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独身の日から猫の日まで!世界の面白い記念日と話題づくりのヒント

“独身の日”から”猫の日”まで!世界の面白い記念日と話題づくりのヒント


宮崎桃

Nov 13, 2025

世界には「独身の日」や「ボクシングデー」など、ユニークで思わず注目したくなる記念日が数多く存在します。

日本では11月22日の「いい夫婦の日」が有名で、夫婦で過ごす時間を大切にしようというメッセージとともに、プレゼントや旅行、外食といった「記念日消費」が盛り上がります。

また、2月22日の「猫の日」は、ペット関連グッズやスイーツの販売、SNSキャンペーンなどが各企業により相次いで展開され、毎年トレンド入りするほどの人気ぶりです。

企業やブランドは、こうした記念日をマーケティングにうまく取り入れることで、自然な形で注目を集め、消費者との距離を縮めることができます。

この記事では、世界に存在するユニークな記念日を紹介し、それらがどのようにマーケティングに活用されているのかを見ていきます。

世界のユニークな記念日と事例

世界には、日本ではあまり知られていないユニークな記念日が数多く存在します。

国ごとに背景や祝い方が異なり、単なるお祝いとしてだけでなく、文化や社会の特色、商業活動と結びついた独特の形で定着しているのが特徴です。

ここでは、世界の個性的な記念日と、それらのマーケティング活用事例を紹介します。

世界の面白い記念日

中国:光棍節(独身の日、11月11日)

11月11日は、中国で「光棍節(独身の日)」として知られる特別な日です。

もともとは、1990年代に南京大学の学生たちが、独身者同士で集まって楽しむために始めた行事でしたが、2000年代後半になると買い物を楽しむ日として注目されるようになりました。

その転機となったのが、2009年にアリババグループが仕掛けた「ダブルイレブン・グローバルショッピングフェスティバル」。

日付に「1」が4つ並ぶことから「ひとり」を象徴するこの日に、「買い物で自分を励ます」というコンセプトで行われる大規模なセールです。

参加企業は年々増加し、売り上げもアリババだけで10兆円を超えるまでに拡大しました。

今では世界最大級のECセールイベントとして、中国国内だけでなく、世界中のブランドや消費者が注目する記念日になっています。

かつての「独身者のための記念日」は、今や中国経済を動かす一大商戦の日として知られています。

韓国:ブラックデー(4月14日)

韓国では、毎年4月14日を「ブラックデー」と呼び、この日は恋人のいない人たちが集まって自分をねぎらう、少し切なくもユニークな記念日となっています。

2月14日の「バレンタインデー」、3月14日の「ホワイトデー」に誰からもプレゼントをもらえなかった独身者が主役になる日です。

名称の「ブラック」は、恋愛イベントに縁がなかった人の心の真っ黒さをユーモラスに表したもので、この日には黒い服を着て、黒いソースが特徴の韓国式中華料理「ジャージャー麺」を食べるのが定番。

韓国の中華料理店ではこの日に合わせて「1+1イベント」や割引キャンペーンが行われ、SNSでは「#ブラックデー」「#ジャージャー麺」などのハッシュタグがトレンド入りします。

もともとは、独身者の自虐ネタ的な風習でしたが、今では友人同士で気軽に楽しむ文化として広がり、企業のプロモーションにも活用されるようになっています。

アメリカ:ナショナル・ピザ・デー(2月9日)

アメリカでは毎年2月9日が「ナショナル・ピザ・デー」とされ、全国各地で「みんなでピザを食べよう」というムードが高まります。

古代ギリシャの平焼パンを起源に、18世紀のナポリで生まれた現代のスタイルのピザは、アメリカで独自の進化を遂げ、今や国民食と言える存在です。

この日は、家族や友人とピザを囲むだけでなく、各ピザチェーンが限定クーポンや割引キャンペーン、SNSを活用したフォトコンテストなどを展開。

ハッシュタグ「#NationalPizzaDay」には毎年数百万件の投稿が集まり、アメリカ全土がピザで盛り上がります。

地元のピザ店では新作メニューを発表したり、一日限定の巨大ピザチャレンジを行ったりすることも。

こうしたイベントは地域経済の活性化にもつながっています。

ちなみに日本では、同じくピザ文化を広める目的で「ピザの日」が11月20日に設けられています。

アメリカ:アズ・ヤング・アズ・ユーフィール・デー(3月22日)

