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定性調査とは_定量調査との違い_具体的な手法_メリットを解説

定性調査とは?定量調査との違い・具体的な手法・メリットを解説


May 15, 2026

定性調査は、数字では見えない顧客の本音や行動心理を掘り起こす調査手法です。「なぜ売上が落ちているのかわからない」「顧客ニーズが見えない」といった課題を解決する方法として注目されています。

本記事では、定性調査の基本的な意味から定量調査との違い、代表的な5つの手法を解説します。実施のメリット・デメリット、成功のコツもお伝えします。

定性調査とは

定性調査とは、数値では表せない言葉・感情・行動といった「質的データ」をもとに、消費者の本音や行動の背景にある原因を明らかにする市場調査の手法の一つです。定量調査が数値データをもとに「A商品の人気が下がってきた」と読み取るのに対し、定性調査は「なぜ消費者はA商品を選ばなくなったのか」を掘り下げるために行われます。調査方法はインタビュー・ディスカッション・行動観察などが用いられ、発言内容にとどまらず発言中の表情や仕草なども調査対象に含まれます。

消費者ニーズの多様化・複雑化が進む中で、定性調査への注目は高まっています。定量調査による数値データを複数を組み合わせることで課題の原因を推測することもできますが、推測の精度を高めて消費者の潜在ニーズを発見するには定性調査が有効です。マーケティング戦略や商品開発の立案、市場のトレンド分析などに役立つでしょう。

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定性調査と定量調査の違い

定性調査と定量調査の違い

定性調査と定量調査は、目的や扱うデータ、分析の進め方が大きく異なり、マーケティング戦略や商品開発では組み合わせて活用されています。定性調査と定量調査の主な違いは以下の通りです。

定量調査定性調査
主な役割全体の傾向把握・仮説の検証潜在ニーズの発見・仮説の構築
扱うデータ数値(割合、順位など)言葉、行動、心理描写、観察記録
得られるもの客観的な事実と統計的な裏付け行動の理由や背景
適した問い「ECサイトからの購入率はどのくらいか」
「マーケティング施策の効果はどのくらいあったか」
「顧客はなぜそのような行動をとるのか」
「顧客の潜在ニーズはなにか」
調査の規模大規模(大人数が対象)小規模(少人数が対象)
主な手法ネットリサーチ、郵送調査インタビュー、行動観察、ワークショップ

目的

定性調査の目的は、仮説の構築や新しいアイディアの獲得のためです。「なぜ顧客はその行動をとるのか」を推測して潜在的な顧客ニーズを掘り起こすことで、課題解決のヒントを発見したり、新商品の開発に活用したりします。

定量調査の目的は、実態把握のためです。「20代の利用率」「サービスの利用率が高くなる時間帯」など数値で現状を確認できるため、定性調査で出した仮説の検証や施策の効果測定にも応用できます。

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データの特徴

定性調査と定量調査の最大の違いは、扱うデータの性質にあります。定性調査は言葉・行動・観察記録など数値化できない情報を、定量調査は購買頻度・認知率など数値データを扱います。

定性調査は調査人数の多さより内容の深さが重視されるため、少人数からでも豊かなインサイトを引き出せます。一方、定量調査は数値で表されるため、調査対象者が多いほどデータの信頼性が高まります。

調査手法

定性調査は少人数から深い意見を引き出す形式が中心です。対面かオンラインでインタビューやディスカッションを行い、調査対象者の意見や様子をデータとして収集して背景や理由を掘り下げるアプローチが一般的です。インタビューは1対1の場合や、複数で行われる場合があります。また、対話はせず、調査対象者の行動観察のみを行う場合もあります。

定量調査ではインターネット調査や会場調査などで、一度に大量の回答を集める手法が用いられます。問いの答えは選択式で、数値で収集できるのが特徴です。

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定性調査の代表的な5つの手法

定性調査には複数の実施方法があり、目的に応じて使い分けることで、顧客理解の精度が上がります。ここでは、企業で利用されることが多い代表的な5つの手法を紹介します。

デプスインタビュー(IDI)

