ブランディングとは?メリットや実践する流れについて解説

パソコンの前で書類を見る男性
パソコンの前で書類を見る男性

オンラインで多くの情報を取得できるようになった消費者に対し、競合他社との差別化や、長期的に選んでもらうためのファン化を意識したとき、マーケティングにおいて「ブランディング」の知識は必須となります。

この記事では、マーケティング戦略におけるブランディングの意味や重要性、実践するための具体例などについて解説します。

ブランディングとは

ブランディング(Branding)とは、文字通り「ブランドをつくる」という意味です。

ビジネスにおいてブランドとは、特定の商品やサービスが、消費者に識別されている状態のものを意味します。テーマパークといえば、日本のアニメ映画といえばで第一想起されるものなど、他のキーワードから連想される状態や、他とは認識が差別化されている状態ともいえます。

ブランディングは、サービスの特性だけでなく、商品名やキャッチコピー、ロゴや配色などのデザイン、PR活動で起用する有名人やキャラクターなど多様な方法で形作っていくものです。

企業が設定したいブランドの価値や提案内容と、 消費者が認識するイメージを近づけることこそがブランディング活動になります。

ブランディングとマーケティングの違い

「ブランディング」と「マーケティング」は混同されやすい言葉ですが、明確に定義が異なります。

  • ブランディング・・・消費者に識別してもらうためのイメージ戦略
  • マーケティング・・・商品販売のトータル的な戦略

ブランディングは、商品販売において、他社とどのように差別化を図り、企業の価値を高めるのかを考え、その考えをどのような形で消費者に認識してもらうのか企画・実行することです。

マーケティングは、市場の調査や消費者のニーズ調査をおこない、適切な販売戦略を立案・実行するだけでなく、製品販売プロセスなどのコスト管理も含めた企画設定も範囲になります。

マーケティングの一環としてブランディングがあるという考え方もできますし、その逆もありえます。より大きな成果を生み出すには、ふたつの戦略を同時に進行させることが重要です。

ブランディングの種類

ブランディングは「何をブランディングするのか」「誰がターゲットになるのか」という観点で、以下の6つに分類できます。

  • 企業ブランディング
  • 商品・サービスブランディング
  • BtoCブランディング
  • BtoBブランディング
  • インナーブランディング
  • アウターブランディング

企業ブランディング

企業ブランディングとは「企業自体のブランディング」を意味します。

自社に対するイメージを具体化してもらうため、企業理念など独自の考えをアピールすることで、企業自体に抱いてもらいたいイメージを訴求します。

商品を売るために、販売元である企業の認知を上げる戦略は効果的で、企業理念や活動内容に共感を示してもらうことで、商品の魅力を引き立てることが企業ブランディングの目的です。

競合と差別化するため、商品だけではなく企業イメージでも差別化が図れれば、価格競争から抜け出すこともでき、市場における優位性の獲得にもつながります。

商品・サービスブランディング

商品・サービスブランディングとは、文字通り「商品・サービスをブランディングすること」です。

これらは対象が消費者であるという点は共通ですが、その中で訴求したいポイントが異なります。

具体的に、商品ブランディングは直接扱える「商品」そのものに対するブランディングであることに対し、サービスブランディングは、目に見えない「体験」に対するブランディングを意味します。

商品ブランディングは、品質や商品のUI(消費者の使いやすさなど)などで、競合と差別化する意識が必要です。

サービスブランディングでは、商品力で訴求するほか、販売担当者の接客や購入店舗での演出など、購入時の特別感を与えることが重要です。

BtoCブランディング

BtoCブランディングとは、Business to Consumerの略で「企業から消費者に向けたブランディング」を意味します。

取り扱う商品が一般消費者(Consumer)向けのものである場合に必要なブランディングで、商品の魅力について認知してもらうことを目的とし、消費者の購買意欲向上のために実施されます。

BtoCブランディングにおいて、一般消費者がどういった経路で商品を知ることになるのか、十分にリサーチすることが大事です。

マーケティングの分野にはなりますが、ネット広告やSNS、折り込みチラシや街頭の看板など、効果的にブランディングできる適切な販売チャネルの把握に努める必要があります。

