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購買行動とは?消費者行動との違いや主要な購買行動モデルを解説

購買行動とは?消費者行動との違いや主要な購買行動モデルを解説


宮崎桃

Jun 6, 2024

購買行動とは、消費者が製品・サービスを認知してから購買後の情報発信などに至るまでの行動を指します。もともとは購買までの行動のことでしたが、メディアの種類が増えるにつれ購買後の行動も含まれるようになりました。様々なモデルで消費者の行動が整理されています。

モデルによって購買行動の捉え方が異なるのは、時代や状況に即して消費者の行動も変わるためです。以前の購買行動モデルを知っておくと、社会状況に合わせたマーケティングの重要性を再認識できます。適切な購買行動モデルを活用するのに役立つでしょう。

本記事では購買行動の概要や重要性を踏まえ、代表的な購買行動モデルについてわかりやすく解説します。

最後に購買行動モデルを利用する際の注意点についてもご紹介します。

購買行動とは?

What is purchasing behavior?

購買行動とは、消費者が製品やサービスを認知してから調べ、実際に購買し、口コミとして発信するまでに取る一連の行動のことです。

消費者の理解を深めることができるという点で、マーケティングにおける重要な分析対象となっています。

分析のために使用するのが、購買行動モデルです。

購買行動モデルとは消費者が取る購買行動を複数のステップに分けて整理したフレームワークのことで、時代や状況によって変わります。

社会状況に合った購買行動モデルを利用することで、最適なマーケティングアプローチの立案を実現できるでしょう。

購買行動モデルはカスタマージャーニーを策定する際に参考にされることも多く、顧客分析には欠かせないフレームワークと言えます。

購買行動に影響を及ぼす4つの要因

消費者が購買行動を取る要因としては様々なものが挙げられますが、アメリカの著名な経営学者フィリップ・コトラー氏は、購買行動を行う要因を以下の4カテゴリに整理しました。

各要因内容
個人的要因年齢や職業、ライフスタイルなど
心理的要因モチベーションや成長意欲、過去の学習経験や認知など
文化的要因コミュニティや生活環境、文化や時代の流行など
社会的要因所属している会社や組織、社会的な役割など

これらの要因も踏まえて購買行動を分析することで、消費者への理解をより一層深めることができるでしょう。

購買行動と消費者行動の違い

購買行動(Purchasing decision)と消費者行動(Consumer behavior)は、以前は意味が異なりましたが、現代では同義語として使われています。

どちらも明確な定義はありませんが、購買行動がもともと購買までの行動を指したのに対して、消費者行動は購買は勿論、製品・サービスの認知や購買後の反応までを含めているというのが、一般的な概念です。

消費者行動のほうが購買行動よりも広範囲であり、消費者行動の中に購買行動の概念が内包されています。

しかし、大量生産が見直され顧客ニーズを知る必要性が高まると、製品使用後の感想も購買を促す上で重要になってきました。インターネットやSNSの普及により、消費者自ら情報を確認したり発信したりすることが容易になったことも影響しています。

このような時代の変化により購買行動も購買後の行動が含まれるようになり、現代においては、購買行動も消費者行動も、消費者の行動範囲に違いはありません。

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購買行動モデルが重要視される背景

ここで購買行動モデルが重要視される背景についてご紹介します。

購買行動モデルは時代とともに変化している

Purchasing behavior models have changed over time.

購買行動は時代や技術の発展とともに変化し続けているため、状況に応じた購買行動モデルはマーケティングに重要です。

製品・サービスに関する情報を得る方法は、戦後はテレビや新聞などマスメディアが中心でしたが、その後Web上での検索が盛んになり、現代はSNSが主流です。消費者によって使う媒体の組み合わせも異なり、購買行動は多様化しています。

時代に合った消費者対応が求められるため、現代における購買行動モデルを正しく把握しなければ、適切なマーケティングを展開できないのです。

カスタマージャーニーマップの作成に役立つ

ターゲット顧客にどのタイミングでどのようなアプローチをするか考えるには、カスタマージャーニーマップの作成が効果的です。消費者の行動段階ごとに使用媒体や悩みを予測し、具体的な施策を考えます。

購買行動モデルは、時代の状況や消費者の心理を踏まえて、消費者の行動段階を設定したものです。そのため、カスタマージャーニーマップで消費者の行動段階を設定する際に応用できるでしょう。

