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ニーズ調査とは?顧客ニーズを掴む方法・成功のコツ・注意点を解説

ニーズ調査とは?顧客ニーズを掴む方法・成功のコツ・注意点を解説


宮崎桃

Jan 22, 2026

商品開発やマーケティング施策が思うような成果につながらない。その原因の多くは、顧客の本音を掴みきれていないことではないでしょうか。

現状を打破するために不可欠なのが、顧客が抱える不満と理想とのギャップを分析し、表面化していない潜在的な課題まで探るニーズ調査です。

本記事では、ニーズ調査の種類や役立つフレームワーク、成功させるポイントを解説します。

ニーズ調査とは?

ニーズ調査とは、商品開発やマーケティング施策の精度を高めることを目的に、顧客が抱える現状の不満と理想とのギャップを定性的・定量的に分析するリサーチ活動です。

単に欲しい機能や要望を表面的に聞くだけでなく、顧客自身さえも言語化できていない潜在的な課題や、購買行動の背後にある心理(インサイト)まで深く探るプロセスが重要になります。

市場の変化が激しく、多様な価値観が混在する現代において、企業の思い込みによる開発ミスを防ぎ、市場に受け入れられる価値を創出するための必須作業といえるでしょう。

ニーズ調査の目的

ニーズ調査の目的

企業がコストと時間をかけてニーズ調査を行う主な目的は、以下の4点に集約されます。

  • 商品開発や改善における失敗リスクの低減
  • STP分析などマーケティング戦略の精度向上
  • 顧客自身も気づいていない本質的課題の発見
  • 顧客ロイヤリティとLTVの最大化

それぞれ詳しく解説します。

商品開発・改善の成功率向上

開発前の段階で顧客の声を取り入れるプロセスは、市場に受け入れられる確率を高めるために必須です。企業側の都合や思い込みだけで進める商品作りは失敗リスクを伴うからです。

また、既存商品の売上が伸び悩んでいる場合、ユーザーがどこに不満を感じているかを特定する必要があります。

定量的な需要予測も含めた市場調査と組み合わせることで、より確実性の高い意思決定が可能になるでしょう。

マーケティング戦略の精度向上

マーケティングの目的は、「誰に」「何を」「どう伝えるか」を明確にし、施策の無駄をなくすことです。

どれほど優れた商品でも、ターゲット設定や訴求ポイントがずれていれば成果を出すことはできません。ニーズ調査を通じてペルソナを詳細に描くことで、響くメッセージや最適な広告媒体を選定できるようになります。

精度の高いマーケティング戦略は、憶測ではなく、リアルな顧客データに基づく深い理解から生まれます。

▶︎あわせて読みたい:データドリブンマーケティングとは?実行の手順や成功に導くポイントを解説

本質的な課題の把握

ニーズ調査を通じて、顧客の言葉の裏に隠された真に解決すべき課題を突き止めることができます。

顧客が口にする「〇〇が欲しい」という要望は、あくまで表面的な手段に過ぎないことが多く、そのまま鵜呑みにするのは危険です。なぜその要望が出たのか、背景や心理を掘り下げることで、顧客自身も気づいていない根本的な問題が見えてきます。

この深い洞察こそが、競合他社には真似できない、画期的なソリューションを生み出す源泉となります。

顧客満足度・LTV向上

継続的な調査で顧客理解を深めることは、長期的な信頼関係の構築と収益の安定化に不可欠です。

ニーズを的確に満たし続ける体験は、「自分を理解してくれる企業」という信頼感を生み、他社への乗り換えを防ぎます。変化する顧客の状況に合わせて価値を提供し続けることが、リピート購入やファン化につながります。

