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セールステックとは_カオスマップで市場と主要7カテゴリを解説

セールステックとは?カオスマップで市場と主要7カテゴリを解説


宮崎桃

Jul 4, 2025

セールステックとは、営業活動の効率化・最適化を図るツールの総称です。


本記事では、セールステックの基本概念と7つの主要カテゴリを詳しく解説します。他にも導入のメリットや導入方法など、営業力を強化するためのヒントをお届けします。

セールステック(Sales Tech)とは

セールステック(Sales Tech)とは

セールステック(Sales Tech)とは、セールス(Sales)とテクノロジー(Technology)を組み合わせた言葉で、営業活動を効率化・最適化するテクノロジーツールの総称です。顧客情報や営業プロセスをデータ化することで、業務の一部を自動化したり、営業間で情報共有したり、今後の顧客の動きを予測したりすることができます。商談の管理からリードの選定、顧客からのフィードバック分析など、活用できる場面はさまざまです。

セールステックには、MA(マーケティングオートメーション)やSFA(営業支援システム)などがあり、ECサイトとの連携やセールステックどうしの連携もできます。自社の課題に合ったセールステックを見つけ、社内に浸透させることが大切です。

セールステックは人の経験と勘に頼っていた従来の営業スタイルから転換し、データやAIの力で営業プロセスを科学的にサポートします。テクノロジーを味方につけることで煩雑な業務を効率化し、顧客との関係構築により集中できるのが最大のメリットです。

セールステックが注目されている背景

セールステックが注目されている背景として以下の3つが挙げられます。

  • 労働力人口の減少
  • 新型コロナウイルスによる働き方の変化
  • IT技術の発達

それぞれ詳しく解説します。

労働力人口の減少

労働力人口の減少表

画像引用:厚生労働省「将来推計人口(令和5年推計)の概要


日本の人口構造の変化は、企業の人材確保に深刻な影響を与えています。上記のグラフからわかるように、青色で示されている生産年齢人口(15〜64歳)は、2020年の約7,500万人から2070年には約4,500万人へと減少する見込みです。

40%近い労働力の減少は、企業の営業活動に大きな課題をもたらします。特に営業職は人材不足が顕著な職種の一つであり、限られた人材で効率的に成果を出す必要性が高まっています。

セールステックは人の手で行っていたデータ管理の一部を自動的に処理できるため、人口減少問題に対応するための有効な手段として注目されているのです。

新型コロナウイルスによる働き方の変化

MA導入企業数と対前回伸張率

画像引用:株式会社Nexal「2023年5月国内63万社のMAツール実装調査を報告 ~コロナ前と比較して導入企業数は2倍~


新型コロナウイルスの感染拡大は、企業のデジタル化を加速させました。グラフが示すように、セールステックの一つであるMA(マーケティングオートメーション)ツールの導入企業数は、第1回緊急事態宣言を境に急増しています。2020年1月に4,834社だった導入企業数は、2020年7月には6,150社へと27.2%も急増しています。

対面営業が制限されたことで、オンラインでの営業活動やデータに基づくマーケティングへの移行が進んだのです。導入企業数は2023年1月時点で9,309社と増加傾向が続いています。

IT技術の発達

IT技術の発達により、データ化された営業活動や顧客とのやり取りから、営業の効果測定や購入確度の予測などができるようになりました。これにより、従来の「足で稼ぐ」営業スタイルが大きく変化し、より効率的な営業戦略が可能になっています。

営業担当者は煩雑な作業から解放され、顧客との関係構築や提案など、人間にしかできない付加価値の高い業務に集中できるようになったのです。

カオスマップで見るセールステック市場

セールステックはさまざまな企業から提供されており、それぞれ特徴があります。以下の図はセールステックのカオスマップで、セールステックを機能の特徴ごとに分けたものです。複雑な市場全体を整理して視覚的に把握するために作成されており、機能別にカテゴリ分けされていることがわかります。

