近年、情報を得る手段がオンラインとオフラインで多様になり、単一チャネルだけでは消費者との十分な接点を作れなくなっています。
こうした状況を打開する手段として注目されているのが、メディアミックスです。複数の媒体を使って宣伝することで、消費者との接点を増やします。
本記事では、広告・マーケティング施策としてのメディアミックスの基本的な考え方・媒体の種類・設計の進め方・効果測定のポイント・成功例を解説します。アニメやIPコンテンツの展開文脈で使われる同名の用語の解説ではないため、ご注意ください。
メディアミックスとは
なぜ今メディアミックスが重要なのか
メディアミックスと混同しやすい用語との違い
メディアミックスのメリット
メディアミックスのデメリット・注意点
メディアミックスを成功させる進め方6ステップ
メディアミックスの成功例
メディアミックスの設計・効果測定にMeltwaterの分析ツールを活用する方法
まとめ|複数媒体を利用して顧客との接点を増やそう
メディアミックスとは
マーケティングにおけるメディアミックスとは、複数の媒体を活用して、自社や商品のことを宣伝する手法です。媒体は、テレビCM・OOH(屋外・車内広告)・Web広告など広告がメインですが、自社サイトやSNSの公式アカウントでの発信も含まれます。同様の宣伝内容を複数の媒体で展開することで、各媒体の特性を活かしながら認知拡大が図れます。
メディアミックスの目的
メディアミックスの目的は、消費者との接点を増やすことにあります。新聞を利用していない世帯やメールマガジンを購読している人など、日常的に使っている媒体は消費者によって異なるため、メディアミックスによりリーチ漏れを防ぐことができます。
また、消費者は日頃から複数の媒体に触れているため、複数のメディアを使うことで何度も接触でき、宣伝効果がアップします。単に媒体数を増やすのではなく、ターゲット層や各媒体の強みを考慮して選ぶことが重要です。
主な媒体の種類
メディアミックスで活用される媒体は、オンラインとオフラインの2種類に大別されます。
| 媒体例 | |
|---|---|
| オフライン | テレビ、ラジオ、新聞、雑誌、屋外・交通広告(OOH)、折込チラシ、フリーペーパー、POP |
| オンライン | Web広告(SNS広告、動画広告、検索連動型広告)、メールマガジン、Webサイト |
オフラインは幅広い不特定多数に届きやすく、オンラインはリアルタイムで情報を届けられるという特徴があります。
なぜ今メディアミックスが重要なのか
メディアミックスが重要になっている背景には、消費者の行動の変化と技術的な変化があります。
単一チャネルでは接点が足りなくなっている
情報収集の場が多様になった今、1つの媒体だけで特定のターゲット層に継続的にリーチし続けるのは現実的ではありません。例えば、テレビは若年層ほど視聴率が低いため、若年層をターゲットにする施策には不十分です。また、消費者は複数の媒体を日常的に使用しています。接触回数を増やすためにも、複数の媒体を展開させることが重要になっています。
オンライン・オフラインを横断した効果測定が進んでいる
オフラインでの効果測定がAIでできるようになったことで、オンラインとオフラインを統合した効果測定が可能になりました。以前はテレビCMは視聴率、屋外広告は通行量などを基に効果を測定していましたが、AIツールやAIカメラの登場でユーザー行動がより的確に測定できるようになりました。オフライン情報がデジタル化されたことで、オンライン情報と横断できるようになり、複数の媒体を使った場合も全体的な効果測定が可能です。
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メディアミックスと混同しやすい用語との違い
メディアミックスに似た概念として、クロスメディアとPESOモデルが挙げられます。いずれも複数の媒体に関わる概念ですが、意味や目的は異なります。
| メディアミックス | クロスメディア | PESOモデル | |
|---|---|---|---|
| 目的 | 複数媒体からの発信で認知拡大・想起形成を狙う | 消費者に媒体間の移動を促し、検討や購入など次のステップへ誘導する | メディアを4種類に分類し、現存するメディアの全体像を整理する |
| ユーザー行動 | 異なる媒体で同じブランドに繰り返し接触する | 媒体をまたいで次のステップへ自然に移動する | 特定のユーザー行動は想定しない/td> |
| 代表的な活用シーンw | 新商品の認知拡大、ブランドの想起形成 | QRコードでSNSへ誘導、SNS広告からLPへ送客 | 施策設計前のメディア棚卸し、予算配分の整理 |
クロスメディアとの違い