単発の売上にとどまらず、LTV(顧客生涯価値)を最大化させるためにも、定期的な調査で顧客理解を常に最新の状態にアップデートしましょう。

▶︎あわせて読みたい:ブランドロイヤリティとは?高めるメリットや評価指標、事例を解説

ニーズの種類

ここでは、マーケティングにおいて区別すべき3つの重要なポイントについて解説します。

  • 顕在ニーズ
  • 潜在ニーズ
  • ニーズとウォンツの違い

顕在ニーズ

顕在ニーズとは、顧客自身が明確に自覚しており、すでに言葉で表現できる欲求のことです。

「もっと安い料金プランが良い」「画面の文字を大きくしてほしい」など、具体的な要望や不満として表れます。アンケート調査や営業担当者へのヒアリングで容易に収集できるため、活用しやすいのが特徴です。

しかし、顧客が自覚しているということは、競合他社も同様にそのニーズを把握している可能性が高いといえます。そのため、顕在ニーズに対応するだけでは機能や価格での競争になりやすく、差別化が難しい側面があります。

潜在ニーズ

潜在ニーズとは、顧客自身も自覚しておらず、まだ言葉になっていない無意識下の欲求です。

「理由は分からないが、なんとなく使いにくい」「言われてみれば、確かに不便だった」というように、本人への直接的な質問だけでは引き出せません。行動観察や対話を通じて「なぜ?」を深掘りすることで初めて発見できます。

潜在ニーズを的確に捉えた商品は、顧客に「まさにこれが欲しかった」という感動を与え、新たな市場を開拓する力を持ちます。表面的な回答の奥にある、隠れた消費者インサイトを探り当てるプロセスこそが、イノベーションの源泉となります。

ニーズとウォンツの違い

ニーズとウォンツの違い

ニーズは、解決したい本質的な課題、ウォンツはそのための具体的な解決策(商品・サービス)を指します。

有名なドリルの話で例えると、顧客が口にする「ドリルが欲しい」はウォンツです。しかし、真の目的(ニーズ)は「壁に穴を開けたい」という点にあります。

穴さえ開けば、道具はドリルである必要はありません。顧客の「これが欲しい(ウォンツ)」という言葉を鵜呑みにせず、それを使って何を実現したいのか(ニーズ)まで掘り下げて考えるのが大事です。

ニーズ調査の種類

ニーズ調査には以下の2種類があります。

  • 定量調査
  • 定性調査

それぞれについて、詳しく解説します。

定量調査

定量調査とは、収集したデータを数値で表し、客観的な分析を行う手法です。Webアンケートや会場調査が代表的です。

例えば、「新商品の購入意向が何%あるか」「A案とB案のどちらが好まれるか」といった、どのくらいかを明確にしたい場面で使われます。

大規模なサンプル数を確保しやすく、結果がグラフや数値で可視化されるため、社内稟議や意思決定の根拠資料として強い説得力を持ちます。まずは市場のボリューム感や傾向を掴みたい場合に採用すべき調査です。

定性調査

定性調査とは、対象者の発言や行動、感情といった数値化できない情報を集める手法です。1対1のインタビューやグループインタビューなどが該当します。

「なぜその商品を選んだのか」「どのような生活シーンで不満を感じるか」といった、数値の裏側にある理由や文脈を深掘りすることに特化しています。

まだ仮説が立っていない段階で、顧客の生の声から新たなインサイトを発見したい場合に最適です。サンプル数は少なくなりますが、定量調査では見落としてしまう深い心理や、想定外のニーズを拾い上げることができます。

ニーズ調査の手法

ここでは、実務でよく使用されるニーズ調査の手法について解説します。

  • アンケート調査
  • インタビュー調査
  • 行動観察調査(エスノグラフィ)
  • 既存データを活用したインサイト分析
  • ソーシャルリスニング(SNS・口コミ分析)

アンケート調査

アンケート調査は、質問票を用いて多数の対象者から定量データを集め、仮説検証や傾向の把握を行う手法です。

回答の質は設問設計で決まるため、以下の基本項目を網羅しましょう。

  • 認知経路(どこで知ったか)
  • 購入理由(選んだ決め手)
  • 品質評価(使い心地や性能)
  • 満足度(5段階評価など)