セールステックマーケティングマップ

画像引用:CBINSIGHTS「Cold Call: 65+ Companies Transforming The Sales Tech Landscape



セールステックの7つのカテゴリー

セールステックの7つのカテゴリー

セールステックは以下の7つにカテゴライズされます。

  1. 営業加速ツール
  2. 顧客関係管理ツール
  3. 顧客体験ツール
  4. カスタマーサポートツール
  5. コンタクト・コミュニケーションツール
  6. セールスインテリジェンス・解析ツール
  7. 人材開発・コーチングツール

それぞれのカテゴリについて詳しく解説します。

1. 営業加速ツール

営業加速ツール(Sales Enablement & Acceleration)は、リード獲得から受注後までのプロセスを加速させるためのセールステックです。営業活動の幅広い範囲に対応しています。SFA(営業支援システム)などが含まれます。

【機能例】

  • 案件管理
  • 売上予測
  • 商談の自動記録
  • ウェビナー参加者の傾向分析
  • ワークフローの自動化
  • 見積もりの自動化
  • 販売から入金までの一元管理

2. 顧客関係管理ツール

顧客関係管理ツール(General CRM)は、顧客情報を一元管理し、企業と顧客の関係性を可視化するためのセールステックです。CRMが代表的です。ツールの中には、営業パイプライン(リード獲得から受注までのプロセス)の管理機能を兼ね備えているものもあります。

【機能例】

  • 案件管理
  • 売上予測
  • 商談の自動記録
  • 顧客管理(基本情報・取引履歴・問い合わせ記録など)
  • メール連携機能・一斉送信
  • ソーシャルメディア分析

3. 顧客体験ツール

顧客体験ツール(Customer Experience)は、カスタマージャーニー全体を通して顧客満足度を高めるセールステックです。ユーザーの行動履歴や好みを分析し、最適なタイミングでのアプローチを可能にします。CRMやMAが代表的なツールです。

【機能例】

  • Webサイトのパーソナライズ機能
  • ターゲティングメール配信システム
  • 商談・見積もりごとの契約管理
  • 顧客のレビュー分析
  • SEO機能

4. カスタマーサポートツール

カスタマーサポートツール(Customer Support)は、顧客からの問い合わせ対応を効率化し、顧客満足度を向上させるセールステックです。さまざまな問い合わせ経路を一つのプラットフォームで統合管理でき、24時間の自動対応も可能です。蓄積したデータは製品やサービスの改善にも活用できます。

【機能例】

  • ヘルプデスクの最適化
  • FAQサイトの作成・管理
  • 自動応答システム
  • チャットボット

5. コンタクト・コミュニケーションツール

コンタクト・コミュニケーションツール(Contact & Communication)は、顧客とのやり取りを強化するセールステックです。ビデオ会議やチャットなど、さまざまな接点で活用できます。

【機能例】

  • 電話会議
  • ビデオ会議
  • 顧客コンタクトの自動化(メール・見込み顧客のアポ取りなど)
  • 配信ルールや着信ルールのカスタマイズ
  • コールセンター管理・分析

6. セールスインテリジェンス・解析ツール

セールスインテリジェンス・解析ツール(Intelligence and Analytics)は、営業データを多角的に分析し、営業戦略の立案をサポートするセールステックです。BI(ビジネスインテリジェンス)ツールがこの分野の代表例です。ツールの中には、商談中の会話を分析して最適な提案タイミングや効果的な話法を導き出すものもあります。

【機能例】

  • 市場リサーチ
  • 競合サイト分析
  • 営業チャネル・ターゲットの最適化
  • 顧客との会話分析

▶︎Meltwaterのセールスインテリジェンス

7. 人材開発・コーチングツール

人材開発・コーチングツール(People Development & Coaching)は、営業担当者のスキル向上や教育を効率化するセールステックです。スマートフォンやタブレットを活用して、隙間時間を使った効率的な学習ができます。実際の商談をスマホで録画し、AIが話し方や表情などを分析してフィードバックする機能も登場しており、チーム全体の営業力底上げに効果的です。

