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カスタマージャーニーとは?マップの作り方や具体例を解説

カスタマージャーニーとは?マップの作り方や具体例を解説


宮崎桃

Jun 6, 2024

カスタマージャーニーとは、顧客が商品やサービスを認知し、購入に至るまでの一連のプロセスのことです。現代の消費者は多様な価値観を持ち、様々なタッチポイントを通じて情報を得ているため、カスタマージャーニーは複雑化しています。

本記事では、カスタマージャーニーの基本知識や重要性を解説するとともに、マップの作成方法や具体例を紹介します。顧客理解を深め、効果的なマーケティング施策を打つためのヒントにしてください。

カスタマージャーニーとは?

カスタマージャーニー(Customer Journey)とは、顧客が商品やサービスを認知してから、興味を持ち、購入を決定するまでの一連のプロセスのことです。昨今では「SNSなどでレビューを発信する」といったような購入後の行動を含めることもあります。

現代の消費者は多様な価値観を持ち、様々なタッチポイント(商品・サービスとの接点)を通じて情報を得ているため、カスタマージャーニーは単一ではなく、複数の経路をたどります。商品の認知経路ひとつとっても、広告やSNSの口コミなど様々です。そのため、企業は商品・サービスに一貫性を持たせつつも、それぞれの顧客に合わせたタイミングで適切な情報を提供することが求められます。

カスタマージャーニーを表で整理したものが、カスタマージャーニーマップです。顧客の購入プロセスごとに、最適なタッチポイントや課題を考えます。カスタマージャーニーを可視化することで、顧客とのコミュニケーションを最適化し、顧客のファン化につなげることが可能です。

カスタマージャーニーという概念が古いと言われる理由

カスタマージャーニーという概念が古いと言われる理由は、タッチポイントの多様化と購買行動の変化にあります。かつては、テレビや新聞・雑誌、店頭などが主な情報源でした。一方、現在では検索サイトやSNS、ユーザーレビューなど、情報を入手する経路が多岐にわたります。また、インターネットの普及により、消費者の行動や思考、感情の動きも大きく変化しています。

こうした状況下では、一定のパターンに収めて考える従来のカスタマージャーニーでは、顧客の行動を適切に捉えきれないと考えられるようになったのです。

しかし、カスタマージャーニーの概念自体は古くなったわけではなく、むしろ現代のマーケティングにおいて重要性を増しているとも言えます。顧客の視点に立って、的確なマーケティング戦略を立てられるからです。

単一的なカスタマージャーニーマップに収めるのではなく、顧客の特性ごとに購入パターンを作成することで、現代でも十分応用できます。

従来と昨今のカスタマージャーニーの違い

The customer journey these days

従来は、テレビや雑誌など、商品を認知するための情報源が限られていました。一方で昨今では、SNSや口コミサイトなども加わり、顧客の情報収集経路が複雑化しているのが特徴です。

顧客はオンラインとオフラインのタッチポイントを行き来するため、企業はどのタッチポイントにおいても一貫した体験提供が求められます。

また、従来は企業主導でしたが、現在は顧客主体の双方向コミュニケーションが重要となっています。リピーターを増やすために、商品購入後のフォローアップも施策に取り入れられるようになってきました。

カスタマージャーニーを活用するメリット

カスタマージャーニーを活用するメリットは以下の通りです。

  1. 顧客理解の向上
  2. チーム内での認識を統一
  3. マーケティング効果の最大化
  4. CX(顧客体験)の向上

順番に解説します。

1. 顧客理解の向上

カスタマージャーニーマップの作成を通して、購入に至るまでの顧客の行動や心理を詳細に分析でき、各段階でのニーズや課題も明確にすることが可能です。この顧客理解は、的確なマーケティング施策を打ち出すための基盤となります。

また、カスタマージャーニーマップの作成は、自社の商品やサービスの見直しにも役立ちます。顧客の立場に立って考えることで、改善点や新たな価値を発見できるでしょう。

▶あわせて読みたい:購買行動とは?消費者行動との違いや主要な購買行動モデルを解説

2. チーム内での認識を統一

カスタマージャーニーマップは、部署を超えた共通言語として機能します。マーケティングや営業、カスタマーサクセスなど、顧客に関わる様々な部門が、同じ顧客像とゴールを共有できるのです。

