インフルエンサーとは、市場トレンドや消費者の思考・行動に大きな影響を与える人のことです。勢力・影響・効果を表す単語である「influence」が語源であり、近年はインフルエンサーを活用したマーケティングも盛んになりました。
「インフルエンサーマーケティングに興味があるけれど、自社に合った運用法をどう構築するべきか?」
「そもそもインフルエンサーマーケティングと他のマーケティングとで、どのような差がああるのか?」
「インフルエンサーマーケティングの代表的な手法とは?」
このようなお悩みを抱えている事業者に向けて、本記事ではインフルエンサーマーケティングの基本知識をご紹介します。メリット・デメリットや具体的な依頼方法まで幅広く紹介するので、お役立てください。
インフルエンサーマーケティングとは?
インフルエンサーの種類
インフルエンサーマーケティングのメリット
インフルエンサーマーケティングのデメリット
インフルエンサーマーケティングで活用する主要SNS
インフルエンサーマーケティング代表的な手法
インフルエンサーマーケティングの具体的な流れ
インフルエンサーへの依頼方法
インフルエンサーマーケティングの成功事例
インフルエンサーマーケティングを成功に導くポイント
まとめ|親近感のあるプロモーションが成功のポイント
インフルエンサーマーケティングとは?
インフルエンサーマーケティングとは、特にSNSで注目を集めているインフルエンサーを起用したマーケティング手法のことです。
自社商品・サービスとイメージが合っているインフルエンサーを起用することが多く、広告感のないアプローチがしやすい手法として注目を集めました。
2023年には、ソーシャルメディアマーケティングにおけるインフルエンサーマーケティングの市場規模は741億円(全体の6.8%)に到達しています。前年比120%の成長率を見せており、2027年には2023年比1.8倍(1,302億円)に到達するだろうと予想されています。
SNSが当たり前に使われるようになった昨今、SNSを活動拠点としているインフルエンサーを使ったマーケティングも、大きな変化を見せていることがわかります。
インフルエンサーの種類
インフルエンサーの種類は、フォロワーの数によって細分化されています。一般的にフォロワーが多い方がより影響力が高いとされており、予算やプロモーションしたいターゲット層に合わせて選定されます。それぞれの特徴を解説します。
トップインフルエンサー
トップインフルエンサーとは、100万人以上のフォロワー数を持つインフルエンサーのことを指します。YouTubeやInstagramなど活動拠点のSNSが多岐に渡り、場合によってはテレビやラジオにも出演することが多いため、フォロワー以外にも絶大な知名度を誇ります。
なかには、タレントや俳優と同等の知名度があるトップインフルエンサーも存在するのが特徴です。どんなジャンルであっても広範囲にリーチしやすく、規模の大きなインフルエンサーマーケティングをしたいときにも最適です。
ミドル(マクロ)インフルエンサー
ミドル(マクロ)インフルエンサーは、フォロワー数が10万人から100万人未満のインフルエンサーを指すことが多いです。テレビなどメディアへの露出はまだ少ないものの、特定のジャンルを牽引する第一人者として認知されていることが多く、リーチ層も広めです。
専門性の高いジャンルでコアなファンを獲得していることが多いので、コストパフォーマンスに優れていると言えます。ピンポイントの層に深く訴求したいときに、検討してみるとよいでしょう。
マイクロインフルエンサー
マイクロインフルエンサーは、フォロワー数が1万人から10万人未満のインフルエンサーを指すことが多いです。カテゴリの枠を超えて訴求できるような爆発的拡散力はないものの、特定のカテゴリに対する影響力が大きいのが特徴です。
ファン同士の交流が盛んなインフルエンサーでもあるため、直接的なマーケティング効果だけでなく口コミによるコアなファンの獲得を目指したいときにも向いています。そのため、ジャンルに即した商品・サービスのマーケティングに最適とされています。
ナノインフルエンサー
ナノインフルエンサーは、フォロワー数が1万人未満のインフルエンサーを指すことが多いです。ほぼ一般人と変わらない立ち位置として認知されることが多いですが、ニッチな層(他がねらわないような小規模な層)をファンに抱えていることが多く、ターゲット層が限定されているときにキャスティングするのに最適です。
