日本発祥で世界共通言語にもなっている「絵文字」は、今やメッセージアプリやSNSに欠かせない存在となっています。現在では世界中で数千種類に及ぶ絵文字が使われていますが、国によって頻繁に用いられるものに違いはあるのでしょうか。
そこで今回は、Meltwaterエクスプロア<Explore>のAI検索アシストツールを活用して、2025年に日本・アメリカ・中国・韓国・イギリス・インド・オーストラリアの7カ国で最も使われたトップ3の絵文字を調査しました。世界の感情表現の傾向や、2024年との比較について解説します。
7カ国の“気分”を可視化。世界が今もっとも使う絵文字とは?
まずは、日本・アメリカ・中国・韓国・イギリス・インド・オーストラリアの7カ国共通の人気絵文字データから見ていきましょう。2025年に、国境を超えて愛された絵文字を抽出・集計しました。
世界に共通する人気絵文字「😭」「❤️」
2025年に7カ国共通で、ダントツの利用率を誇った絵文字は「😭(大泣きの顔)」「❤️(赤いハート)」でした。
😭:大泣きの顔
大泣きの顔は、喜び・悲しみ・共感など多様な文脈で使われる万能な絵文字です。さまざまな気持ちを表現できる汎用性の高さが、人気の理由と考えられます。
「😭」は、7カ国中6カ国でよく使われる絵文字のトップ3にランクインしていましたが、インドでは上位に入っていませんでした。
❤️:赤いハート
赤いハートも複数の国で共通して人気を集めました。SNSで写真や動画への「いいね」のマークとして使用されていることからも、赤いハートは国境を越え、好意や肯定、共感、応援する気持ちを表すと考えられます。
国別ではアメリカ、イギリス、オーストラリア、インド、韓国は「❤️」がトップ3位以内に入っていましたが、日本と中国ではランクインされませんでした。
【国別人気絵文字】リアクション文化の違い
メッセージに加えるだけで、感情が一気に伝わりやすくなる絵文字。ここからは、2025年に日本・アメリカ・中国・韓国・イギリス・インド・オーストラリアの世界7カ国ごとに人気の絵文字TOP3をご紹介します。
日本
日本での第1位は、「😭」(大泣き顔)でした。「😭」は、「悲しさ」「嬉しさ」「感動」などを表現する絵文字として、頻繁に利用されています。
2位は、「💦」(汗マーク)がランクイン。「💦」がランキング上位に入っているのは、本調査でなんと日本だけでした。「汗をかいている様子」や「焦りの気持ち」を表す絵文字として知られていますが、日本のマンガやアニメでの汗の描かれ方が浸透しているからこそ伝わる表現のようです。海外では性的な意味合いで使われることもあるため、使い方には注意が必要です。
3位は、「‼️」(二重感嘆符)でした。「驚き」「喜び」「強調」などを表し、ポジティブ・ネガティブのどちらの文脈にも使える汎用性の高い絵文字です。
アメリカ
アメリカの第1位は、日本と同じく「😭」(大泣き顔)2位は「❤️」(赤いハート)でした。
3位には、「🔥」(炎)がランクインしました。「fire」は火や炎を意味しますが、スラングでは「イケてる」「クール」「魅力的」といった意味も持ちます。
中国
中国でも「😭」(大泣き顔)が首位となりましたが、2位以降は他国とは異なるユニークな絵文字が見られます。
2位には、「🫠」(溶ける顔)がランクイン。「極度の暑さ」「恥ずかしさ」「気まずさで溶けそう」「痛みを隠す」など、複雑な気持ちも表現できるのが特徴です。
3位は、「🐸」(カエル)でした。「🐸」はインターネット上で話題になったカエルのキャラクター「Pepe the Frog(カエルのペペ)」から使用されるようになったと言われています。カエルのぺぺは中国で「伤心青蛙」(悲しいカエル)と呼ばれ、「失望」「投げやり」「皮肉」「人生の虚無感」といったやるせない気持ちを象徴するとともに、「いたずらっぽい笑顔」の意味合いも持ち、使用できる場面は多岐に渡ります。
韓国
1位は「😭」(大泣き顔)、2位は「❤️(赤いハート)」と他の国でもよく使われている絵文字が続きました。
3位に入った「🥰」(ハートがついた笑顔)は、今回の調査対象の国のなかでは韓国が唯一ランクインしています。
イギリス
イギリスでは、1位に「❤️」(赤いハート)、2位は「😭」(大泣き顔)と、他の国でもよく使われている絵文字が入りました。3位には「😂」(爆笑/嬉し泣き)が続きました。
インド
インドでの人気絵文字は、「😂」(爆笑/嬉し泣き)が首位に立ちました。2位は、「❤️」(赤いハート)です。
3位には、日本人にも馴染み深い「🙏」(合掌)がランクイン。合掌はインドで生まれた礼拝の動作で、敬意や感謝の意味で使用されているようです。
オーストラリア
オーストラリアで人気の絵文字1位は「😂」(爆笑/うれし泣き)、2位は「❤️」(赤いハート)、3位は「😭」(大泣き顔)でした。
順位は異なりますが、イギリスのトップ3と同じ絵文字が並びました。
2024年からどう変わった?絵文字トレンドを比較
2024年に人気だった絵文字は、2025年と同じく「😭」が首位でした。「😭」は2024年1月1日から11月30日までの間、なんと約7億6,100万回も使用されました。
2位は「😂」でした。2024年11月6日、ドナルド・トランプ氏がアメリカ大統領選挙に勝利したことが発表されたその日に、SNSやメッセージアプリで一時的に利用が急増しました。
3位の「🔥」は、11月18日と11月27日~29日にかけて、暗号資産であるビットコインが連日過去最高値を更新した投稿や、バングラデシュにおける抗議活動に関する投稿で利用が急増しました。音楽やマーケットの「盛り上がり」や抗議活動における「怒り」が「🔥」に反映されたと考えられます。
参考:The Most-Used Emojis of 2024
まとめ
絵文字の使われ方には、その国ならではの感情表現の特長や、SNS上で共有されやすい「共感のかたち」が色濃く反映されています。言語を超えて使われる一方で、文化差がにじみ出る点こそが、絵文字が気分を映す指標として注目される理由と言えるでしょう。
Meltwater「エクスプロア」のAI検索アシストツールを活用すれば、SNS上の絵文字からもターゲット顧客層の感情を読み取ることができます。エンゲージメント強化に向けて改善策を打つきっかけにもなり、ブランドへの共感を最大化できるでしょう。
この記事の監修者:
宮崎桃(Meltwate Japanエンタープライズソリューションディレクター)
国際基督教大学卒。2016年よりMeltwater Japan株式会社にて新規営業を担当。 2020年よりエンタープライズソリューションディレクターとして大手企業向けのソリューションを提供。 ソーシャルメディアデータ活用による企業の課題解決・ブランディング支援の実績多数。 趣味は映画鑑賞、激辛グルメ、ゲーム