デプスインタビュー(In-Depth Interview)は、インタビュアーと対象者が1対1で行う1時間以上の対話形式の調査手法です。対象者の回答に対してインタビュアーがその場でさらに質問を重ねることで、原因を深掘りできます。

グループ形式と異なり、個人の率直な考えを把握したい場面や貯金のことなどセンシティブな話題を扱う場合に適しています。一方で、1人あたりの調査時間が長くなるため、多人数のデータを短期間で集めるには向いていません。

グループインタビュー(FGI)

グループインタビュー(Focus Group Interview)は、5~8名の対象者との1~2時間に渡るインタビューで、座談会形式で意見を引き出す手法です。進行役が議題の提示や質問、発言の促しを担い、参加者同士の対話を通じて仮説を導き出します。

一度に複数の意見を収集できる上、参加者の発言が互いを刺激し、1対1のインタビューでは出てこない新たな視点が生まれやすい点がメリットです。複数のグループを設定して比較することで、属性や立場による意見の違いも把握できます。一方で、発言量に個人差が出たり、同調圧力がかかったりする恐れもあります。

行動観察調査(エスノグラフィ)

行動観察調査(エスノグラフィ)は、対象者の日常や行動を観察し、課題や潜在ニーズを探る調査手法です。同じ環境で行動を共にすることで、対象者が購入にいたるまでの行動や商品の使い方などを客観的に理解できます。

消費者自身が自覚していない行動パターンが発見でき、新たな発想につながることがあります。一方で、1人当たり約2時間の調査時間がかかります。また、調査当日の対象者の体調や天気によっても得られる情報が変わるおそれがあるため、慎重に分析することが重要です。

ワークショップ

ワークショップは、対象者を複数集めてテーマに沿った意見やアイディアを引き出す調査手法です。進行役もいますが、参加者が主体的に共同作業を行って成果物を出すことが、グループインタビューとの違いです。

商品開発や課題解決のアイディアを集めるのに効果的な方法です。定量調査やグループインタビューで現状把握ができていると、より精度が上がるでしょう。アイディアを一定の形にするため、2時間以上の時間が必要になります。

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MROC

MROC(エムロック:Market Research Online Community)は、インターネット上のコミュニティに対象者を一定期間所属させ、対象者どうしのやり取りを通じて消費者インサイトを収集する手法です。質問に対する答えを得るという形ではなく、やり取りの中から有用なものをデータとして導き出します。

対象者は好きな時間・場所から参加できます。2週間~2か月の調査が可能なため、意識や行動の変化を時系列で追うこともできますが、その分、参加者を継続的に引きつけてコミュニティを成立させる工夫が必要です。また、コミュニティは20~50名規模のため、膨大な会話量を処理して分析するスキルも求められます。


定性調査を実施するメリット

定性調査を活用することで、数値データだけでは見えてこない顧客の本音や行動の背景を把握できます。代表的な2つのメリットを解説します。

消費者の本音・行動心理を調査できる

定性調査の最大のメリットは、消費者の本音と購買行動の背景にある心理を把握できる点です。定量調査では「満足度:2」という数値しか得られなくても、定性調査では質問や観察を重ねることで「なぜ2なのか」「どの体験が評価を下げているのか」まで掘り下げられます。

気になる発言が出た際に深掘りできるため、消費者自身も言語化していない潜在ニーズにアプローチできます。数値では見えない深層心理を把握できることが、定性調査固有の強みです。

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サービスの開発・改善に役立つ

定性調査で得た消費者のリアルな声は、サービスの開発・改善の判断材料として活用できます。「この機能が使いにくい」「こういう場面で使いたい」といった発言から、具体的な改善点が得られます。特に、ワークショップやMROCの調査は決まった質問がないため、会話の中から思いがけないアイディアが生まれることもあります。調査結果を開発プロセスの起点に置くことで、リリース後の手戻りを減らせる点も大きなメリットです。

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定性調査のデメリット・注意点

定性調査は、顧客の心理や行動の背景を深く理解できる一方で、注意点もあります。

情報に偏りが発生する場合がある

定性調査は定量調査よりも少人数を対象に行うため、回答者の属性や価値観によってデータが偏るリスクがあります。また、進行役によっても解釈が変わります。定性調査で得たインサイトを定量調査で検証するプロセスを設けるなど、少人数の意見を鵜呑みにしないことが大切です。