例えば、新商品を発売する際、マーケティング部門は認知度向上のためのキャンペーンを、営業部門は販売促進のための施策を、カスタマーサクセス部門はアフターフォローの体制を整えます。これらの施策が連動し、一貫性のある顧客体験を提供するためには、各部門が顧客の行動や心理を理解し、共通のゴールに向かって協力することが不可欠です。

マップを軸にした議論を通じて、各部門の役割や連携のポイントを明確にすることが可能です。チーム全体で顧客視点を共有することは、顧客満足度の向上につながる重要な一歩となります。

3. マーケティング効果の最大化

各フェーズ(段階)で施策の優先順位が明確になり、顧客の行動や心理に合わせて適切なタイミングでアプローチできます。

例えば、20代がターゲットの場合、認知フェーズでは20代がよく使うTikTokで宣伝する方法が考えられます。また、検討フェーズが長いターゲット層の場合、最後の一押しにクーポンの配布やキャンペーンのお知らせをすると効果的でしょう。

これらの施策に公式サイトへのアクセス数やクーポンの利用率などKPI(数値で表した中間目標)を設定し、定期的に評価・改善することで、マーケティング効果を最大化できます。

4. CX(顧客体験)の向上

顧客の行動や心理に寄り添った設計を行うことで、CXの向上につなげられます。CXとは、購入に関する感情的な価値のことです。「Webサイトが見やすくて使いやすい」「質問に対する回答が丁寧だった」など、顧客のプラスの感情によってCXは向上します。

オンラインショップでは、商品検索から購入までのプロセスをシームレスに設計し、必要な情報を適切なタイミングで提供することで、購買意欲を高められます。

また、購入後の顧客フォローも重要です。商品の使い方や活用事例を紹介するメルマガ配信、不具合や質問に迅速に対応するサポート体制の整備など、購入後のコミュニケーションを大切にすることで、リピート購入や口コミによる新規顧客の獲得につなげられます。

カスタマージャーニーマップの作り方

How to create a customer journey

カスタマージャーニーマップを作成する手順は以下の通りです。

  1. ペルソナを設定する
  2. マップの横軸と縦軸を決める
  3. 顧客の行動・タッチポイントを整理する
  4. 顧客の思考や感情を整理する
  5. 各フェーズの施策を検討する

順番に解説します。

1. ペルソナを設定する

まずは顧客像を明確にするためにペルソナを設定します。ペルソナとは、ターゲットよりも詳細な顧客像のことです。ペルソナ分析では、自社の商品やサービスを購入・利用する典型的な顧客を想定し、その人物像を具体的に描写するのがポイントです。

年齢、性別、職業、家族構成、趣味嗜好などの属性に加え、抱えている課題や悩み、購買行動の特徴なども考慮します。自社の優良顧客をモデルにペルソナを設定し、多様な視点から肉付けすることで、現実に近い顧客像を描けます。

ペルソナ設定は細かすぎると実際の顧客像とのズレが生じる可能性もあるため、適度な具体性を保ちつつ、柔軟に対応していきましょう。

2. マップの横軸と縦軸を決める

ペルソナが設定できたら、次はカスタマージャーニーマップの骨格となる横軸と縦軸を決定します。横軸は、顧客が商品やサービスと出会ってから購入・利用に至るまでのプロセスを表します。「認知」「興味・関心」「検討」「購入」「利用」「リピート」などのフェーズに分けるのが一般的です。

縦軸には、各フェーズにおける顧客の行動、感情、思考、タッチポイントなどを設定します。これらの項目は、顧客の心理状態や行動パターンを理解するために重要な要素です。ただし、項目が多すぎると全体像が把握しづらくなるため、自社のビジネスに合わせて適切な項目を取捨選択しましょう。