BtoBブランディング

BtoBブランディングとは、Business to Businessの略で「企業から企業に向けたブランディング」を意味します。

対企業向けの商材は、一般消費者への販売と異なり、社内決裁が必要となることで購入までに時間がかかる場合も多くあります。

また、販売先の企業も、複数の競合他社と相見積もりを取得するケースもあるため、価格競争になる場合も多いです。

インナーブランディング

インナーブランディングとは「社内(従業員など)に向けたブランディング」を意味します。

SNSの浸透で、今まで消費者には見えなかった企業の中身が伝わりやすくなったことで、インナーブランディングの重要性が注目されてきています。

消費者が商品に抱くイメージは、企業だけでなく、その中で働く従業員に対するイメージにも影響されることを理解することが重要です。

消費者に感動してもらう商品を提供するには、従業員に消費者心理を理解してもらうことも大切で、そのために社内研修などの教育を実施することも効果的です。

また、従業員満足度(ES)を上げる試みを実施することで、活き活きと働いてもらうことも、インナーブランディングとして大事なことになります。

アウターブランディング

アウターブランディングとは「社外(消費者や取引先企業など)に向けたブランディング」を意味し、上で紹介したブランディングの対象者を幅広く網羅したものとして定義されています。

商品販売に関連する活動以外も含まれており、たとえば採用活動における応募者へのブランディングもその範囲に含まれます。

売上・利益を向上させる全体的な指針として、多くの企業でアウターブランディングの企画について考えられていますが、ブランディングの効果を最大限発揮するには、対として定義とされているインナーブランディングと両立させることが重要です。

Images of branding guideline manual

ブランディングを行うメリット

ここまで、ブランディングの意味や種類について解説しましたが、顧客対象者にブランドイメージを抱いてもらうことは、企業にとって具体的にどのようなメリットがあるのかをご紹介します。

メリットを理解することで、ブランディング活動の目的を明確にしておきましょう。

価格競争から脱却できる

販売商品に競合が多い場合でも、ブランディングを適切に行うことで価格競争からの脱却が狙えます。

商品の特徴が類似している場合、どうしても価格での勝負になりやすく、消費者としても「同じような商品なら安い方を選びたい」と考えるのは自然なことでしょう。

しかし、ブランディングが成功していると、消費者の購買理由に「価格」以外の「イメージ=価値」が加わります。

  • 販売元の企業が好きだから購入したい
  • 贅沢したい気分のときはこの商品を購入したい
  • サポート体制や購入者の声がわかるので安心できる

上記のように「〇〇といえばこの商品」「〇〇を買うならこの会社」といったイメージを消費者が抱くことで、価格だけではなく、価値を購入判断材料にしてもらえるようになります。

企業の社会的価値を高められる

新たな市場価値の開拓と、新商品の提供を社会的価値としたとき、ブランディングできていることは大きなメリットになります。

人は、今までにない常識を受け入れるのに時間がかかるものです。新たな商品を販売しても、見ず知らずの企業が提供していた場合、浸透するまでにコストがかかりますし、それが成功するとも限りません。

しかし、企業のブランディングができており、既存のファンもいるような場合、新たな商品や価値を受け入れてもらいやすくなるため、結果的にコストの削減にもつながります。

また、企業のロゴや商品のシンボルなど、ブランディングの一環として商標登録や意匠登録を行うことで、類似のデザインが生まれない状況を作れば、市場での社会的価値やポジショニングはより明確なものになります。

ユーザーのロイヤリティが向上する

ロイヤリティとは忠誠心を意味する言葉です。

ブランディングの結果、ブランド価値が高まることで企業や商品への信用や信頼感が高まり、ユーザーが商品に対して愛着心を抱けば、結果的にユーザーのロイヤリティ(忠誠心)が向上します。

ブランドに対するロイヤリティが生まれることでファン化が進み、一般消費者だった顧客も、固定の顧客へと変化する可能性は高いです。

多くの固定顧客をもつ企業や商品は市場でも強く、リピート購入してもらいやすくなることはもちろん、新商品の購入率も高まります。

WebやSNSで良い口コミを広げてもらいやすくもなるため、営業部隊の販促活動がより効率化され、さらなる売上向上にもつながることになります。

知名度が高まり広告費を削減できる

ブランド化することで、リピート購入するファンが増えるため、商品の販促目的で出稿するような広告費は削減できます。

また、商品名で認知を獲得できれば、広告を打たずとも消費者が自発的に調べて購入してくれる「指名買い」も実現します。

さらに、SNSなど拡散性の高いチャネルで口コミが広がれば、企業が営業活動をせずとも自然に商品の知名度が上がっていくことも。

爆発的に拡散される「バズ」を狙って生むことはむずかしいですが、企業ブランディングや商品・サービスブランディングが成功していると、拡散される可能性は高まります。

そういった意味でも、ブランディングを成功させることは、宣伝広告費のコスト削減につながると言えるでしょう。

優秀な人材を確保しやすくなる

ブランディングが成功している企業は、求職者にとっても認知されやすくなります。

すでに取り扱う商品に魅力を感じている場合も多く、消費者としての顧客心理を理解したうえで応募してくる確率も高まるため、優秀な人材も集まりやすいです。

アウターブランディングの中には、採用活動における自社のブランド化を目指す「採用ブランディング」という言葉もあり、企業理念だけではなく、実際に会社で働く従業員の声や職場の風景など、会社の魅力を求職者向けに発信することで求人を募る戦略もあります。