マスメディア時代の購買行動モデル

ここからは代表的な購買行動モデルをご紹介します。

まずはマスメディア時代に主流だった購買行動モデルから確認しましょう。

1. AIDA(アイダ)

AIDAは最も古典的な購買行動モデルとなっており、以下の4つの要素から成り立ちます。

意味プロセス
AAttention(認知)新聞などのマスメディアから情報を獲得する
IInterest(興味)製品やサービスに興味を持つ
DDesire(欲求)当該製品やサービスへの購買意欲が高まる
AAction(行動)購買行動を取る

AIDAはアメリカにおける広告業界の専門家であるセント・エルモ・ルイス氏が1898年に提唱したモデルが原型となっており、当初は広告作成のためのモデルとして策定されました。

AIDAが登場した当時、マスメディアといってもテレビやラジオなどは普及しておらず、新聞や雑誌が主流でした。紙媒体の広告で上記の4要素を訴求し、購買に繋げる必要があったのです。

AIDAはその後、紙媒体の広告以外でも活用されはじめ、この後に紹介するAIDMAへと発展していきます。

2. AIDMA(アイドマ)

AIDMAはAIDAをベースとした購買行動モデルであり、以下の要素によって整理されます。

意味プロセス
AAttention(認知)新聞などのマスメディアから情報を獲得する
IInterest(興味)製品やサービスに興味を持つ
DMemory(記憶)製品・サービスを記憶する
MDesire(欲求)当該製品やサービスへの購買意欲が高まる
AAction(行動)購買行動を取る

AIDMAはAIDAに「Memory(記憶)」が加わったモデルであり、広告関連書籍の著作者であったサミュエル・ローランド・ホール氏によって1920年代に提唱されました。

AIDMAは、製品情報を取得し購買意欲が高まった後、一時的に記憶した上で購買に至るという流れです。

例えばテレビCMで製品を見て買いたいと思い、店舗に訪れた時にその記憶が蘇り、実際に購買に至るといったケースがあります。

これはCMによる訴求が記憶や印象に残っていたためです。オンラインショップはまだない時代で、テレビで見た製品がほしいと思ってもすぐに買えるわけではありませんでした。それで、実際に買うまでに記憶しておく時間が必要だったのです。

このようにAIDMAは、記憶や印象に残るプロモーション要素が重視されていました。

3. AIDCAS(アイドカス)

AIDCASはAIDAを基に開発されたモデルであり、以下の要素で表されます。

意味プロセス
AAttention(認知)新聞などのマスメディアから情報を獲得する
IInterest(興味)製品やサービスに興味を持つ
DMemory(記憶)製品・サービスを記憶する
CConviction(確信)当該製品が必要であると確信する
AAction(行動)購買行動を取る
SSatisfaction(評価)製品やサービスの評価を行う

AIDAに「Conviction(確信)」と「Satisfaction(評価)」が加わったモデルです。

AIDCASでは単にその製品やサービスへの購買意欲だけで購買に至ることはなく、本当にその製品が必要かどうかを検討するプロセスがあります。

また購買後に製品やサービスを評価する過程も追加されており、顧客満足度なども考慮されはじめた点も特徴として挙げられます。

確信を要するという特性上、日用品などの購買ではなく、住居や自動車といった比較的高額な製品を対象としたモデルとして活用されています。

Web時代の購買行動モデル

次にWeb時代の購買行動モデルについてご紹介します。

1. AISAS(アイサス)

AISASは2004年に大手広告代理店である電通が提唱した購買行動モデルで、以下の要素で整理されます。

意味プロセス
AAttention(認知)新聞などのマスメディアから情報を獲得する
IInterest(興味)製品やサービスに興味を持つ
SSearch(検索)当該製品などについてインターネットで検索する
AAction(行動)購買行動を取る
SShare(共有)製品やサービスに関する評価などをインターネット上で共有する

マスメディア時代の購買行動モデルにおいては、消費者は受動的であり、企業から提供される情報を基に購買を判断していました。

しかしWeb時代へと突入したことにより、消費者自身が製品・サービスに関する情報を収集・発信できるようになったことを踏まえ、「Search(検索)」や「Share(共有)」などの要素が追加されたのです。