3月22日の「アズ・ヤング・アズ・ユーフィール・デー(As Young As You Feel Day)」は、「年齢はただの数字」という考えのもと、年齢にとらわれず若々しく、自由に生きることを推奨する日です。

創設者はユニークな記念日を多数考案したトーマス&ルース・ロイ夫婦で、春分の直後という、一年の中でも心が弾む季節に合わせて制定されました。

この日には、「若かった頃の自分」に戻った気持ちで好きなことを楽しむのが恒例とされています。

たとえば、夫婦や友人同士がペアルックでテーマパークに出かけたり、若者文化を体験したりと、普段はしない「ハメを外す」体験を楽しみます。

アメリカではこの日に合わせて、ペアグッズや体験ギフト、レジャー施設の特別プランなど、遊び心をくすぐる商品やサービスの人気が高まります。

「大人になっても心はいつでも若さを保つことができる」という前向きなメッセージが、多くの人に愛されているのです。

イギリス:パンク・フォー・ア・デー(10月25日)

10月25日の「パンク・フォー・ア・デー(Punk For a Day Day)」は、1970年代後半にイギリスで広まったパンク・ムーブメントとパンク・ミュージックの精神を祝う日です。

ヒッピームーブメントの反動として生まれたパンクは、体制への反発や自由な自己表現を掲げ、音楽・ファッション・アートなど多方面に影響を与えました。

特に、人気バンド「セックス・ピストルズ」の登場以降、縮んだTシャツやレザージャケットなどの過激なファッションが象徴的なスタイルとして広く知られるようになりました。

社会に対する「NO」を叫ぶカルチャーとして、若者の心を強く惹きつけたのです。

この日は、パンクファッションに身を包んで街に出たり、ライブハウスでパンクロックを楽しんだりする人が多く、ファッションブランドが「パンク」をテーマにした限定コレクションを展開することもあります。

音楽業界やサブカルチャー層にとって、反骨精神と創造性を再確認する特別な一日です。

インド:ラブ・ユア・ペアレンツ・デー(7月第4日曜日)

毎年7月第4日曜日の「ラブ・ユア・ペアレンツ・デー(Love your Parents Day) 」は、インドで親への感謝を伝える日とされています。

もともとは、アメリカ発祥の「ナショナル・ペアレンツ・デー」や、国連が定めた「グローバル・デイ・オブ・ペアレンツ」に端を発し、インド国内でもその思想が広く受け入れられています。

この日は、両親が注いでくれた愛情や尽力に感謝し、その思いを伝える日です。

SNSを通じたメッセージ発信や、オンラインショップ・花屋によるギフトキャンペーンなど、さまざまな形で盛り上がりが見られます。

また、モノを贈るだけでなく、両親の好みに合わせたアクティビティを企画する人も多く、映画鑑賞や特別な食事、小旅行などを一緒に楽しむスタイルも人気です。

家族の絆を再確認し、日頃の「ありがとう」を行動で示すきっかけとなる日として、年々注目を集める記念日です。

カナダ・オーストラリアなど:ボクシング・デー(12月26日)

「ボクシング・デー(Boxing Day)」は、カナダやオーストラリアなどイギリス連邦の国々で、毎年12月26日に祝われる伝統的な祝日です。

もともとはクリスマス翌日に使用人や貧しい人々に贈り物をする日でしたが、現代では家族や友人と過ごすホリデーシーズンの延長として親しまれています。

この日は、クリスマス当日に会えなかった人にプレゼントを贈ったりして、感謝の気持ちを込めた「お礼の消費」を楽しむ日でもあります。

特に注目されるのが、年に一度の大規模セールです。

多くの店舗やオンラインショップが50〜80%の割引を実施し、開店前から行列ができるほどの盛り上がりを見せます。

オーストラリアではショッピングに加え、メルボルンでのクリケットのテストマッチや、シドニーでのホバート・ヨットレースなどのイベントも恒例です。

ボクシング・デーは、感謝と喜びを分かち合いながら新年への期待を高める特別な一日として、今も多くの人々に愛されています。

記念日消費で購買意欲を高める方法

記念日は「季節消費」と同様に、消費者の購買心理を刺激する強力なフックです。ブランドにとっては、消費者と心理的な距離を縮め、共感や親近感を生み出す絶好のタイミングでもあります。

