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プレスキットとは?広報担当必見の作り方・見本になる事例を解説

プレスキットとは?広報担当必見の作り方・見本になる事例を解説


宮崎桃

Jun 10, 2025

プレスキット(メディアキット)は、企業情報やサービス内容、画像素材などをまとめた広報ツールです。適切に整備することで、メディア対応が効率化され、ブランドの認知度向上にも寄与します。一方で、具体的にどの情報を盛り込むべきか、作成手順が分からないという声も少なくありません。

この記事では、プレスキットの基本的な役割や作成手順、導入によって得られるメリットについて解説します。さらに、参考にしたい企業事例も取り上げ、自社での導入に役立つポイントを紹介します。

プレスキット(メディアキット)とは?

プレスキット(メディアキット)とは、press(報道機関)とkit(道具のセット)が組み合わさった言葉で、記者・インフルエンサー・投資家などの社外関係者向けに、企業情報をひとつにまとめた資料のことです。紙媒体もありますが、企業のコーポレートサイトにデータ形式で公開されるケースが一般的です。

企業概要やサービス情報、ロゴ、画像素材などを一元化して提供することで、メディア対応や広報PR活動を円滑に進める役割を担います。あらかじめ公開してあるため取材依頼も受けやすくなり、ブランド認知の拡大やイベントの宣伝効果も期待できます。

営業資料との違い

営業資料は、自社の商品やサービスの導入を検討する見込み顧客に対して、購入意欲を高めることを目的とした資料です。商品の価格、機能、他社との違いなど、商談を進めるうえで必要な情報が中心となります。

一方、プレスキットはメディアや報道関係者を対象に、企業の取材や報道に必要な情報を提供するものです。掲載可能な画像素材、企業データ、代表者プロフィールなどで構成されます。

営業資料は「見込み顧客に売るため」、プレスキットは「メディアに伝えるため」の資料であり、目的とターゲットが異なります。用途を混同しないよう、目的別に資料を使い分けることが重要です。


プレスキットを活用するメリット

プレスキットを活用するメリット

プレスキットは、企業が発信する情報を整理・統一し、外部とのやり取りを効率化するうえで欠かせないツールです。ここでは、広報活動においてプレスキットがもたらす主なメリットを2つ紹介します。

ブランドの統一感を保てる

情報に一貫性が欠けていると、企業イメージの混乱や誤解を招く恐れがあります。プレスキットを整備しておけば、企業概要やロゴ、サービス説明など最新情報がまとまっているため外部の理解を得やすくなります。

とくにメディア対応では資料における内容のブレを防ぎ、ブランドのイメージを的確に伝えることが重要です。情報の正確性と統一性を維持することで、ユーザーやビジネスパートナーからの信頼性向上にもつながります。


メディア対応を効率化できる

取材依頼や掲載相談を受けてから資料の確認作業をしていては、対応に手間がかかってしまいます。あらかじめプレスキットを用意しておけば、取材が依頼される前から企業情報や画像素材を提供でき、広報対応のスピードと精度が大幅に向上します。

また、記者側も情報を収集しやすくなるため、取材のハードルが下がる可能性もあります。業務効率化だけでなく、露出機会拡大にも効果があるでしょう。

▶︎あわせて読みたい:メディアリレーションとは?成功に導く5つのポイントを解説

プレスキットに掲載する情報6つ

プレスキットを作成する際には、メディアが必要とする情報を網羅的に盛り込むことが重要です。読み手が短時間で全体像を把握できる構成を意識することで、どのメディアにも使いやすい資料になります。ここでは、一例として6つの情報項目を紹介します。

自社のロゴ・画像素材

プレスキットには、ロゴや商品写真などの画像素材を必ず含めましょう。これらは、メディアが記事や紙面でそのまま使用することを想定したものです。印刷やWeb掲載に対応できるよう、高解像度データを用意しておくと安心です。ロゴの誤用を避けるために、サイズや配色などのルールを明記したガイドラインもセットで掲載しておきます。


