認できる

参考:パフォーマンスレポート・テンプレートの作成【検索広告】 - ヘルプ - Yahoo!広告

Meta広告

Meta広告は、Meta広告マネージャから確認できます。

  1. Meta広告マネージャーにログインし、フリークエンシーを確認したい「キャンペーン」か「広告セット」か「広告」を選択する
  2. 「内訳」アイコンをクリックする
  3. 画面上部の「列:パフォーマンス」というドロップダウンをクリックし、表示されるメニューから「列をカスタマイズ」を選択する
  4. 開いたウィンドウ内の「パフォーマンス」カテゴリから「フリークエンシー」にチェックを入れる
  5. 画面右下の「適用」ボタンをクリックすると、選択したキャンペーンのフリークエンシー値が表示される

  

参考:

Meta広告マネージャの内訳で広告パフォーマンスを把握する | Metaビジネスヘルプセンター

Meta広告レポートの内訳、指標、フィルターについて | Metaビジネスヘルプセンター

▶︎あわせて読みたい:【SNS広告の基本】特徴や費用・成功事例までわかりやすく解説


X(Twitter)広告

X(Twitter)広告は、管理画面からフリークエンシーのレポートを生成可能です。

  1. X広告マネージャーの「データ」タブから「データをカスタマイズ」を選択する
  2. 名前を入力するか一覧からカテゴリを選択し、データを検索する
  3. データをドラッグ&ドロップでレポート一覧に追加する
  4. カスタムデータセットを保存する
  5. X広告マネージャー画面の左側のメニューから「データ」をクリックする
  6. 表示された画面で「データセット」セクションにある「リーチとフリークエンシー」オプションを選択する
  7. キャンペーン名、日付範囲などの条件を設定し、「レポートを生成」をクリックする
  8. 生成されたレポートにフリークエンシーのデータが表示される

参考:X広告マネージャー

LINE広告

LINE広告では広告効果を知るために「LINE Tag」を設置する必要があります。それから広告効果のレポートをダウンロードできます。以下はダウンロードの方法です。

  1. 「広告アカウント」タブから、ダウンロードしたい広告アカウント名を選択する
  2. 画面左上の「MENU」から「レポートと計測」の「パフォーマンスレポート」を選択する
  3. 「+レポートを作成」画面で、レポートの出力項目を入力し、「作成する」をクリックする
  4. レポート一覧から必要な項目をダウンロードする

参考:LINE広告|LINE Tagのコードを取得する方法LINE広告|レポートをダウンロードする方法


フリークエンシーのよくある疑問

広告運用において特に質問の多い2つのテーマについて、実際の運用に役立つ視点で解説します。

フリークエンシーが高すぎるのは良くない?

フリークエンシーが高いということは、同じユーザーに繰り返し広告が表示されることを意味します。これにより、商品やサービスの名前を覚えてもらいやすくなり、興味がある人には購入のきっかけになる可能性もあります。

一方で、あまりに何度も表示されると「しつこい」といったネガティブな印象を与えるリスクがあります。また、クリック率の低下により、クリック単価(CPC)や表示単価(CPM)が上昇し、結果的に広告効率が悪化することもあります。

クリック率などとあわせて指標を計測し、必要ならフリークエンスキャップで表示回数を制限するとよいでしょう。

媒体ごとの最適なフリークエンシーは?

媒体によって最適なフリークエンシーは変わるため、画一的な基準はありません。ターゲットや広告フォーマット、配信方法によって最適な回数は異なります。

重要なのは、自社の配信実績をもとに、クリック率やコンバージョン率などを観察しながら、媒体ごとに調整することです。PDCAを回しながら、成果が最も出やすい表示回数を見極めましょう。


まとめ|最適な広告頻度で効果を最大化しよう

フリークエンシーは、広告効果を表す重要な指標です。フリークエンシーの値が大きいと、ユーザーが広告を見た回数が多いことになり認知効果が期待できます。しかし、多すぎるとユーザーに不快感を与えるリスクがあるため、目的やターゲットに応じた調整が不可欠です。

まずは広告の目的を明確にし、ターゲットオーディエンスを設定したうえで、実際の配信データを分析しながら最適な表示回数を見極めましょう。また、媒体ごとに確認方法が異なるため、使用しているプラットフォームで数値をチェックし、効果測定を続けることが重要です。

常に数値をもとに改善を繰り返すことで、広告効果の最大化とコストの最適化が実現できます。

この記事の監修者:

山﨑伊代(Meltwate Japanエンタープライズソリューションディレクター)

大学卒業後、新規顧客開拓セールスコンサルタントとしてMeltwater Japan株式会社入社。
食品・生活用品・エンタメ・自動車・機械・学校法人等多種多様な企業・団体の広報・マーケティング部門のデジタル化並びにグローバル化をMeltwaterのソリューションを通して支援。 2016年~2018年グローバルセールスランキング首位。 趣味は山登りとビデオゲーム。

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