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マイクロインフルエンサーマーケティングって今後どうなる?


Meltwater Japan

Apr 23, 2019

BtoCマーケティング関連で2018年にバズったワードのひとつといえば、「マイクロインフルエンサー」。マイクロインフルエンサーといえば、セレブリティ(著名人)ほどではないが、フォロワー数が多い一般人であり、共感を持ちやすい人と言ったところでしょうか。そんなマイクロインフルエンサーを起用するケースがここ数年多かった感じがします。

日本でも、外資系のファッションブランドやコスメブランドが、いち早くマイクロインフルエンサーを起用しました。とはいえ2019年に入ったあたりから風向きが変わり、マイクロインフルエンサーのトレンドはだいぶ落ち着いたような。海外ではマイクロインフルエンサー施策を見直すケースもあって、ちょっと気になるところ。

マイクロインフルエンサー特有の課題もあるのですが、実はソーシャルメディア側(特にInstagram)の方針変更も大きく影響しています。

弊社のお客様からも「前ほどマイクロインフルエンサーの話って聞かないけど、最近どうなんだろう?もしかして次のトレンドが来ている?」というご質問をいただく機会が増えてきました。

そこでマイクロインフルエンサーのメリット・デメリットや現状とともに、次にトレンドとなりそうなワードを紹介します!

マイクロインフルエンサーの3つのメリット

そもそもなぜマイクロインフルエンサーは一時期大人気だったのか…実はセレブリティを起用する取り組みと比べていろいろとメリットがあることが理由です。大きくは次の3つかなと思います。

1. セレブリティよりもコストが抑えられる

タレントや俳優などのセレブリティをインフルエンサーに起用すると、ソーシャルメディアの投稿1回でも数百万円!なんてこともあります。

一方でマイクロインフルエンサーはセレブリティほどの知名度はないため、もっと少ないコストで投稿を依頼できます。中にはコストの安いマイクロインフルエンサーを100名単位で起用して拡散を狙う、というところも。

2.ターゲットに効率よくアプローチできる

セレブリティのインフルエンサーとなると、フォロワー数も数百万人というように膨大な数になります。そしてこのフォロワーの皆さんは、そのセレブが好きな人というくくり。

実際には性別や年代は幅広く、趣味や好きなブランドがバラバラなんてことも。フォロワー総数と実際のターゲット数に大きな差があった…ということもありえます。

マイクロインフルエンサーは、あるジャンルに特化してフォロワーを集めている一般の人たち。フォロワー数はセレブリティほど多くありませんが、フォロワーには好きなジャンルなど共通点が多くあります。つまり企業側から見れば、効率よくターゲットにアプローチできるというわけです。

3.著名人より身近な存在なので、売上につながりやすい

有名なセレブリティのインフルエンサーが投稿すると、フォロワーの中には「有名人だからこんな高いブランドを買えるんだろうなあ」「スタイルがいいから似合うけど、自分にはムリ」と感じてしまう人も。この気持ち、なんとなくわかりますよね?

でもマイクロインフルエンサーは、その辺の街中で見かける人に近い存在。実はこの親近感がメリットで、「自分にも手が届くかも?」とフォロワーが感じるため購入につながりやすいと言われています。

「企業ブランディング目的ではセレブリティのインフルエンサーを起用、商品のプロモーション目的ではマイクロインフルエンサーを起用」というように、使い分けているところもあります。

マイクロインフルエンサーのデメリット

メリットがある一方で、やっぱりマイクロインフルエンサーならではの課題もあります。よく言われているのが「必ずしも自社ブランドのファンとは限らない」という点。

極端な例ですが、「ストリートファッション大好き」というマイクロインフルエンサーへ、コンサバティブなブランドが投稿を依頼したら…どうでしょうか?もちろん報酬を出せば、投稿自体はOKしてくれる可能性もありますよね。でも好みのブランドではないため、投稿1回きりで終了…なんてこともありえます。せっかくインフルエンサーマーケティングをしても、効果が続かないのはもったいない話です。

ブランドへの思い入れが少ないと、企業側としては「もっと投稿してください!!」と催促したり、「本当に企業が依頼した通りの投稿をしてくれているか?」と内容をチェックしたりという手間がかかってしまいます。この管理する手間、マイクロインフルエンサーの人数が多くなると、なんだかんだでかなりの負担になります。

また報酬ありきになってしまうので、「思っていた以上にコストがかさむ」という悩みも出てきます。実は海外でも、悩みは同じ。そこでマイクロインフルエンサーの起用を見直す企業も出てきました。

日本ではどうでしょうか?同じようにいち早くマイクロインフルエンサーを起用した企業の中には「本当に求めているターゲットにアプローチできているか微妙。施策を見直している」という話も耳に入ってきます。

マイクロインフルエンサー施策にとって衝撃のInstagram方針転換とは?

今やマイクロインフルエンサーのプラットフォームといえば、Instagramがメイン。日本でもInstagramのユーザー数は急速に伸びていて、2018年9月時点で約2,900万人が使っています。(実はこの数字、初めてFacebookのユーザー数を超えたということで大きな話題にもなりました)

そもそもマイクロインフルエンサーを起用するには、ユーザー属性のほかどんな投稿をしているか、どんなフォロワーを抱えているかなどをリサーチする必要があります。そこで弊社を含むメディアモニタリングの企業では、Instagramのコンテンツを入手して分析できるツールを提供しています。

しかしInstagramは2018年に方針変更を打ち出し、これがマイクロインフルエンサー施策に大きな影響を与えています。これにはFacebookで以前起こった、個人情報に関する不祥事が背景にあります。(現在InstagramとFacebookは同じ資本)

Facebookの件を受け、Instagramでも個人情報の漏洩を防ぐ対策として、APIの一部機能を制限。つまり従来のやり方では、マイクロインフルエンサーを起用しづらくなっているというわけです。

セレブリティをインフルエンサーに起用する場合と比べて、低コストでターゲティングがしやすいなどのメリットがあるマイクロインフルエンサー。ただしかつてバズった時期と比べると、現在の注目度はやや落ち着いたかな、という状況です。

これはInstagramの変更方針による影響や、「自社ブランドのファンになってもらえないと、結局手間やコストがかかる」という課題があるため。

でも、もしマイクロインフルエンサーが、自社ブランドをアツく支持してくれるファンになってくれたらどうでしょうか?企業側がアプローチしなくても、積極的に投稿してくれるようになります。報酬を出さなくても、商品を進呈したりイベントに招待したりすれば、ファンですから喜んで投稿してくれるはずですよね。

つまり単にマイクロインフルエンサーを起用すればOKではなく、「本当にブランドを支持しているか、ブランドへの思い入れがあるか」ということが大切になってきています。

そこで海外では、マイクロインフルエンサーよりもっとブランドに思い入れのある人を起用する方向にシフトしています。こうした人は「ブランドアンバサダー」や「ブランドアドボケイト」と呼ばれています。

特に「熱心なファン」と訳される「ブランドアドボケイト」は、海外のインフルエンサーマーケティングで注目の存在。今後日本でトレンドワードとなる日も近いのではないでしょうか?