ファン同士の交流だけでなく、インフルエンサーとファンの交流も盛んなので、信憑性の高いマーケティングにしやすいのもメリットです。「広告感のない広告」が作りやすく、ユーザーひとりひとりに届けられる情報量が多くなります。
インフルエンサーマーケティングのメリット
ここからは、インフルエンサーマーケティングのメリットを解説します。なぜ大手企業から中小企業までさまざまなインフルエンサーマーケティングが活用されているのか、その理由を深堀りしていきましょう。
3 1. 広告感がなくユーザーに受け入れられやすい
インフルエンサーマーケティングは、インフルエンサー本人が商品・サービスをおすすめする形で配信されることが多く、広告感があまりありません。「自分が好きな人が発信している内容だから見てみたい」と自然に思わせるため、最後までプロモーションを見てもらえる可能性が高まります。
一方、テレビやラジオのCM・新聞の広告欄・街中の看板などに代表されるマス広告の場合、自分が望まない広告を「見せられている」ような感覚に陥りがちです。CMだからという理由でスキップされたり、どうせ広告だからと見てもらえなかったりすることも多いでしょう。インフルエンサーマーケティングは、このようなマス広告のデメリットに対処する新たな手法となっています。
3 2. 情報の拡散が期待できる
インフルエンサーマーケティングの内容に共感してもらうことができれば、SNS上の「いいね」や「RT(リツイート)」などによる拡散が期待できます。情報が拡散されればインフルエンサーのフォロワー以外にも情報を届けることができ、「注目されているコンテンツ」としてさらに人々の関心を引くことができるでしょう。
急上昇トレンドに載ったりユーザー同士で積極的な意見交換がされたりすれば、更に大きな盛り上がりを見せることもあります。口コミが口コミを呼ぶポジティブなサイクルを構築できれば、当初予定していた以上の大きな反響が得られるかもしれません。
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3 3. ユーザーの行動を分析しやすい
インフルエンサーマーケティングはインターネットで行われるのが一般的であり、ユーザー行動を分析できるのがメリットです。例えば、インフルエンサー経由でサイトに訪れたユーザーが、どの場面で会員登録や商品購入などのコンバージョンしているか(または離脱してるか)を調べれば、ページの改善に役立ちます。
また、情報の拡散力や口コミの内容を分析し、次のマーケティング施策やプロモーションに活かすことも可能です。効果的なPDCA(計画→実行→評価→対策)サイクルを回したいときにこそ、インフルエンサーマーケティングが役立ちます。
3 4. ジャンルに合わせたターゲティングができる
商品サービスのジャンルに合ったインフルエンサーをキャスティングできれば、ターゲティングも容易です。例えば、普段キャンプ関連の情報を発信しているインフルエンサーであれば、フォロワーの多くはキャンプに関心がある人だとわかります。アウトドア用品のプロモーションやキャンプスポットの紹介に最適な存在であり、マーケティングの効果を最大化できるでしょう。
ターゲットが20代女性であれば同じく20代女性のインフルエンサーをキャスティングしたり、ターゲティングしたい地域に合わせてインフルエンサーを探したりする方法もあります。何をどのように伝えたいかによって、キャスティングする人材を選定しやすいのがメリットです。
3 5. SEOの強化につながる
SEOとは、検索エンジンで自社サイトを上位に表示させるための施索のことです。SEO対策すると、サイトの検索数が増えます。
インフルエンサーマーケティングに成功すると、ランディングページ(インターネット広告をクリックした先のページ)や自社ECサイトへのアクセス数が伸び、SEOの強化にもつながります。また、商品名や同一のタグが投稿されることでサイテーション(他サイトで言及されること)が向上し、検索上位表示やトレンドへの掲載が達成されることも多いです。
するとフォロワー以外のユーザーにも関心を持ってもらいやすくなり、良い循環ができあがっていきます。マーケティングでSEO対策もできる、一石二鳥の手法と言えるでしょう。
インフルエンサーマーケティングのデメリット
一方で、インフルエンサーマーケティングにはデメリットもあるので注意しましょう。代表的なデメリットを解説します。