これらを分析することで、客観的な数値根拠を得ることができます。

インタビュー調査

インタビュー調査は、対象者との対話を通じて、数値に表れない深い心理や、行動に至った理由を探る手法です。

個人の価値観を掘り下げる「1対1」や、参加者の相互作用を促す「グループ」などの形式があります。

「なぜそう思ったのですか?」と問いを重ねることで、顧客自身も自覚していない潜在ニーズを言語化できる点が最大の強みです。

行動観察調査(エスノグラフィ)

行動観察調査は、顧客の実際の生活や利用シーンを観察し、無意識の癖や行動パターンからニーズを発見する手法です。

顧客は自分の行動をすべて正確に記憶しているわけではありません。言葉では満足と言っていても、実際には使いにくそうにしている場面があるものです。

ファクトを客観的に捉えることで、バイアスのないリアルな課題を見つけ出すことができます。

既存データを活用したインサイト分析

わざわざ新しい調査を行わずとも、社内に眠っているデータ資産を活用するだけで、多くの貴重なニーズを発見できます。

具体的には、購買履歴やWebサイトの行動ログ、カスタマーサポートに寄せられた問い合わせ、営業担当者の日報などを分析します。顧客がどこで離脱したのか、どのような不満を抱いて問い合わせてきたのかといった事実は、改善のヒントの宝庫です。

▶︎あわせて読みたい:VOC分析とは?メリットや効果を最大化する3つのポイント

ソーシャルリスニング(SNS・口コミ分析)

ソーシャルリスニングとは、SNSやレビューサイト上の投稿を収集・分析し、企業への忖度のない本音を探る手法です。

Meltwaterのような高度なソーシャルリスニングツールを活用すれば、人力では処理しきれない量の投稿をAIツールが解析し、自社ブランドへの評価や口コミ分析を自動でレポート化できます。

単なるキーワード検索にとどまらず、どのような層が話題にしているかというオーディエンスの理解も可能です。市場のトレンド分析まで網羅的に行えるため、現代のマーケティングにおいてソーシャルリスニングは強力な武器となります。

ニーズ調査で役立つフレームワーク

ニーズ調査で役立つフレームワーク

闇雲に調査データを集めても、活用できる形に整理できなければ意味がありません。

ここでは、顧客ニーズを多角的に分析し、具体的なアクションにつなげるための以下のフレームワークをご紹介します。

  • RFM分析
  • セグメンテーション分析
  • CTB分析

RFM分析

RFM分析とは、顧客の購買行動を数値化し、自社にとっての重要度を測る手法です。以下の3つの指標を用いて顧客をランク付けします。

  • Recency(最新購入日):最近いつ購入したか
  • Frequency(購入頻度):どのくらいの頻度で購入しているか
  • Monetary(購入金額):いくら使っているか

RFM分析はニーズ調査において、誰の意見を重視すべきかを決める際に役立ちます。

例えば、商品改善の意見を聞く際、一度しか購入していない顧客よりも、頻繁に購入しているLTVの高い顧客のニーズを優先的に解決するほうが、LTVの向上に直結します。

セグメンテーション分析

セグメンテーション分析とは、市場全体を共通の特徴を持つグループ(セグメント)に細分化する手法です。

年齢や性別だけでなく、「キャンプ好き」などの趣味嗜好、「週末は郊外へ出かける」といった行動パターンで顧客を分類します。

例えば、20代男性という広い括りでは「安くて良いものが欲しい」程度のニーズしか見えません。一方、「20代男性×ソロキャンプ初心者」と絞り込めば、「軽量で設営が簡単なテントが欲しい」という具体的なニーズが浮かび上がります。

ターゲットマーケティングの精度を高めるには、自社商品が「どのセグメントの、どのような課題」を解決できるのかを明確にするのが大事です。

CTB分析

CTB分析とは、顧客の好みに焦点を当て、今後の購買行動を予測する手法です。以下の3つの要素で分類します。

  • Category(カテゴリー):何に関心があるか
  • Taste(テイスト):どのような雰囲気を好むか
  • Brand(ブランド):どのブランドを信頼しているか