調査・集計に時間がかかる

定性調査の回答は数値ではなく言葉や行動として得られるため、集計・分析に相応の時間がかかります。インタビューの文字起こしや発言内容の分類のほか、発言の意図を解釈するといったAIツールだけに頼れない分析作業も発生するのが課題です。対策として、調査前に分析にかかる時間とコストを洗い出し、調査の適性を判断します。また、定量調査を先に行い、解明できなかった部分のみ定性調査を行うのも一つの方法です。


定性調査成功のコツ

定性調査を効果的に進めるためには、事前の準備や設計が大きく影響します。調査実施前に押さえておくべき3つのポイントを解説します。

目的・調査対象者を明確にしておく

定性調査を実施する際は、調査目的と調査対象者を明確にすることが重要です。「女性顧客の利用率が落ちているので原因を知りたい」「新商品のアイディアを30代から募りたい」というように設定します。

調査対象者は、年齢・性別などの基本的な属性に加え、商品の利用状況や購買頻度といった行動特性も選定基準に組み込みましょう。基準はスクリーニング段階で明確に確認できるように、あらかじめ具体的に定義しておくことが重要です。

条件を厳しくしすぎると対象者の確保が難しくなるため、必要な条件と望ましい条件を分けて優先順位をつけるのが、現実的な調整となるでしょう。

最適な調査手法を選択する

調査手法の選択は、その後の調査の質を決める分岐点です。お金や健康面など個人的なことを聞きたい場合はデプスインタビュー、複数の意見を比較したい場合はグループインタビューが適しています。

手法を選んだ後は進行役の選定も重要です。質問はある程度は準備できますが、その場の答えに対して新たな質問をしたり、参加者のアイディアが引き出せるよう対応したりと、柔軟性が求められます。

定量調査と組み合わせる

定性調査と定量調査は、組み合わせることで互いの弱点を補完できます。例えば、定量調査で全体傾向を把握した後、特徴的な属性の消費者に対してのみ定性調査を実施し、数値の背景にある原因を把握します。そして、データ結果を商品開発に活かしてから、定量調査で需要の広がりを確認するといった方法が一例です。目的に応じた定性調査と定量調査の使い分けが、調査全体の精度向上につながります。 

消費者の本音を拾うにはツール活用も効果的

消費者の本音を拾うにはツール活用も効果的

定性調査の精度と効率をさらに高めたい場合、ソーシャルリスニングツールの活用と組み合わせるのが有効です。SNSやブログなどWeb上の声をリアルタイムでモニタリングできるため、アンケートや対面インタビューでは収集しきれない消費者の本音を拾える点が強みです。

Meltwaterのソーシャルリスニングツールは、AI分析機能により、膨大なデータから「買ってよかった」「ここが不満」といった生の声を抽出し、消費者インサイトを効率的に把握できます。レポーティング作業の自動化も可能なため、調査担当者の工数を大幅に削減できる点もメリットです。定性調査と組み合わせることで、より精度の高い顧客理解を実現できます。

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まとめ|定性調査で顧客理解を深め、成果を最大化

定性調査は、数値では見えない消費者の本音や購買行動の背景を明らかにする手法です。デプスインタビューやグループインタビューなど目的に合った手法を選び、定量調査と併用することで、調査全体の精度が高まります。

近年はソーシャルリスニングツールの感情分析機能で、数値化できない感情もテキストデータから自動的に判断することができるようになりました。分析ツールの活用も視野に入れ、多様な調査方法を組み合わせながら、事業成果の最大化を目指しましょう。

この記事の監修者:

宮崎桃(Meltwate Japanエンタープライズソリューションディレクター)

国際基督教大学卒。2016年よりMeltwater Japan株式会社にて新規営業を担当。 2020年よりエンタープライズソリューションディレクターとして大手企業向けのソリューションを提供。 ソーシャルメディアデータ活用による企業の課題解決・ブランディング支援の実績多数。 趣味は映画鑑賞、激辛グルメ、ゲーム

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