3 1. ステルスマーケティングだと思われやすい
ステルスマーケティング(通称:ステマ)とは、プロモーションだと気づかれないように宣伝することを指します。あくまでも一般消費者であるかのように宣伝することは景品表示法における違法行為であると、2023年3月に消費者庁が公表しました。2023年10月には規制が実行されるので、注意しておきましょう。
インフルエンサーの自主的な意思に基づいたうえで商品やサービスを紹介することは、ステルスマーケティングには当たりません。しかし、口コミ風の投稿が多く、ステルスマーケティングだと思われやすいのがデメリットです。
インフルエンサーに依頼して宣伝を行う場合は「広告」「PR」などを表示し、あくまでも宣伝案件であることがわかりやすいようにする対策が求められます。
3 2. 炎上リスクがある
事前に内容をチェックしたうえでインフルエンサーに投稿してもらっても、内容次第では炎上することが少なくありません。特定のユーザー層に配慮のない投稿であったり、意図せず差別的な表現が使われてしまっていたりすると、却ってユーザーの不信感を招きます。
爆発的な炎上が起きると不買行動が起きるなど、期待していた効果と逆のことが起きるケースもあるので注意しましょう。インフルエンサーが不祥事を起こしたり、自社のプロモーションに関係のない投稿であっても炎上したりすると、同様のことが起こり得ます。インフルエンサーのイメージが自社イメージに直結することを意識して、キャスティングをするのが大切です。
3 3. キャスティングに時間がかかる
インフルエンサーの数は多く、自社に最適なインフルエンサーをキャスティングするまでに時間がかかります。インフルエンサーと商品の関連度の高さ・投稿頻度・投稿内容・フォロワー数・使用しているSNS媒体など、チェックするべきポイントは多岐に渡ります。自社に合うインフルエンサーの候補をピックアップするだけでも一苦労かもしれません。
また、インフルエンサーがオファーを受けてくれるとも限りません。1名のインフルエンサーをキャスティングするだけでも、通常10〜20人程度にオファーを出す必要があります。十分な工数を用意し、ギリギリのスケジュールにならないよう配慮しておきましょう。
3 4. インフルエンサーによっては費用対効果が見合わない
キャスティングするインフルエンサーによっては、費用対効果が見合わないこともあります。例えば、商品紹介の質が低く魅力がうまく伝わらないと、想定していたような効果は得られません。他にも、広告感が出ないよう本音で口コミを話したら、デメリットばかり目立ってしまったというケースも考えられます。
フォロワーの数次第では拡散力が低かったり、購買につながらなかったりすることもあるでしょう。高頻度に投稿してもらえるだけの予算をかけても、インフルエンサー自身に魅力がないと、本来のターゲット層へのアプローチができない点に注意が必要です。
3 5. 投稿内容を細かく指定できない
インフルエンサーマーケティングの場合、投稿する文面や動画の編集方法は、ある程度インフルエンサーに任せることが前提となります。「この部分を強調して発言してほしい」などのオーダーはできますが、自社で作成したコンテンツをそのままアカウントだけ借りて投稿してもらうことはできないのが一般的です。
なぜなら、多くのファンが求めているのはそのインフルエンサーにしかない雰囲気だからです。自社で投稿を作成すると「その人らしさ」が失われてしまいます。単なる名前貸しでの投稿にならないよう、ある程度の裁量を与えながら打ち合わせしていくことが大切です。
インフルエンサーマーケティングで活用する主要SNS
SNS | 特徴 |
---|---|
YouTube | ・長編動画で訴求できる ・メイク動画や使い方説明などHow to系と相性が良い ・10代から60代以上まで幅広く使われている |
・若年層と女性ユーザーが多い ・美容系やファッション系と相性が良い ・写真映えする商品のアピールに最適 | |
・文章量の多いコンテンツでも投稿できる ・RT(リツイート)機能による拡散力が高い ・珍しいコンテンツやくすっと笑える投稿に最適 | |
TikTok | ・10代から20代のユーザーが多い ・レコメンド機能が強く潜在層へのアプローチに最適 ・ダンスや音楽との組み合わせに強い |