ここでは、記念日ならではの特別な演出や限定商品などを活用し、消費者の購買意欲を高める方法を紹介します。

記念日消費で購買意欲を高める方法

SNS・ハッシュタグの活用

記念日は、企業だけでなく消費者自身も積極的に情報を発信しやすい傾向にあります。

特にSNSの普及により、「今日は〇〇の日」といった投稿が広がりやすく、企業が意図せずとも話題が自然に拡散されるケースも少なくありません。

こうした自発的な情報共有を促すには、ハッシュタグキャンペーンの実施や投稿テンプレートの提供など、参加しやすい仕組みづくりが有効です。

たとえば、「#〇〇の日」「#親子で楽しむ〇〇」など、共感を得やすい言葉をハッシュタグに設定すれば、ユーザー同士の交流を生み出し、認知拡大にもつながります。

また、写真投稿や投票型のキャンペーンを組み合わせることで、購買体験を「発信したくなる行動」に変えることが可能。

記念日を「共感」「共有」の起点として活用することで、自然な形で消費者の購買意欲を高めることができます。

“限定”の特別感でファンを惹きつける

記念日消費でファンを増やすには、“限定性”を取り入れて特別感を演出するのが効果的です。

期間限定のオリジナル商品は、消費者に「今しか手に入らない特別感」を提供し、購買意欲を自然に喚起します。

たとえば、タルト専門店キルフェボンでは、「いい夫婦の日」に合わせた限定タルトを販売。

ガーベラの花びらをイメージしたブラッドオレンジ風味のメレンゲをあしらうことで、単なるスイーツではなく、夫婦円満や感謝を象徴する「贈り物」としての意味合いを持たせています。

このように、記念日や季節行事に結びつけた商品は、SNSでシェアされやすく話題性も生まれやすいため、ブランドのファン層を広げる効果も期待できます。

また、限定販売の期間が短いほど希少性が高まり、購入行動を後押しするきっかけにも。

記念日マーケティングは、遊び心と限定性を活かすことで、消費者との関係を深めることができる戦略的手法として有効です。

感情的なトリガー(情緒的価値)を最大化

記念日消費では、消費者の「大切な人への愛情や感謝を形にしたい」という感情が購買行動の大きな原動力になります。

この場合、価格や機能といった合理的価値よりも、情緒的価値を前面に打ち出すのが効果的です。

具体的には、商品そのものの特徴ではなく、「この商品を通じて得られる人間関係の喜びや特別な時間」といった心理的な価値を訴求します。

たとえば、ギフト商品に込められたメッセージや、記念日限定の体験プランは単なるモノの所有ではなく心の満足を提供し、消費者の購買意欲を高めます。

情緒的価値を最大化することで、記念日マーケティングは単なる販売促進を超え、深い顧客体験の提供につながるでしょう。

記念日マーケティングの魅力と可能性

世界の面白い記念日を通して見えてくるのは、単なる日付のイベントを超えて、消費者の感情や参加意識を動かす力があることです。

中国の光棍節や韓国のブラックデー、アメリカやインドの個性的な記念日の事例にも見られるように、文化や社会の特色と結びついた記念日には、マーケティングの可能性があります。


また、SNSや限定商品、情緒的価値の訴求などを組み合わせることで、消費者の購買意欲を自然に高め、ブランドのファン層を拡大できます。

記念日マーケティングは、消費者の共感を生み、特別な体験を提供する戦略的手法であり、今後もその重要性は高まっていくでしょう。

この記事の監修者:

宮崎桃(Meltwate Japanエンタープライズソリューションディレクター)

国際基督教大学卒。2016年よりMeltwater Japan株式会社にて新規営業を担当。 2020年よりエンタープライズソリューションディレクターとして大手企業向けのソリューションを提供。 ソーシャルメディアデータ活用による企業の課題解決・ブランディング支援の実績多数。 趣味は映画鑑賞、激辛グルメ、ゲーム

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