2030年、消費者はどのような購買行動をとるのでしょうか。AIの急速な発展や価値観の多様化などを背景に、人々の消費行動は年齢や性別の枠組みを超えたものになっていくかもしれません。
本記事では、マーケターが知っておくべき2030年の消費者行動について解説します。
2030年に予測される世界の消費者行動3つ
2030年の日本の消費者行動はどう変化する?
2030年の日本の消費者行動はどう変化する?
これからのマーケティングに求められる3つの視点
まとめ|2030年、選ばれるブランドであるために
2030年に予測される世界の消費者行動3つ
テクノロジーの発展は利便性と効率を大きく飛躍させました。その一方で、新たな価値観が芽生え、従来当たり前にあったテクノロジーが役割を終えようとするという変化もあります。ここでは、2030年に向けてビジネスの前提を塗り替える、注目すべき世界の3大トレンドを解説します。
参考:2026年:グローバル消費者トレンド予測 | ミンテルジャパン
アルゴリズム疲れから消費者が主体性を取り戻す
アルゴリズムとは、問題を解決するための手順や計算方法のことです。オンライン上のユーザーの行動履歴から興味を分析し、おすすめの商品や広告などを表示する仕組みも、アルゴリズムが働いています。
近年ではこのアルゴリズムに息苦しさを感じる「アルゴリズム疲れ」が少なくありません。ECサイトやSNS、動画配信サービス、ニュースサイトなどで「おすすめ」が自動で提示されるのは便利な一方、「同じようなものを何度も見せられている」「機械にコントロールされたくない」といった意識も高まっています。
2030年に向けては、アルゴリズムを排除した、選択の自由を取り戻そうとする動きが顕著になると考えられます。そのため、企業は精度の高いアルゴリズムよりも、消費者の「偶然の出会い」や「発見の喜び」「探索の楽しさ」といった余白を提供する設計が求められるでしょう。
人とのつながりへの渇望が高まる
あらゆるサービスがインターネットで完結し、生活が便利になりました。買い物もセルフレジを使えば人を介さなくて済みます。その一方、人との交流が希薄になったと感じる人が増加しているとも言われています。
2030年のマーケットで消費者が求めるものは、人とのつながりかもしれません。人とのつながりは仕事へのやる気を高め、生産性を上げるという調査結果もあります。企業は消費者に対するサービスだけでなく、社内においても交流しやすい環境作りが求められるでしょう。
世代の境界線が揺らぐ
従来のマーケティングでは、Z世代、ミレニアル世代、シニア層といった世代に分けたターゲティングが使用されてきました。しかし、2030年に向けて「世代」という枠組みはなくなっていくと考えられます。理由は、ライフスタイルの多様化やSNS・動画プラットフォームの発展によって、異なる年齢層でも共通の趣味や価値観を持つ人たちが交流しやすくなったためです。
2030年は、世代ごとのステレオタイプに沿ったマーケティング戦略が通用しない時代になるかもしれません。
2030年の日本の消費者行動はどう変化する?
2030年の消費者行動は多様化し、特に「好きなものをとことん追及する消費スタイル」が中心となっていくことが予想されます。
こだわりを追求するようになる
2030年には個々のこだわりを深める動きが、さらに顕著になっていくでしょう。
矢野経済研究所が推計した「オタク」主要17分野の過去の市場規模を見ると、ゲームや鉄道模型などを含むオタク市場規模は、2021~2025年度の5年間で全体的に右肩上がりになっています。
また、消費者庁の「消費生活の未来に関する調査報告書」では、市場に欲しいものがない場合に3Dプリンターや3Dスキャナーなどのデジタルファブリケーションを使って消費者自ら製作するカスタマイズ製品が、今後は増えると予想されています。
推し活市場の勢いが続く
「推し活」は、もはや一過性のブームではなく、ライフスタイルとして一種の消費カテゴリーになりつつあります。アイドルやアーティストだけでなく、アニメキャラクター、スポーツ選手、VTuberまで、推しの対象は拡大し続けています。
株式会社CDGと株式会社Oshicocoの調査によると、2024年時点の推し活人口は1,384万人で前年比250万人の増加に達しました。市場規模は約3.5兆円に上ります。また、日経読者調査(2025年3月)によると、インフレで生活費が上昇しても推し活にかける金額は維持すると答えた人は8割を超えたとのことです。
こうした規模や定着度を踏まえると、推し活が急激に縮小することは考えにくく、2030年に向けても一定の盛り上がりが継続することが予想されます。
関連記事:バレンタイン市場を席巻する推し活マーケティング・企業事例を完全解説
これからのマーケティングに求められる3つの視点
2030年の消費トレンドを踏まえると、これからのマーケティングには消費者の主体性や感情、コミュニティによるつながりを前提にした設計が必要と言えます。ここでは、マーケターに求められる3つの視点をご紹介します。
1. 「レコメンドを増やす」から「偶然を設計する」が重要に
AIによる高度なレコメンドはこれからも続くと見られますが、消費者は単に効率的な作業を求めているわけではありません。思いがけない発見や自分で見つけたという達成感も、強い満足感や記憶につながります。2030年のマーケティングでは、偶然性をどう演出するかが重要になります。
具体的には、イベントやコミュニティ、ポップアップ店舗の出店など、ユーザーとオフラインでのタッチポイント(顧客接点)を増やすと、発見の楽しさが生まれます。
2. コミュニティ作りが求められる
国内での推し活が盛んなことからも、これからのマーケティングは、商品を売ることと同じくらい、ファンが集まり、交流する場を創出することが重要になります。コミュニティで他者とつながることで企業やブランドに対する信頼感を高め、結果的に強固な顧客ロイヤルティを育みます。
メンバーシップ制を作ってお得な情報を届けたり、SNSでライブ配信したり、イベントへ招待したりするなど、コミュニティならではの特別感を作ると効果的です。マーケターは短期的な売上向上から、長期的な関係価値の創出へと視点を転換していく必要があるでしょう。
3. 興味・関心を軸にターゲットを再定義する
2030年の市場では、年齢・性別・年収といった属性だけでターゲットを定義する方法は通用しなくなっているでしょう。近年は、価値観やライフスタイルが多様化しており、同年代でも消費行動は大きく異なります。
そこで重要になるのが、ターゲット層の年齢ではなく、「興味・関心があるもの」を基準にターゲット層を再定義することです。今後はこだわりを追求する人が増えると予測されます。専門性の高いコンテンツの提供や、知識をより深められるグッズの販売などにより、マーケティングの精度を高めることができるでしょう。
まとめ|2030年、選ばれるブランドであるために
2030年の消費トレンドを一言で表すなら、「人間らしさが再評価される時代」だと言えるでしょう。アルゴリズムによるレコメンドから「偶然の出会い」へ、年齢・属性から「自分らしさ」へ、そして単なる消費から「コミュニティへの関与」へ移り変わることが予測されます。
今後も選ばれるブランドであるために、マーケターには人とのつながりや熱量をいかに提供するかという視点が欠かせません。今こそ、従来のマーケティング手法を見直し、消費者とのつながりを再構築してみてはいかがでしょうか。
この記事の監修者:
宮崎桃(Meltwate Japanエンタープライズソリューションディレクター)
国際基督教大学卒。2016年よりMeltwater Japan株式会社にて新規営業を担当。 2020年よりエンタープライズソリューションディレクターとして大手企業向けのソリューションを提供。 ソーシャルメディアデータ活用による企業の課題解決・ブランディング支援の実績多数。 趣味は映画鑑賞、激辛グルメ、ゲーム