インフルエンサーマーケティングで活用されることの多いSNSは、YouTube・Instagram・Twitter・TikTokです。それぞれのプラットフォームごとに主要ユーザー層や活用法が異なるので、注意しましょう。
例えば同じコスメ用品の紹介でも、YouTubeであればメイクの仕方などのHow toを細かく伝えられます。Instagramであればパッケージの綺麗さを、Twitterであれば体験談を、TikTokであれば短編でのビフォーアフター動画を、と投稿内容を変えていくことでより注目されやすくなります。目的やターゲットを明確にしたうえで、インフルエンサーと併せてSNSの選定も進めていきましょう。
インフルエンサーマーケティング代表的な手法
ここでは、インフルエンサーマーケティングで使われる代表的な手法を解説します。目的に合わせて使い分けられるよう、まずはそれぞれの概要をチェックしてみましょう。
ギフティング
ギフティングは、商品・サービスの紹介をする際に最もよく活用される手法です。インフルエンサーに実際の商品を渡して(もしくはサービスを体験してもらって)感想を投稿してもらいます。
通常の投稿だけでなくライブコマース式で商品を紹介してもらうこともでき、多彩なアプローチが叶います。一般消費者の目線で紹介してもらえるので広告感も薄く、受け入れられやすい手法と言えるでしょう。
現地訪問
アプローチしたい商材がイベント・観光スポット・テーマパークなどの場合、インフルエンサーに現地に行ってもらう「現地訪問」も方法のひとつです。現場の様子をSNSで投稿してもらうことで、「自分も行ってみたい」「楽しそう」というユーザーのわくわく感を引き出せます。
写真やテキストだけでなく、散歩形式の動画をアップロードする方法もあり、インフルエンサーごとに自由なスタイルで投稿できるのも魅力です。実際に足を運んでもらう必要があるため、交通費や宿泊費などのコストがかかります。
コラボレーション
コラボレーションとは、自社とインフルエンサーが共同で商品開発やイベントの企画をする方法です。商品開発の場合、「あの有名インフルエンサーが自分で作った商品」として注目を集めやすく、購買意欲を上げます。イベントの場合でも、観客動員数やSNS上での投稿が多くなり、盛り上がりをみせてくれるのが魅力です。
その分、企画段階からインフルエンサーに関わってもらう必要があり、膨大な時間を要します。プロの開発・企画会社との連携ではないので、細やかなコミュニケーションも欠かせません。
ライブ配信
SNSプラットフォームのライブ配信機能を活用し、商品を紹介してもらう手法です。リアルタイムでの配信であるため作りこまれている感がなく、実体験を届けられます。「自分も使ってみたい」という共感を呼びやすくなるのがメリットです。
フォロワーの属性に合った曜日・時間帯に配信する必要があるため、事前に綿密なスケジューリングが求められます。配信したい日から逆算して打ち合わせをするなど、対策しておきましょう。
インフルエンサーマーケティングの具体的な流れ
次に、インフルエンサーマーケティングをする具体的な流れを紹介します。準備段階で必要な項目を可視化し、無理のないスケジュールに落とし込むためにも、下記を参考にしてみましょう。
3 1. 施策のプランニング
まずはインフルエンサーマーケティング施策のプランニングを実施します。何のためにインフルエンサーマーケティングをするのか、何を期待しているのかなど、目的意識を共有しましょう。主な目的として購買の促進と認知向上が挙げられますが、自社では特にどちらを意識したいか明確にし、方向性がブレないようにすることがポイントです。
また、具体的なKPI(目標を達成するための指標)を設定すると、後の効果測定をしやすくなるためおすすめです。コンバージョン率、訪問ユーザー数、単価、顧客数などの目標をつくり、PDCA(計画→実行→評価→対策)サイクルを回す準備を進めます。
3 2. キャスティング
方向性が決まり次第、インフルエンサーのキャスティングに移ります。実施予算・実施時期・対象となるプラットフォームを明確にしたうえで、対象となるインフルエンサーを多めにピックアップしていきましょう。その際は、フォロワーの人数や投稿頻度など、インフルエンサーごとの特徴も併せて整理しておくのがおすすめです。
その後はインフルエンサーに対する案内文やコミュニケーション方法、報酬の額を調整し、具体的な打ち合わせに進みます。禁止事項や緊急連絡先も明記した契約書を作成するなどして、透明性を維持できるよう配慮していくことも大切です。