AISASをはじめとしたWeb時代における購買行動モデルでは、「どういった情報を提供すればニーズに応えることができるのか」という消費者の視点に立ったマーケティング施策が重視されます。

2. DECAX(デキャックス)

DECAXはAISASと同じく電通が2015年に提唱したモデルであり、以下の要素が含まれています。

意味プロセス
DDiscovery(発見)Webメディアなどで製品・サービスを発見する
EEngagement(関係構築)情報コンテンツを通じて、企業と関係を構築する
CCheck(確認)得られた情報の信頼性を確認する
AAction(行動)購買行動を取る
XeXperience(体験と共有)製品・サービスの使用体験を経て、その結果などをWeb上で共有する

コンテンツマーケティングが2014年から広まり始めたことに起因して生まれたモデルであり、自らコンテンツを調べるなど消費者の自発的な行動に着目していることが特徴として挙げられます。

また単純に情報を提供するだけでなく、消費者との関係構築や信頼の獲得まで網羅している点も見逃せません。

SNS時代でも、特に製品購入までの検討期間が長いBtoBビジネスにおいては有効に活用できるでしょう。

3. MOT(モット)

MOTは、スカンジナビア航空の元CEOヤン・カールソン氏が1990年に著作「真実の瞬間」の中で提唱した概念です。

意味プロセス
MOTMoment Of Truth
(真実の瞬間)
消費者が企業に対する評価を決める瞬間のことで、わずか十数秒とされている

このMOTをベースとしたモデルには、以下の3つのモデルがあります。

  • ZMOT(Zero MOT):製品・サービスに実際に触れる前にオンラインで調べる瞬間
  • FMOT(First MOT):製品・サービスを購買するかを店頭で決める瞬間
  • SMOT(Second MOT):購入後にリピートするかを決める瞬間
  • TMOT(Third MOT):企業やブランドのファンになるかを決める瞬間

ZMOT(Zero MOT)は2011年にGoogleが提唱したモデルであり、「消費者が店舗を訪れたときには、既に購買する製品・サービスを決めている」ことを示した理論です。

Web時代における購買行動を端的に表したモデルであると言えるでしょう。

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SNS時代の購買行動モデル

続いてSNS時代の購買行動モデルをご紹介します。

1. VISAS(ヴィサス)

VISASはITビジネスアナリストである大元隆志氏が提唱したモデルで、以下の要素が含まれます。

意味プロセス
VViral(口コミ)SNS上の口コミで製品・サービスの情報を獲得する
IInfluence(影響)口コミとその発信者に影響を受ける
SSympathy(共感)発信者に共感する
AAction(行動)購買行動を取る
SShare(共有)購買後の評価や体験談をSNSでレビュー投稿する

SNSの利用を前提とした購買行動モデルであり、SNSで見た口コミが購買行動の起点となっています。

口コミの内容だけでなく、その情報を発信しているユーザーへの信頼度が影響力や共感力を左右するのも特徴的です。

口コミ内容がどれだけ素晴らしかったとしても、発信者の信頼度が低かったり、消費者と親和性がなかったりすれば共感を獲得できず、購買まで繋げられない場合があります。

インフルエンサーマーケティングを実施する場合の主軸となる購買行動モデルと言えます。

2. SIPS(シップス)

SIPSとは、電通でクリエイティブディレクターを務めていた佐藤尚之氏が提唱したモデルです。

意味プロセス
SSympathy(共感)発信者に共感する
IIdentify(確認)発信されている情報について、信頼できるかを確認する
PParticipate(参加)購買や販促活動へと参加する
SShare&Spread(共有・拡散)参加した経験や体験をSNSで共有・拡散する

VISASと同様SNSを起点とした行動モデルですが、共感した情報が正しいかどうか「Identify(確認)」するプロセスがあるのが特徴です。SNSの投稿以外からも情報を確かめた上で、消費者は情報に対する信頼を寄せます。情報が検索しやすい環境を整えておくとよいでしょう。

また、「Participate(参加)」は必ずしも購買のみを目的としているわけではなく、消費者による情報発信やイベントなどへの参加も重要視されています。SNSユーザーによる「いいね!」や「シェア」といった行動が、販促活動になるということです。