【機能例】

  • オンライン学習
  • ロールプレイング評価
  • 情報共有機能

セールステックを導入するメリット

セールステックを導入するメリット

セールステックを導入するメリットとして、以下の3つが挙げられます。

  • 顧客データの自社資産化
  • データドリブンなターゲット選定
  • 営業成果とデータ集計の自動化

それぞれのメリットを詳しく解説します。

顧客データの自社資産化

セールステック導入により、顧客情報が営業担当者個人のものから会社全体の資産となります。従来の営業活動では、顧客との関係性や商談履歴が個人の記憶や手帳に記録されるだけでしたが、セールステックを使えばシステム上に一元管理されるため、組織全体で活用できるのがメリットです。

過去の商談内容や顧客の好み、提案に対する反応などが詳細に記録され、成功パターンも可視化されます。このような顧客データの資産化は、個人の経験を組織の知恵に変換し、企業の競争力強化につながります。

データドリブンなターゲット選定

従来の営業では、アポイントなしで訪問したり、リストにある会社に片っぱしから電話をかけたりして顧客を獲得していました。しかしセールステックを使えば、蓄積されたデータから科学的に最適なターゲットを選定できます。アプローチのタイミングも、見込み顧客のWebサイト上の行動から割り出すことが可能です。

Meltwaterではデータの分析方法やPRへの活用法、ベンダーの選び方を解説した資料を提供しています。

▶︎Meltwaterのガイド:データドリブンPR ~KKD(経験・勘・度胸)に頼らないPR戦略〜

営業成果の視覚化

営業の効果がどのくらいあったかは、以前は実際に営業した人の感覚に頼る部分が大きかったといえます。また、商談のレポート作成などにも多くの時間が費やされていました。

セールステックは営業の効果測定が可能です。営業プロセスごとにどのくらいの顧客が残ったか把握できれば、課題の発見にもつながります。また、録音した商談は自動で書き起こしされ、メールやレポートも基本データを入力するだけで自動生成されます。

セールステック × 営業の必須スキル3つ

セールステックを使いこなすうえでの営業担当者の必須スキルは以下の3つです。

  • 新しい営業スタイルに対する柔軟な姿勢
  • セールステックの知識・理解
  • データ分析力

それぞれ詳しく解説します。

新しい営業スタイルに対する柔軟な姿勢

企業の経営層は、セールステックを積極的に受け入れる柔軟さが必要です。新しいツールを取り入れることは、営業全体のシステムを変えることになります。長年「営業は足で稼ぐものであり、営業のノウハウは個人の財産だ」という文化が根付いている企業では、セールステックの導入に抵抗があるかもしれません。

しかし、IT技術の活用は今後どの業界でも求められるものでしょう。人材不足などの課題を理解し、職場に少しずつテクノロジーを取り入れていくことが大切です。

セールステックの知識・理解

セールステックを活用する営業担当者には、セールステックを最大限に活用できる知識が求められます。いくら優れたセールステックでも、使う人がその価値を理解していなければ意味がありません。

企業にセールステック活用のノウハウがない場合は、ツールの提供元から使い方のアドバイスを受けられることもあります。具体的にどの場面でどの機能が役立つのか把握しておくことが大切です。定期的に社内研修を行い、機能をどのように活用したか実例を共有し合うのも良いでしょう。

データ分析力

データはただ収集するのではなく、読み解いてこそ意思決定に活かされます。例えば、直近の顧客データでは30代の男性の割合が一番多かったとします。ターゲットは30代の男性であると判断できそうですが、データの推移を見ると40代女性の割合も徐々に増えており、これも新たなターゲット層になり得ることがわかります。なぜ変化が生まれたのか、社会情勢も視野に入れ多面的に考えることが重要です。

分析機能のあるセールステックを使用したり、データサイエンティストのようなデータ分析の専門家に業務を依頼したりする方法もありますが、最終的な意思決定は自社が下すものです。社内全体で基本的なデータ分析力は身につけておくと良いでしょう。

▶︎合わせて読みたい:データ分析とは?メリットや実行の手順、代表的な手法を解説

セールステック導入を成功させるポイント

セールステックの導入を成功させるポイントを2つ紹介します。

  • 導入規模と役割分担を明確にする
  • 導入の目的・メリットを理解してもらう

導入規模と役割分担を明確にする

まずはセールステック導入のためのチームを作り、導入規模を定めます。企業で課題になっていることは何かを明確にした上で、セールステックの「どの機能」を「営業部のだれ」が「業務のどのタイミング」で使うかを決めます。営業部全体で機能すべてを使うのではなく、スモールスタートでセールステックの定着に重点を置くのがポイントです。