クロスメディアは、複数の媒体を連携させて消費者を次の行動へ誘導するマーケティング手法です。店頭ポスターのQRコードからSNSへ、SNS広告のリンクからLPへといった形で展開し、最終的に購買につなげることが目的です。
一方、メディアミックスは複数の媒体で同様のメッセージを届けることが相違点です。各媒体の利用者にリーチして認知を広げることを目的としており、消費者の次の行動段階へ誘導することが直接的な目的ではありません。
PESOモデルとの違い
PESOモデルは、メディアをPaid(広告)・Earned(第三者からの評価・掲載)・Shared(SNSでの拡散)・Owned(自社サイトやオウンドメディア)の4種類に分類するフレームワークです。
PESOモデルが媒体を分類する枠組みであるのに対し、メディアミックスは媒体を複数活用して認知を最大化する手法です。
メディアミックスのメリット
メディアミックスにより複数の媒体に出稿することで、さまざまなメリットがあります。
幅広い層にリーチできる
消費者によって日常的な使用媒体は異なるため、単一媒体の利用は、その媒体をほとんど使わない層にメッセージが届きません。複数の媒体を活用すると幅広い層にリーチできるようになり、認知度の底上げが図れます。
接触回数を増やし、想起を高められる
ほとんどの消費者は複数の媒体を日頃から使用しています。そのため、メディアミックスを活用すれば、消費者との反復接触が可能です。朝のニュースサイトで目にし、昼にSNSで見かけ、夜にテレビCMで再び触れると「このジャンルといえばあのブランドだ」という自然な想起につながります。また、接触回数を重ねることで、親しみや好感が生まれるザイオンス効果(単純接触効果)も期待できます。
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媒体ごとの弱みを補完できる
各媒体が得意な役割を担うことで、リーチと接触回数を効率よく積み上げられる点もメディアミックスの強みです。テレビCMや動画広告は数秒で印象付けることができ、オウンドメディアや新聞では詳しい内容を掲載することができます。また、SNS広告や動画広告は特定層への反復接触に向いています。それぞれの得意領域を活かした組み合わせが、露出効率の向上につながります。
媒体間の効果が比較できる
メディアミックスでは複数の媒体を活用するため、媒体ごとの効果を比較できるようになります。宣伝を出す前と後で購買率やブランドの言及数を測定し、どの媒体が大きく影響しているかを調査します。媒体間の効果の比較は、予算配分や媒体選定の判断材料になり、クリエイティブの改善にもつながるでしょう。
メディアミックスのデメリット・注意点
メディアミックスは複数媒体を活用することで露出を広げられる反面、運用を間違えると、媒体を増やすほど負担だけが増えるリスクもあります。
施策が分散するおそれがある
メディアミックスは複数の媒体を扱うため、方針が社内全体に共有されていないと、施策の方向性がバラバラになりかねません。各媒体で訴求ポイントが異なっていてはブランドイメージが確立せず、接触機会が増えても消費者の記憶に残らなくなってしまいます。媒体間でブランドに一貫性が出るよう、広告のメインカラーやメッセージなどは統一しておくことが必要です。
クリエイティブと運用の工数が増える
媒体が増えるほど、クリエイティブの制作工数が増えるのもデメリットです。テレビCM・SNS・ディスプレイ広告ではフォーマットがすべて異なるため、クリエイティブを使い回せないケースがほとんどです。また、素材の入稿や進行管理も媒体ごとに発生します。社内リソースを考慮せずに媒体を増やすと、手が足りずどの媒体の運用も中途半端になるリスクがあります。
効果測定が複雑になる
メディアミックスでは複数の媒体を扱うため、効果測定の項目が多くなります。CPA(顧客獲得単価)は施策全体の効果を知る指標の一つですが、これだけではどの媒体がどのくらい効果があったかが正確に判断できません。広告の表示回数やSNSでの言及量、ユーザーの行動データなど、媒体ごとの計測も必要です。
メディアミックスを成功させる進め方6ステップ
メディアミックスは媒体をただ複数活用するだけでは機能しません。目的の設定から効果測定まで、順を追って設計することで成果につながります。
1.全体の目標を設定する
最初に決めるのは、メディアミックスで何を達成するかです。「売上を半年で10%アップ」「指名検索数を週ごとに100件増やす」といった具体的な数値目標と期間を決めます。
2.ターゲットと訴求ポイントを設定する
目標が決まったら、ターゲットを定めます。消費者によって日常的に触れる媒体は異なるため、ターゲット層の明確化は媒体の選定のためにも必要です。現在の顧客層を、年齢・性別・関心事などに分けて特徴をつかんだうえで、どのような層に認知を広げたいか決めます。また、競合他社と比較し、自社の訴求ポイントを明らかにするのも大切です。