SIPSは、顧客との関係構築を目的としたイベント施策にも活用できるでしょう。

3. ULSSAS(ウルサス)

ULSSASは、SNSコンサルティングなどを行っているホットリンクが提唱する新しい購買行動モデルであり、以下の要素を含みます。

意味プロセス
UUGC(ユーザー投稿コンテンツ)一般消費者が投稿した内容で、製品やサービスのことを認知する
LLike(いいね)投稿に対して「いいね!」などのリアクションを行う
CCheck(確認)得られた情報の信頼性を確認する
SSearch(SNS検索)製品・サービスについてSNS上で検索する
SSearch(検索エンジン)製品・サービスについて、Googleなどの検索エンジンで検索する
AAction(行動)購買行動を取る
SSpread(拡散)SNS上で購買体験や評価を投稿し、拡散する

ULSSASは、一般ユーザーが投稿した内容を起点とした購買行動で、その後も購買に至るまでにSNSと検索エンジンによる2回の検索を含めている点が特徴的です。

SNS内でハッシュタグなどを活用し、製品・サービスに関する投稿を確認し、さらにGoogleなどで詳細情報を検索します。SIPSの「Identify(確認)」が具体化されたような形です。

ULSSASは一直線の流れではなく、「UGC」に触れた後、「Like」から「Spread」が円を描くような構造として考えられています。消費者が投稿を「Spread(拡散)」することにより、新たな「Like(いいね)」を生むという考えです。

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4. RsEsPs(レップス)

RsEsPsは、日本プロモーショナル・マーケティング協会が2019年に編集・発行した書籍「プロモーショナルマーケティング ベーシック」で提唱されたモデルです。

意味プロセス
RRecognition(認識)製品・サービスを認識する
Ssearch・share・spread
(検索・共有・拡散)
認識した製品・サービスについて、検索や共有などを行う
EExperience(体験)製品・サービスの無料体験や関連イベントへ参加する
Ssearch・share・spread
(検索・共有・拡散)
認識した製品・サービスについて、検索や共有などを行う
P製品・サービスを実際に購買する
Ssearch・share・spread
(検索・共有・拡散)
認識した製品・サービスについて、検索や共有などを行う

ReEsPsの最大の特徴は、「search・share・spread」が繰り返し登場する点です。

製品・サービスを認識したタイミングは勿論、お試しなどの体験や実際に購買した後にも発生します。

また他のモデルでは言及されていない「Experience(体験)」も含めている点も特徴として挙げられるでしょう。

現代は情報にあふれているため、消費者は購買に対して慎重であり、どの程度の品質なのかをあらかじめ把握できなければ、なかなか購買行動に入りません。

こういった現代人の心理を的確に表した購買行動モデルと言えるでしょう。

購買行動モデルを利用する際の注意点

購買行動モデルに依存し過ぎると、ターゲット顧客の行動を正しく分析できず、適切なアプローチに繋げられない場合があります。

既存のモデルだけでは整理しきれない購買行動も存在するためです。

例えば、多くの購買モデルでは認知した後、検索などの情報収集過程を挟み、購買に至ると整理されていますが、人によっては認知してすぐに衝動的に購買するケースもあります。

購買行動モデルはあくまで参考として利用しながら、実態に即して柔軟に認識を改めていくことで、効果的なアプローチを実現できるでしょう。

まとめ

今回は購買行動をテーマに、概要や重要性を踏まえた上で、具体的な購買行動モデルをご紹介しました。

購買行動モデルは消費者が購買に至るまでに、どういったプロセスを経ているのかを分析し、適切なアプローチを考える上で役立ちます。

現代はSNSをベースとした購買行動モデルが主流ですが、今後も変化していくことが予想されるため、実態に即してキャッチアップしていくことが求められるでしょう。

ぜひこの記事を参考に、購買行動モデルを活用いただければ幸いです。

この記事の監修者:

宮崎桃(Meltwate Japanエンタープライズソリューションディレクター)

国際基督教大学卒。2016年よりMeltwater Japan株式会社にて新規営業を担当。 2020年よりエンタープライズソリューションディレクターとして大手企業向けのソリューションを提供。 ソーシャルメディアデータ活用による企業の課題解決・ブランディング支援の実績多数。 趣味は映画鑑賞、激辛グルメ、ゲーム

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