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PESOモデルとは?4つのメディアの役割と成功事例を解説!

PESOモデルとは?4つのメディアの役割と成功事例を解説!


宮崎桃

Jul 7, 2025

現代のマーケティングでは、さまざまなメディアを使い分けて戦略を立てることが重要になっています。情報発信の手段が増える一方で、メディアをどのように使い分け、組み合わせればよいのか、迷ってしまう場面もあるでしょう。

この記事では、4つのメディアを軸に戦略を立てる「PESOモデル」のポイントを解説します。それぞれの役割や、POEM(トリプルメディア)との違いについても説明していきます。

PESOモデルとは?

PESOモデルとは?

PESOモデル(ペソモデル)とは、4つの異なる種類のメディアを統合的に活用するマーケティング手法の一つです。2014年に米国のマーケター、ジニ・ディートリッヒ(Gini Dietrich)氏によって提唱されました。

PESOは、Paid(ペイド)、Earned(アーンド)、Shared(シェアード)、Owned(オウンド)の頭文字を取ったもので、それぞれのメディアタイプが異なる役割を担います。

ペイドメディアは広告、アーンドメディアは第三者からの評価、シェアードメディアはSNSでの共有、オウンドメディアは自社で保有する情報発信媒体を指します。

PESOモデルは、従来の手法と比較して、「拡散力」や「共創性」といったSNS特有の価値を戦略上に組み込むことで、より効果的な情報発信が実現できる点が特徴です。


POEM (トリプルメディア) との違い

POEM(ポエム)モデルは、Paid(ペイド)、Owned(オウンド)、Earned(アーンド)の3つのメディアを活用する従来型のマーケティング手法です。

まず広告などのペイドメディアを使って認知度を高め、次に自社サイトやブログといったオウンドメディアで情報を補足し、最後にメディアや口コミによるアーンドメディアで信頼を得る流れが基本となります。

しかし、SNSの普及により情報の受け取り方は大きく変わりました。ユーザーが自発的に発信・共有する情報の影響力が増し、企業からの一方的な発信だけでは情報が届きにくくなっています。

そこで、新たにShared(シェアード)メディアを独立させて加えたのがPESOモデルです。ユーザー同士の情報共有を重視する点が、POEMとの最大の違いといえるでしょう。


PESOモデルの4つのメディアの役割

PESOモデルの4つのメディアの役割

PESOモデルでは、それぞれ性質の異なる4つのメディアを使い分けることが基本です。ここでは、ペイド・アーンド・シェアード・オウンドの各メディアが担う役割や特徴を紹介します。


ペイドメディア

ペイドメディア(Paid Media)は、企業が広告費を支払い、意図的に情報を届けるメディアです。テレビCM、新聞広告、Web広告、SNSのプロモーション投稿などが含まれます。

最大の特長は、短期間で広範囲に情報を届けられることです。ターゲットを明確に絞った発信ができ、認知度向上や集客、販売促進に直結しやすい手法といえます。

ただし、広告であることが明示されるため、受け手に不信感を与えない工夫が必要です。また、継続的な予算がかかるため、費用対効果を検証しながら運用することが欠かせません。

PESOモデルでは、認知拡大の起点として活用し、他メディアへの誘導を図る役割を担います。

アーンドメディア

アーンドメディア(Earned Media)は、第三者による自然な紹介や評価によって成り立つメディアです。報道、レビュー、ブログでの紹介、SNSでの言及などが該当します。

企業が直接発信するのではなく、ユーザーやメディアが自主的に情報を広めるため、高い信頼性や影響力が得られます。口コミやUGC(ユーザー生成コンテンツ)もこの分類に含まれます。

費用をかけずに広告効果を得られる反面、発信内容やタイミングを企業側で管理できず、ネガティブな内容も広がるリスクがあります。

PESOモデルでは、信頼構築やブランド認知の深化に寄与する重要な要素として位置付けられています。

▶︎あわせて読みたい:UGCとは?注目される背景や活用するメリット・手順・成功事例を紹介


シェアードメディア

シェアードメディア(Shared Media)とは、ユーザー同士が情報を共有・拡散する場として機能する、SNSなどのソーシャルメディアを指します。Facebook、Instagram、X(旧Twitter)、YouTube、Googleマップ、口コミサイトなどがあります。