3 3. 施策を実施
インフルエンサーと実際の投稿内容をすり合わせ、およその方向性が固まり次第施策を実施します。商品の発送・イベントへの招待・投稿状況の確認など、同時並行で進めていきましょう。
複数人のインフルエンサーを同時にキャスティングする場合、それぞれへのフォローも必要です。オペレーションやチェック体制に不足がないか事前にシミュレーションしておき、インフルエンサーとの協力体制を維持していくのがポイントです。
3 4. 効果検証
投稿が完了次第、効果を検証します。インプレッション(広告やコンテンツの表示数)などの数値はインフルエンサーに共有してもらい、インサイトデータ(ユーザーのページ検索方法と検索後の行動のデータ)をもとに分析を進めます。また、フォロワーから寄せられるコメントの内容やいいね・RT(リツイート)の数などを参考し、不足があれば追加の依頼を検討しましょう。
最初に策定したKPI(目標を達成するための指標)を達成できているかチェックすることも大切です。次のインフルエンサーマーケティングに向けて改善すべきポイントがあれば、早い段階で記録に残します。
インフルエンサーへの依頼方法
インフルエンサーへ依頼する方法として、主に下記の3つが挙げられます。コストや工数のバランスを見ながら、自社にとって最も良い方法を探りましょう。
自社で直接コンタクト
自社で直接コンタクトを取る場合、インフルエンサーのアカウントにダイレクトメールを送信して接点を作るところから始めます。プロジェクトの概要などを完結にまとめながら、興味を持ってもらえるような文面を作成しましょう。
ただし、フォロワー数の多いインフルエンサーほど日常的に多くのメッセージを受け取っており、テンプレートを活用しただけのメッセージでは反応されない可能性が高くなります。かといってしつこくコンタクトを取ろうとすると、却って自社イメージが損なわれてしまうので、バランスのとれたコミュニケーションが大切です。
キャスティング専門会社に依頼
キャスティング専門会社に依頼し、自社商材に合ったインフルエンサーを紹介してもらう方法もあります。プロのマーケターがサポートしてくれるので、ノウハウのない企業でもインフルエンサーマーケティングに挑戦しやすくなります。効果測定などの具体的な手法も教えてもらえれば、自社にナレッジを蓄積するきっかけになるかもしれません。
その分、紹介の際に仲介手数料がかかります。インフルエンサーと直接取引するよりコストがかかりやすく、ダイレクトなコミュニケーションもできないので、自社の意図が正確に伝わらないこともあります。
インフルエンサーツールを活用
インフルエンサーツールとは、SNSのソーシャルリスニング(SNS上で交わされる自然な会話)やインフルエンサーアカウントの分析に使えるツールです。条件に合致するインフルエンサーのリストアップはもちろん、プロジェクトのスケジュールやマーケティングの予算もツール上で可視化できるので、ガントチャート(作業内容の一覧表)として利用することも可能です。
インフルエンサーによる投稿後の効果検証にも役立ちます。投稿への反応率やハッシュタグ分析ができるので、素早くPDCA(計画→実行→評価→対策)サイクルを回したいときにもおすすめです。
インフルエンサーマーケティングの成功事例
ここからは、インフルエンサーマーケティングの成功事例を紹介します。プラットフォームごとの事例をピックアップしているので、参考にしてみましょう。
1. YouTubeの事例|UNIQLO×なぐもふうか
アパレルブランド「UNIQLO」は、YouTuberなぐもふうかさんを起用したプロモーションをしています。着用イメージやサイズ感などHPだけでは伝わりづらい情報を中心に動画で解説しており、新作商品の特徴がわかりやすいとして評判になりました。
着回しや小物を使ったコーディネートなども参考になりやすく、20代女性からの支持を集めています。
2. TikTokの事例|カネボウ×ひかりんちょ
カネボウのコスメブランド「KATE」は、ファンデーションのプロモーションにTikTokerひかりんちょさんを起用しています。気軽に真似できる「ゼロダンス」とともに投稿し、ハッシュタグチャレンジを促進したことで知名度の向上に寄与しました。
安価で購入できるプチプラコスメとダンスとのコラボレーションにより、若年層からの話題を呼んだ事例です。
3. Instagramの事例|シルバニアファミリー×Yuki