3. 顧客の行動・タッチポイントを整理する

マップの骨格が決まったら、各フェーズにおける顧客の行動とタッチポイントを整理します。顧客がどのような行動を取り、どのチャネルで情報を収集するのかを具体的に想定します。

例えば、通勤で使う駅近くの店で見た商品に興味を持ち、店頭やSNSで詳しい情報を収集し、クーポンが使えるサイトから購入するなどです。SNSは年代や目的によって使われるものが異なるため、ペルソナに合ったものを使って広告などの施策に取り入れるとよいでしょう。

行動とタッチポイントを、可能な限り具体的に記述することで、顧客の実像に迫ることが可能です。

4. 顧客の思考や感情を整理する

顧客の行動とタッチポイントに加えて、各フェーズにおける顧客の思考や感情も整理します。商品やサービスに対する期待や不安、満足度などを想定し、マップ上に記述します。

例えば、広告を見たときの期待感や、価格や品質に対する不安、商品の使い勝手に対する疑問点などです。顧客の心理状態を理解することで、適切なアプローチ方法を検討できます。

5. 各フェーズの施策を検討する

最後に、カスタマージャーニーマップを基に、各フェーズで実施すべき施策を検討します。顧客の行動や心理に合わせて、適切な情報提供やコミュニケーションの方法を考えましょう。

例えば、価格や品質に対する不安を解消するために商品の特徴や利点を伝えるコンテンツの制作をしたり、購入後に困らないよう商品の使い方を説明書やWebサイトに載せたりします。

顧客の視点に立ち、各フェーズで必要とされる情報や体験を提供することが、カスタマージャーニーマップ作成の鍵となります。

カスタマージャーニーマップの具体例

「乾燥肌用の美容液」を販売する際のペルソナとカスタマージャーニーマップの具体例を紹介します。以下がペルソナです。

【ペルソナ】

項目属性
年齢30代前半
勤務先・部署SaaS企業の人事部
年収500万円
居住地東京都世田谷区
家族構成独身・一人暮らし
ライフスタイル・朝は7時に起床、ジムで軽い運動をした後に出勤。
・平日は9時から18時までオフィス勤務、忙しいときは残業もある。
・週末は友人とショッピングやカフェ巡りを楽しむことが多い。
・健康や美容に関心が高く、ヨガやスキンケアにも積極的に取り組んでいる。
・食事は自炊もするが、外食やデリバリーも多い。
課題とニーズ・乾燥肌が悩みで、特に冬場は肌荒れがひどくなる。
・忙しいライフスタイルの中でも手軽にケアできる高品質な美容液を求めている。
・効果が実感できる製品を試したいが、選択肢が多くて迷うことが多い。

ペルソナをもとに、以下のようにカスタマージャーニーマップを作成します。

【カスタマージャーニーマップ】

Customer journey map

各フェーズについて詳しく解説します。

1. 認知

認知フェーズでは、30代前半の女性が乾燥肌用の美容液に興味を持つための施策が重要です。ターゲット層に向けたSNSキャンペーンや、インフルエンサーと提携しての商品紹介が考えられます。

また、試供品を配布することで、実際に商品を試してもらい興味を喚起します。商品やブランドへの認知度が高まり、検討フェーズにスムーズに移行させることが可能です。

2. 検討

検討フェーズでは、顧客が乾燥肌用の美容液の購入を本格的に考え始めます。この段階で重要なのは、公式サイトや口コミサイト、実店舗での情報提供です。

公式サイトには商品の詳細情報や実際の使用者の口コミやレビューを充実させ、信頼性を高めます。メールマガジンを通じて新製品情報やお得な情報を提供し、顧客の不安を解消するのもよいでしょう。

3. 購入

購入フェーズでは、顧客が乾燥肌用美容液を手軽に購入できる環境を整えることが重要です。オンラインショップと実店舗の両方で購入可能にし、クーポンの配布や送料無料キャンペーンを実施することで、購入意欲を高めます。オンラインショップでは、購入手続きがスムーズにできるよう入力の簡略化などの工夫が必要です。