3.使う媒体と媒体ごとの目標を決める
ターゲットを決定したら、媒体ごとの強みも踏まえて実際に使う媒体を選定します。テレビCMは中高年層に視聴覚的なインパクトをもって訴求でき、SNS広告は特定の層に繰り返し接触しながら自然な拡散も期待できます。また、全体の目標が達成できるよう、媒体ごとでも「リーチ数を2か月で1.5倍にする」といった目標を決めておきます。
4.予算配分と配信タイミングを設計する
利用する媒体や媒体の優先順位、出稿期間によって広告費は変わるため、それらを加味しながら予算配分をしていきます。また、季節ものの商品などは配信タイミングも重要です。過去のデータから消費者との接触機会が多くなると予測される時期を見極めておきましょう。配信後に一定期間を置き、別バージョンのものを配信して認知を強化する方法もあります。
5.クリエイティブを制作する
クリエイティブを媒体に合わせて制作します。テレビCMでは映像、SNSでは短いコピーや画像など媒体ごとに表現方法は変わっても、核となるメッセージは揃えておく必要があります。ターゲットと訴求ポイントを媒体ごとの担当者間で共有しておくと、ブランドイメージに一貫性が生まれるでしょう。
6.効果測定と改善のサイクルを回す
広告の出稿後は、媒体別と媒体全体の両面から成果を確認します。どの媒体で効果があったかを比較することで、次回の予算編成に活かすことができます。効果測定の結果をもとにクリエイティブや注力する媒体を改善していけば、メディアミックスの精度は次第に向上していくでしょう。
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メディアミックスの成功例
株式会社メンバーズのグループ会社、メンバーズグッドコミュニケーションズカンパニーは、企業のSNS運用を支援するデジタルエージェンシーです。クライアント企業のサポートとして、Meltwaterの分析ツールを導入しました。
分析ツールにより、クライアントのキャンペーン効果測定やプレスリリースへの反響確認を、SNSだけでなくニュースサイトや各種メディアを含めた全チャネルで横断的に行うことができるようになりました。また、分析ツールの担当者を割り当ててツールの活用を社内に浸透させることで、少人数でも質の高いサービスを提供する体制を整えています。
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メディアミックスの設計・効果測定にMeltwaterの分析ツールを活用する方法
Meltwaterの分析ツールを活用すると、メディアミックスの実施前の市場把握から実施後の露出検証までのプロセスをデータで裏付けながら進められます。
消費者理解と話題把握に活かす
メディアミックスを設計する前には、消費者がどんな話題に関心を持っているのか現状を把握しておくことが重要です。媒体の選定やターゲット設定、訴求ポイントの精度が高まります。
Meltwaterのソーシャルリスニングツールを活用すると、SNSなどのソーシャルメディア上でどの層がどんなテーマに反応しているかをリアルタイムで把握できます。競合分析にも役立ち、自社の訴求ポイントを打ち出すことが可能です。
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SNSなど複数のメディア上の露出を横断的に把握する
メディアミックスの施策を展開したら、ニュースサイトやSNSなど各媒体の反応を横断的に確認します。単一媒体では見えなかった媒体ごとの強みが見えてきます。
Meltwaterの分析ツールではニュースやSNSなどからブランドへの言及が確認でき、施策全体だけでなく、各媒体での露出量も把握できます。施策の効果をデータで把握することで、予算配分の見直しや次回の施策の改善につながります。
まとめ|複数媒体を利用して顧客との接点を増やそう
メディアミックスとは、複数の媒体を利用して認知を拡大させる手法です。消費者を次の行動へ誘導させるクロスメディアとは異なり、できるだけ多くの層に広告をリーチさせることに本質があります。
ターゲット層に合った媒体の選択や効果測定の一元化には、分析ツールを使うことがおすすめです。現状をデータで把握し、施策の改善を重ねていきましょう。
この記事の監修者:
宮崎桃(Meltwater Japanエンタープライズソリューションディレクター)
国際基督教大学卒。2016年よりMeltwater Japan株式会社にて新規営業を担当。 2020年よりエンタープライズソリューションディレクターとして大手企業向けのソリューションを提供。 ソーシャルメディアデータ活用による企業の課題解決・ブランディング支援の実績多数。 趣味は映画鑑賞、激辛グルメ、ゲーム。