株式会社エポックのドール玩具シリーズ「シルバニアファミリー」は、子育てママに絶大な影響力を持つインスタグラマーYukiさんを起用したプロモーションをしています。おもちゃが持つ本来のかわいらしさだけでなく、それを使って遊ぶ子どもの様子も配信されています。ブロガーとしても有名なインフルエンサーなので、SNSを使わない層にもアピールできることがポイントとなりました。
4. Twitterの事例|エバラ×料理研究家リュウジ
焼肉のタレで有名な「エバラ食品」は、料理研究家として数々のバズレシピを生み出してきたリュウジさんをキャスティングしています。焼肉のタレを使った簡単・手軽・安価な時短レシピを複数配信したことで、主婦層や一人暮らし家庭から支持されました。
共働きで忙しい子育て家庭にも支持されており、YouTubeでの動画レシピも提供されています。
インフルエンサーマーケティングを成功に導くポイント
最後に、インフルエンサーマーケティングを成功に導くポイントを解説します。参考になる項目があれば、自社の施策にも生かしていきましょう。
1.インフルエンサーは量でなく質で選ぶ
インフルエンサーを複数人キャスティングし、同時並行でプロモーションを進行することも可能です。ただし、量だけを重視して人数を確保するやり方では、良い費用対効果が得られない可能性が高くなるので注意しましょう。投稿数を連発する方法も「しつこい」「同じ投稿ばかり」と思われてしまうと、自社イメージもインフルエンサーのイメージも下がってしまいます。
そのため、量ではなく質を意識したインフルエンサーマーケティングにすることが重要です。コアなファンを抱えているインフルエンサーや絶対的な影響力を持つインフルエンサーをキャスティングできれば、投稿数が少なくても大きな効果が期待できます。
2.インフルエンサーマーケティング専用のツールを使う
インフルエンサーマーケティング用のツールであれば、自社のターゲットに合うインフルエンサーの抽出ができます。また、プロモーションスケジュールの管理やその後の効果測定もしやすく、ガントチャート(作業内容の一覧表)としても分析ツールとしても活用できるのがメリットです。
社内マーケターの工数も簡略化できるので、業務効率化にも最適です。トレンドの移り変わりが激しい時代だからこそ、ツールを使ったリアルタイムの分析と改善により、施策をいち早く打ち出していきましょう。
3. 拡散や口コミ投稿を促進する内容にする
インフルエンサーマーケティングをする際、どんなに魅力的な内容であっても、拡散されなければ情報が届く範囲が限定されてしまいます。追加での投稿を依頼しても、コストばかりかかって思うような効果が得られないかもしれません。
反対に、ハッシュタグチャレンジやRT(リツイート)を使った情報拡散がされれば、インフルエンサーのフォロワーだけでなく、フォロワーのフォロワーにまで情報が届きます。加速化すればどんどん範囲が拡大し、潜在層への影響力も大きくなります。良い内容を発信するだけでなく、拡散や口コミの投稿を促進する内容になっているか、チェックしてみましょう。
4. 購買までのフローをわかりやすく示す
どんなにインフルエンサーの投稿がバズっても(話題になっても)、実際の購買に結び付かなければ自社の利益が大きくなることはありません。そのため、インフルエンサーの投稿をきっかけに自社商品に興味を持ってくれたユーザーに対し、購買までのわかりやすいフローを示すことが大切です。
例えばランディングページへのリンクを貼り、注文ボタンを示すのもよいでしょう。リアル店舗で販売するのであれば、販売開始時期や取扱店舗を完結にまとめ、「買いたいけど買えなかった」を防ぐ必要があります。一時的な興味を確実な購買に結びつけるため、導線をしっかり確保しておくことがポイントです。
まとめ|親近感のあるプロモーションが成功のポイント
インフルエンサーマーケティングは、広告感なく商品サービスの魅力を伝えたいときに有効です。日頃から親近感を抱いているインフルエンサーが商品のアピールをしていれば共感が沸き、気になって購入するユーザーも多くなるでしょう。より高い効果を狙いたいときは、インフルエンサーのキャスティングから使用SNSの選定まで、入念な計画を作る必要があります。
Meltwaterは、インフルエンサーマーケティングに役立つツールを提供しています。インフルエンサーのキャスティングやその後の効果検証に役立つAI搭載ツールをお探しの方は、ぜひお役立てください。