このような施策により、顧客は安心感を持って商品を購入し、次のフェーズである商品の利用へとスムーズに移行できます。

4. 利用

利用フェーズでは、購入した乾燥肌用の美容液を実際に使用し、効果を実感してもらうことに注力します。公式サイトには、正しい使用方法を示す動画を掲載し、顧客体験の満足度を高めましょう。

また、サイト内のQ&Aページを充実させ、カスタマーサクセスチームを配置することで、顧客の疑問や質問に迅速に対応するのも効果的です。顧客は商品の効果に満足し、ブランドへの信頼感を深めていきます。

5. リピート

リピートフェーズでは、顧客が乾燥肌用の美容液の効果を実感し、リピート購入やブランドのファンになることを目指します。SNSやメールマガジンを通じて定期的にフォローアップメールを送信し、顧客とのコミュニケーションを維持しましょう。

また、定期購入サービスや会員限定イベントを提供することで、顧客の継続利用を促進します。顧客とブランドの間に強い絆が生まれ、長期的なロイヤリティが形成されます。こうして築かれた安定した顧客基盤は、ブランドの成長に大きく貢献するでしょう。

カスタマージャーニーマップを作る際の注意点

Points to keep in mind when cerating a customer journey map

カスタマージャーニーマップを作る際は以下の点に注意しましょう。

  1. 社内外の客観的データに基づいて分析する
  2. PDCA サイクルを回す
  3. ペルソナを詳細かつ具体的に設定する

順番に解説します。

1. 社内外の客観的データに基づいて分析する

自社オンラインショップでの顧客の行動履歴データや、カスタマーサポートに寄せられる問い合わせ内容、ソーシャルメディア上での顧客の声などを分析することで、顧客の実像により近づけます。

企業側の主観や思い込みだけでマップを作ってしまうと、顧客の実際の行動や感情から乖離してしまう可能性があるので注意しましょう。

データに基づいて顧客の行動や感情を理解することで、より効果的なマーケティング施策を立案し、実行できます。

2. PDCA サイクルを回す

カスタマージャーニーマップは、1度作成したら終わりではなく、定期的に見直しを行い、PDCA サイクル(計画→実行→評価→改善)を回していくことが大切です。市場環境や顧客のニーズは常に変化しているため、マップも柔軟に対応していく必要があるからです。

半年から1年に1度は見直しを行い、必要に応じて修正を加えることで、常に最新の顧客像を捉えられるでしょう。

3. ペルソナを詳細かつ具体的に設定する

漠然とした顧客像ではなく、具体的な個人像を想定することで、顧客の行動や感情をよりリアルに理解できます。

例えば、「20代女性」という抽象度の高い設定ではなく、「都内在住の25歳女性会社員、年収は450万円、趣味はヨガとカフェ巡り」のようなイメージです。年齢、居住地、職業、趣味以外に、家族構成や悩みなど、できる限り詳細に設定しましょう。

具体的にペルソナを描くことで、その人物の日常生活や購買行動、商品に対する感情などをイメージしやすくなります。

まとめ|カスタマージャーニーマップを作成して顧客理解を深めよう

カスタマージャーニーマップは、顧客の行動や心理を深く理解し、最適な体験を提供するための重要なツールです。マップの作成を通じて、顧客の実像に迫り、チーム内での認識を統一できます。また、各フェーズに適した施策を実行することで、マーケティング効果の最大化とCXの向上を図れるでしょう。

市場の変化に合わせてマップを継続的に見直し、PDCAサイクルを回すことで、常に最新の顧客像を捉えていくのがポイントです。カスタマージャーニーを活用し、顧客との強い絆を築いていくことが、ビジネス成功の鍵となります。

この記事の監修者:

宮崎桃(Meltwate Japanエンタープライズソリューションディレクター)

国際基督教大学卒。2016年よりMeltwater Japan株式会社にて新規営業を担当。 2020年よりエンタープライズソリューションディレクターとして大手企業向けのソリューションを提供。 ソーシャルメディアデータ活用による企業の課題解決・ブランディング支援の実績多数。 趣味は映画鑑賞、激辛グルメ、ゲーム

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