導入目的と規模が定まったら、スケジュールを立て役割分担をします。セールステックを選定する人、使い方を社員に説明する人、利用状況を確認し指導をする人、効果測定を行い改善策を出す人などです。現場のITリテラシーが足りない場合は、セールステックの導入元からサポートを受ける方法もあります。

導入の目的・メリットを理解してもらう

セールステックは導入意義がわからなければ、社内に浸透しないまま終わってしまうこともあります。データを活用できるのがセールステックのメリットですが、導入当初はそのデータを蓄積する時間が必要です。効果が出るまでに時間がかかり、営業担当者にとっては単なる業務の増加としか受け止められない場合もあります。

経営層は導入当初の負荷も考慮に入れながら、セールステック導入の目的とメリットを説明し、社員の理解を得る必要があります。新たな業務が発生する一方で、長期的に見てどのようなメリットがあるのかを明確に伝えることが重要です。他社の事例も出し、効果が見込める施策であることを示すのも良いでしょう。

セールステック導入時の注意点

セールステック導入時は、以下の3点を押さえておきましょう。

  • 解決すべき課題を明確化しておく
  • 費用対効果の高いセールステックを選ぶ
  • サポート体制が充実したセールステックを選ぶ

それぞれ詳しく解説します。

解決すべき課題を明確化しておく

セールステックの導入前に、自社が解決したい課題を明確にすることが大切です。例えば成約率が伸び悩んでいたら、営業プロセスを図式化し、業務がおろそかになっていたり無駄な手間がかかっていたりする部分を見極めます。その課題部分に合わせて、商談管理ならSFA、既存顧客の管理ならCRMというようにセールステックを選びます。課題が明確であれば、導入後の効果測定の基準も定まるでしょう。

費用対効果の高いセールステックを選ぶ

自社の規模や予算に見合った費用対効果の高いセールステックを選ぶことが重要です。多機能なツールは魅力的に見えますが、機能を使いこなせないと余計なコストがかかることになります。自社が必要とする機能に絞ることで、コストパフォーマンスを高められます。スモールスタートで徐々に機能を拡張するのも一つの方法です。社員のスキルに合ったものか、使いやすさも確認しておきましょう。

サポート体制が充実したセールステックを選ぶ

社内にセールステックのノウハウやIT人材が足りない場合は、手厚いサポート体制が整っているサービスを選びましょう。操作方法や活用のアドバイスが受けられます。マニュアルや動画などの教育コンテンツ、ユーザーコミュニティなど間接的なサポートがあるかも重要なポイントです。

まとめ|セールステックを理解して活用しよう

セールステックは営業活動の効率化と最適化を図るテクノロジーツールです。本記事では以下の7つのカテゴリに分類し、それぞれの特徴を解説しました。

  • 営業加速ツール
  • 顧客関係管理ツール
  • 顧客体験ツール
  • カスタマーサポートツール
  • コンタクト・コミュニケーションツール
  • セールスインテリジェンス・解析ツール
  • 人材開発・コーチングツール

Meltwaterのセールスインテリジェンスツールは、競合分析に加えて、見込み顧客の効率的な開拓をサポートします。やみくもな営業活動から脱却し、データに基づいた戦略的アプローチで営業成果の最大化を目指せます。以下のリンクから、導入事例や詳細情報をご覧ください。

▶︎Meltwaterの導入事例はこちら:Meltwaterのお客さま事例
▶︎お問い合わせはこちら:Meltwaterのセールスインテリジェンス

この記事の監修者:

宮崎桃(Meltwate Japanエンタープライズソリューションディレクター)

国際基督教大学卒。2016年よりMeltwater Japan株式会社にて新規営業を担当。 2020年よりエンタープライズソリューションディレクターとして大手企業向けのソリューションを提供。 ソーシャルメディアデータ活用による企業の課題解決・ブランディング支援の実績多数。 趣味は映画鑑賞、激辛グルメ、ゲーム

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