SNS時代の普及により、アーンドメディアから独立した分類として重視されるようになりました。ユーザーの共感や体験が可視化されやすく、拡散力にも優れていることが特徴です。

ただし、情報の発信を企業側でコントロールできないため、ブランドに対する信頼の蓄積が前提となります。

PESOモデルにおいては、ユーザーとのつながりを強め、認知の拡大やロイヤルティの形成に貢献するメディアです。


オウンドメディア

オウンドメディア(Owned Media)は、企業が所有・管理する情報発信チャネルを指します。自社サイト、ブログ、メールマガジン、SNSアカウント、採用サイト、ウェビナーなどが含まれます。

自社でコンテンツ設計ができるためブランドの価値や世界観を正確に伝えることができ、継続的に情報提供することで顧客との信頼関係を深めることが可能です。

広告費を抑えて運用できる一方で、成果を出すには長期的な戦略と、ユーザーの興味を集める質の高いコンテンツが求められます。

PESOモデルでは、ペイドメディアで獲得した関心の受け皿として、またファンとの関係構築を進める基盤として重要な役割を果たします。


PESOモデルを活用するメリット3つ

PESOモデルを活用するメリット3つ

PESOモデルでは、異なる特性を持つ4つのメディアを組み合わせることで、より効果的な情報発信が可能になります。ここでは、PESOモデルを活用する主なメリットを3つ紹介します。


ブランド認知の拡大が見込める

PESOモデルは、各メディアの特性を活かして段階的にブランド認知を高められるのが特長です。

ペイドメディアは短期間で広範囲に情報を届けられるため、認知の起点として効果的です。視覚的に印象づけやすく、ターゲット層への初期訴求に向いています。

その後、シェアードメディアでユーザーの投稿や拡散が起きれば、自然な形で関心が広まり、情報の信頼性も高まります。UGCや共感を生む投稿は、他ユーザーへの波及効果を促進するでしょう。

さらにオウンドメディアは、ブランドの理念やサービスの魅力を丁寧に伝えることで、ユーザーの「認知」を「理解」へと深める役割を果たします。

一方、アーンドメディアでは、第三者による評価や紹介が信頼性を高め、検討中のユーザーの意思決定を後押しする要素となるでしょう。

このように、PESO各メディアを役割に応じて活用することで、認知の広がりだけでなく、ブランドへの信頼構築までを一貫して推進できます。

各メディアを活用して相乗効果が得られる

PESOモデルの真価は、4つのメディアを組み合わせて活用することで、各施策の効果を相互に高め合える点にあります。

例えば、テレビCMやSNS広告などのペイドメディアで注目を集めたあと、自社のオウンドメディアへと誘導し、詳しい商品説明やブランドストーリーを伝える流れを構築します。

そこから得られた印象や体験がSNS(シェアードメディア)で自然に語られ、さらに第三者の評価(アーンドメディア)とも結びつくことで、ブランドへの信頼と関心が多方面から高まるでしょう。

このように、ペイドで接点をつくり、オウンドで深掘りし、シェアードで広げ、アーンドで信頼を補完するという流れを意識することが、PESOモデルの効果を最大化する鍵となります。

こうした一連の流れを設計することで、メディア間の相互作用によって、単独施策以上の成果を生む相乗効果が実現します。

データドリブンな戦略策定ができる

PESOモデルを導入することで、各メディアから得られる多様なデータを統合分析し、より精度の高い戦略策定が可能になります。ペイドメディアではクリック率やコンバージョン率、オウンドメディアでは滞在時間や直帰率などが把握可能です。

さらに、シェアードメディアではシェア数やレビューの内容、アーンドメディアではブランド言及数など、ユーザーの反応を多角的に分析できます。

これらのデータを統合して可視化すれば、幅広い指標を総合的に評価できるようになり、現状の課題や改善点が明確になります。

感覚ではなくデータに基づいたPDCAサイクルを回すことで、マーケティング施策の精度と再現性が向上し、限られた予算内でも成果を最大化する道筋が描けます。

▶︎あわせて読みたい:データドリブンマーケティングとは?実行の手順や成功に導くポイントを解説


PESOモデルの成功事例3つ

実際にPESOモデルを効果的に活用し、マーケティング成果を上げている企業の事例を見てみましょう。各企業がどのようにメディアを組み合わせ、相乗効果を生み出しているかを理解することで、自社での実践に役立てられるでしょう。