入社後のミスマッチを防ぐことにもなるため、人材確保を目的にブランディングすることも、企業にとってはメリットが多いと言えるでしょう。

Vision board with text bubble and logo

ブランディングを実践する流れ

ブランディングを実践する流れは、大きく3つのプロセスに分られます。

  1. STEP1:環境分析を行う
  2. STEP2:ブランドアイデンティティを構築する
  3. STEP3:ブランドアイデンティティを浸透させる

それぞれ具体的な手法について解説します。

環境分析を行う

企業の営業戦略において、実現可能なKGIやKPIを設定するためには、自社を取り巻く市場や競合他社など周辺の環境分析が必須となります。

マーケティングの環境分析では、フレームワークを使い、多方面からの分析を行うことで、自社の置かれているポジションをより正確に把握していきます。

PEST分析

PEST分析とは、外部の環境について、経営戦略における大局的(マクロ)な分析フレームワークです。

PESTとは、「Politics(政治)」「Economy(経済)」「Society(社会文化)」「Technology(技術)」の頭文字からとられており、各分野の観点で自社の立ち位置や目指すべき姿を把握します。

それぞれ分析する内容の例は以下の通りです。

  • 政治的要因・・・規定の法律や今後決まる可能性のある政治方針
  • 経済的要因・・・市場の物価や競合他社の株価、金利や家計水準
  • 社会的要因・・・人口の増減や海外への移住・移民動向、流行り
  • 技術的要因・・・従来の技術やトレンドとなっている新たな技術

4つの観点から社会の動向をつかむことで、自社がどのようなマーケティング戦略をとり、消費者にブランディングしていくべきなのかを判断します。

3C分析

3C分析とは、「顧客(Consumer)」「競合(Competitor)」「自社(Company)」の視点で環境分析するフレームワークです。

3C分析で確認する内容の例は以下の通りです。

  • 顧客・・・市場の需要や規模、成長性、顧客のニーズ
  • 競合・・・競合企業の特徴や市場のシェア率、新規参入企業の勢いや代替品の可能性
  • 自社・・・市場における自社の強みや弱み、競合企業との差

3C分析では、マクロよりもミクロの分析が目的となるため、具体的な数値をまとめることや、ユーザーの声を拾うことも必要になります。

市場における成功要因やリスク要因を導き出す材料ともなるため、3C分析で収集した内容は、施策実行時に活用することで初めて効果を発揮します。

SWOT分析

SWOT分析とは、外部環境の分析をすることで、営業戦略の最適化を図るために用いられるフレームワークです。

「強み(Strength)」「弱み(Weakness)」「機会(Opportunity)」「脅威(Threat)」の頭文字からとった言葉で、それぞれの組み合わせから状況を把握し、戦略立案に活かします。

強み(Strength) 弱み(Weakness)
機会(Opportunity) 強みを機会に活かすには? 機会を活かすため、どのように弱みを補強するか?
脅威(Threat) 強みで脅威を避けるには? 脅威を避けるため、どのように弱みを補強するか?

SWOT分析で確認する内容の例は以下の通りです。

  • 強み×機会(S×O)・・・自社の強みを活かし、市場の機会を掴みとる指針
  • 強み×脅威(S×T)・・・自社の強みで外部の脅威を避ける、もしくは対抗するための指針
  • 弱み×機会(W×O)・・・機会を掴み損ねないように、自社の弱みをどのように補強するかの指針
  • 弱み×脅威(W×T)・・・脅威を避けて立ち回るために、自社の弱みをどのような形で補強するかの指針

SWOT分析を行うことで、プラス要因とマイナス要因が整理され、戦略の解像度も上がります。

ブランドアイデンティティを構築する

ブランドアイデンティティとは、どのようなブランディングをしたいか、方向性を定義することです。

ブランドアイデンティティを構築することは、企業にとってメリットがあるだけでなく、ブランディングする対象(消費者など)にとってもイメージしやすくなるという点で重要な内容です。

ペルソナの設定

マーケティングにおけるペルソナとは、自社の商品を利用するユーザー層のことを意味します。

ペルソナの設定では、年齢や性別、居住地や職業、性格や生活スタイルなど、具体的に人物像がイメージできる程度に設定を作り込むことが重要です。定義したペルソナに対して、どのようなブランディングが効果的なのかを考えることで、ブランドアイデンティティを構築していきます。