ニーズ調査は、顧客の感性やライフスタイルを深く理解するために用います。

例えば、同じ「家具が欲しい」というニーズでも、CTB分析によって「北欧風が好き」という傾向が分かれば、機能性よりもデザインや温かみを重視した提案が響くことが予測可能です。数値化しにくい感性の部分を可視化し、顧客の心に刺さる企画を立案するのに役立ちます。

ニーズ調査を成功させるポイントと注意点

正しい調査設計を行わなければ、集まるデータはノイズだらけになり、誤った経営判断を引き起こしかねません。

ここでは、調査の品質を担保するために守るべき3つの鉄則を解説します。

  • 誘導的な設問や曖昧な設問を避ける
  • 複数セグメントを調査する
  • 表面的な回答だけで判断しない

誘導的な設問や曖昧な設問を避ける

設問の作り方一つで、回答結果は大きく歪んでしまいます。特に、企業側が期待する回答に誘導してしまう設問や、人によって解釈が異なる曖昧な言葉は避けなければなりません。

以下の比較例を見てみましょう。

設問の種類NG例OK例改善のポイント
誘導的な設問非常に便利なこの新機能を使いたいですか?この新機能を使いたいですか?「便利」という前提(バイアス)を排除し、中立的に聞く。
曖昧な設問このサービスは使いやすいですか?管理画面のメニュー配置は分かりやすいですか?「使いやすさ」の定義を具体化し、焦点を絞って聞く。

回答者が迷わず、ありのままの事実を答えられるよう、設問では中立的かつ具体的な表現を徹底しましょう。

複数セグメントを調査する

既存のロイヤル顧客だけを見ていては、市場の全体像を見誤ります。自社のファンは好意的な意見をくれる傾向がありますが、そこからはシェアが伸び悩む原因は見えてきません。

現状を正しく把握するには、以下の層も調査対象に含めるべきです。

  • 競合他社のユーザー:なぜ自社を選ばなかったのか
  • 離脱した元ユーザー:どこに不満を感じて解約したのか
  • 未認知層:そもそもなぜ商品を知らないのか

異なるセグメントの意見を比較分析することで、自社の本当の強みや、改善すべき弱点が相対的に浮き彫りになります。自分たちに都合の良い声だけでなく、耳の痛い意見こそが成長のヒントとなります。

表面的な回答だけで判断しない

顧客が口にする言葉は、必ずしも本音とは限りません。建前や、とっさの思いつきで答えているケースも多いため、発言を鵜呑みにせず、その裏にある背景を探ることが不可欠です。

例えば、「価格が高い」という回答があったとします。これを真に受けて値下げをするのは早計です。深掘りすると「価格に見合う価値が伝わっていない」「他社製品との違いが分からない」というプロモーション上の課題が真因である場合も少なくありません。

回答の背景にある「なぜ?」を突き止めるには、定量データだけでなく、定性調査での深掘りや、実際の行動データとの照らし合わせを行い、多角的に分析することが求められます。

まとめ|ニーズ調査で顧客理解を深め、戦略の精度を高めよう

ニーズ調査は、顧客の言葉の裏にある本音や潜在的な課題を解明し、マーケティング施策や商品開発の精度を高めるための必須プロセスです。

成果を出すには、定量・定性調査を適切に使い分け、表面的な回答だけでなくインサイトまで深掘りすることが重要です。

まずは調査を行う目的を明確にし、アンケートやソーシャルリスニングなど、自社に合った手法から始めてみましょう。深い顧客理解に基づいた戦略こそが、競合には真似できない強いブランドを育てます。

この記事の監修者:

宮崎桃(Meltwate Japanエンタープライズソリューションディレクター)

国際基督教大学卒。2016年よりMeltwater Japan株式会社にて新規営業を担当。 2020年よりエンタープライズソリューションディレクターとして大手企業向けのソリューションを提供。 ソーシャルメディアデータ活用による企業の課題解決・ブランディング支援の実績多数。 趣味は映画鑑賞、激辛グルメ、ゲーム

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