無印良品

株式会社良品計画が運営する無印良品は、PESOモデルをバランスよく活用し、ブランド価値と顧客接点の最大化に成功している代表例です。テレビCMや広告などのペイドメディアでは、ストーリー性を重視した広告を展開し、ブランドの世界観を浸透させています。

また、機能性やデザイン性が評価される商品を多数展開しており、テレビ番組や雑誌で自然に紹介される機会が多い点でアーンドメディアとしての効果も大きいといえるでしょう。

さらに、LINEやInstagramなどのシェアードメディアを積極的に運用し、フォロワーとの継続的なコミュニケーションを通じて拡散力を高めています。

かつて運営していたオウンドメディア「くらしの良品研究所」でも、ユーザーの声を取り入れた情報発信を行っており、当時から一貫して顧客との関係構築を重視していた姿勢が見て取れます。


株式会社サンリオ

株式会社サンリオは、Meltwaterが提供するソーシャルリスニングを活用し、PESOモデルを軸にした戦略的マーケティングを展開しています。

ペイドメディアではキャラクターコラボ広告などを活用し、幅広い年代への訴求を実現しました。アーンドメディアでは著名人による自然発生的な投稿やUGCが多く発生し、SNS上で話題を集めています。

シェアードメディアでは公式InstagramやX(旧Twitter)を通じてファンとの密な交流を継続し、オウンドメディアとしては公式SNSを活用してキャラクターやイベントの情報を定期的に発信しています。

Meltwaterを活用することで、エンゲージメント率や露出数を定量的に測定し、各イベントの効果検証やキャラクターの人気動向を把握できるようになりました。このデータは社内共有され、キャラクター開発やデジタル施策の最適化にも活かされています。


井筒まい泉株式会社

とんかつやカツサンドで知られる井筒まい泉株式会社は、Meltwaterの「エンゲージ」を導入し、SNS上の声を活かしたマーケティングを強化しています。

シェアードメディアでは、「カキが苦手な子どもが、まい泉のカキフライを美味しく食べた」というX(旧Twitter)投稿が拡散され、該当商品が季節売上1位を記録しました。リアルな声が商品価値を高める好例となったのです。

アーンドメディアでは、Instagram上にUGCが多く投稿されていることを把握し、魅力的な写真を自社サイトへフィード掲載しています。これにより、ユーザー視点の発信がブランド力向上につながりました。


オウンドメディアは公式サイトやSNSに加え、ユーザー投稿も積極活用しています。Meltwaterのソーシャルリスニング機能を通じて、お客様の声を分析し、商品改良やコミュニケーション施策に反映するオウンドメディアの活用が企業全体のDX推進にも貢献しているのです。

▶︎Meltwaterのソーシャルメディアマネジメント


まとめ|PESOを活用して効果的なマーケティングを

PESOモデルは、Paid・Earned・Shared・Ownedの4つのメディアを統合的に活用し、企業の情報発信力とブランド価値を高める手法です。各メディアの特性を理解し、戦略的に組み合わせることで、単一のメディアでは得られない相乗効果を生み出せます。

Meltwaterは、これを支える強力なパートナーとして、ソーシャルリスニングやUGC分析、リアルタイムレポート、ダッシュボードなど多彩な機能を提供します。


サンリオ、井筒まい泉といった企業の事例が示すとおり、Meltwaterは顧客の声を可視化し、それを的確なマーケティング戦略へと結びつける力を備えています。膨大なデータをリアルタイムで収集・分析し、PESOモデルを軸にメディアごとの成果を可視化できる点も、多くの企業に選ばれている理由です。

この記事の監修者:

宮崎桃(Meltwate Japanエンタープライズソリューションディレクター)

国際基督教大学卒。2016年よりMeltwater Japan株式会社にて新規営業を担当。 2020年よりエンタープライズソリューションディレクターとして大手企業向けのソリューションを提供。 ソーシャルメディアデータ活用による企業の課題解決・ブランディング支援の実績多数。 趣味は映画鑑賞、激辛グルメ、ゲーム

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