※マーケティングにおけるペルソナの活用を「ペルソナマーケティング」とも呼びます。

ペルソナは設定するだけでなく、商品をどのように知ることになるのか、また、どのような心理状態で購入に至るのかなど、さまざまな視点から考えることが重要です。

ユーザー心理を意識するブランディングにおいて、ペルソナの設定は必須とも言えます。

ブランドコンセプトの設定

ブランドコンセプトとは、ブランドの価値やブランドの社会的な目的を言語化したものです。ブランドコンセプトが設定されていなければ、ブランディングすることもできません。

環境分析で自社のマーケティング指針を固めたうえで、ペルソナを設定することで、市場の消費者へどのような価値を提供すると効果的なのかが見えてきているはずです。

有名コーヒーチェーンのスターバックスを例にあげると、居心地のよい「サードプレイス(第三の場所)の提供」というブランドコンセプトがあり、人々の心を豊かで活力あるものにするという考えのもと、商品作りや店舗の空間演出を実現しています。

ブランドコンセプトを設定することで、提供する価値と、消費者に抱いてもらいたいイメージにズレが起こりにくくなります。

ブランド名やブランドロゴの決定

もしこれからブランド名やブランドロゴを制作する場合、環境分析やペルソナをもとにブランドコンセプトを設定した後に、それらを具現化して発信できるようにするための「ブランド名」や「ブランドロゴ」を決めることになります。

ブランド名やブランドロゴは、ブランドに対する消費者の印象を左右する大きな要因となります。そのため、ブランドアイデンティティの浸透を目的に、デザイン性だけでなく、企業理念なども意識したうえで作成することが必要です。

ロゴは主に3パターンあり、企業ごとにブランディングを意識して作成されています。

  • ロゴタイプ・・・図案化・装飾化された文字列(SONY・HITACHIなど)
  • シンボルマーク・・・会社、団体、個人などを象徴するマーク(Apple・ナイキなど)
  • ロゴマーク・・・ロゴタイプとマークを意匠的に組み合わせたもの(NTT・アディダスなど)

ブランドアイデンティティを浸透させる

最後に、ブランドアイデンティティの浸透を目的とした施策を実行します。

商品を販売したあとも、市場の売れ行きや消費者の声を分析収集し、ブランディングの発信方法を常にブラッシュアップし続けていくことが重要です。

アウトプット方法の決定

ブランディングをどのような形で浸透させるのか、効果的なアウトプット方法を考えて決める必要があります。

ブランディング対象が商品やサービスである場合、その特性によっても適正なチャネルは異なります。

たとえば高齢層をペルソナとして、「近所で通える店舗型マッサージチェーン店」の展開を考えている場合、ターゲット層は折込チラシなどを参考にしているかもしれません。その場合、Web広告やSNSなどでブランディングのアウトプットをしても、効果は薄い可能性が高いでしょう。

また、「ダイエットに興味関心が強い20代の女性をターゲットにした健康食品」を販売するのであれば、商品パッケージを可愛くオシャレに仕上げるうえで、InstagramなどのSNSを使ったアウトプットが効果的かもしれません。

アウトプットするチャネルや、アウトプットの方法は、分析した情報をベースに企画設計することが重要となります。

効果測定の実施

計画的にブランディングを実行したとしても、想定通りの結果が返ってくるとは限りません。商品の販売実績が思わしくない場合などは、どこに問題があるのか効果測定をする必要があります。

KPIなどの業績指数改善に、イメージ戦略の影響がどの程度あるのか判断することも必要になるため、SNSや自社のアンケート機能などを活用することで、ユーザーの反応を確認し、ブランドアイデンティティの浸透を図りましょう。

市場は常に変化するため、自社内の数値だけでは気付けない外的要因による影響を受けることも考えられます。その場合は、あらためて環境分析から行うことも効果的です。

ブランディングがうまくいっていないと判断した場合は、自社の売上よりも、「今市場にいる消費者が何を求めているのか」に目を向けることが重要となります。

自社調査・市場調査をブランディングに役立てよう

ブランディングを成功させるためには、事前の情報収集が大事です。

記事内でも環境分析の重要性は解説しましたが、市場調査を行う場合、ツールを活用することで確度の高い分析が行えるようになります。マーケティングツールは多岐に渡りますが、収集できる情報範囲の広さなどを考慮すると、Meltwaterのツールがおすすめです。

>> Meltwater|マーケティングコミュニケーション

Meltwaterは、WebニュースやSNS、紙媒体、テレビ、ラジオなど、多様なチャンネルの情報をモニタリングし、自社・競合ブランドが市場からどう見られているかを知ることができます。ブランディングを成功させるためにも、ぜひ活用してください。