企業概要

企業概要は、記事の中の企業紹介で使われる部分です。企業名や所在地、代表者名などの基本情報に加え、事業内容や創業年、沿革といった背景情報も記載しましょう。加えて、自社のビジョンやミッションを短く整理して載せておくことで、企業の方向性や価値観が伝わりやすくなります。


サービス・商品概要

自社が提供するサービスや商品の内容は、商品やサービスの正式名称、機能、特徴、利用シーン、ターゲットユーザーなど基本情報を記載しましょう。商品の強みやサービス紹介動画がある場合は、あわせて掲載しておくと内容の理解が深まります。


代表者のプロフィール

企業の代表者のプロフィールも、プレスキットに含めておきたい情報の一つです。氏名、役職、経歴、実績などを簡潔にまとめるとともに、可能であれば顔写真も掲載します。とくに、企業のビジョンや企業を立ち上げた背景なども簡単に触れると、取材や記事の切り口として有効です。過去の登壇歴やメディア出演歴も記載することで企業の信頼性が高まります。


広報担当者への連絡先

プレスキットには、メディアからの問い合わせをスムーズに受け取れるよう、広報担当者の最新の連絡先を必ず記載しましょう。担当者の氏名、部署名、役職、電話番号、メールアドレスなどのほか、連絡がつきやすい時間帯や緊急時の連絡先(携帯番号など)も加えておくと取材につながる可能性が高まります。


過去のプレスリリース一覧

プレスリリースとは、新商品リリースや事業の提携、受賞歴などを、報道関係者のためにまとめた公式文書のことです。過去に発表したプレスリリースの一覧を、発表日・タイトル・要約・リンクとともに時系列で掲載することで、企業の歩みや話題性をメディアに示すことができます。現在の商品との比較もでき、取材のヒントとなるでしょう。


プレスキットの作り方4STEP

プレスキットの作り方 4 STEP

効果的なプレスキットを作成するには、企業の特性やターゲットとするメディアを考慮しながら、段階的に準備を進めていくことが大切です。ここでは、プレスキット作成の基本となる4つのステップについて解説します。

1. 配信方法を決める

まず最初に決めるべきは、プレスキットの配信方法です。コーポレートサイトに常設する方法と、メディアからの問い合わせ時に個別で渡す方法がメインです。コーポレートサイトに概要のみ掲載しておき、詳細は問い合わせがあった場合に提供するという方法もあります。個別対応の場合は、データか紙媒体かの提供方法も決めておきます。

2. 必要な情報・データを集める

配信方法が決まったら、次に行うのが掲載する情報の洗い出しと素材の収集です。配信方法により情報量やレイアウトも変わります。「プレスキットに必要な情報6つ」などを参考に、自社の魅力を適切に伝えられる内容を選定します。既存の資料から流用する場合は、情報の過不足がないようチェックしながら構成を整えましょう。

3. コンテンツを作成する

情報が揃ったら、次は各項目に沿ったコンテンツの作成に進みます。ロゴや商品の説明文などの素材をメディアがそのまま使えるよう用意します。

ロゴについては使用時のガイドラインも掲載し、専門用語や業界特有の表現については、一般の読者にも理解できる説明を加えるとよいでしょう。ブランドイメージに沿った表現やカラースキームを採用し、できるだけシンプルにまとめることが重要です。

4. プレスキットを公開し、周知する

すべてのコンテンツがそろったら、関係部署や経営層による確認を受けたうえでプレスキットを公開します。

公開後は、プレスキットの存在をメディア関係者に積極的に周知することも重要です。プレスリリースでの告知やSNSでの発信、メディア向けメールマガジンでの案内など、様々なチャネルを活用しましょう。情報をアップデートする体制も整えておくことが大切です。

プレスキット作成時の注意点2つ

プレスキット作成時の注意点2つ

効果的なプレスキットを作成するには、内容の充実だけでなく、適切な運用体制を整えることも重要です。ここでは、プレスキットを安全かつ効果的に運用するために意識すべき2つの注意点を紹介します。

利用ガイドラインを明示する

ロゴや画像を公開する場合は、意図しない形で使用されるリスクも考慮する必要があります。そのため、使用条件を明記したガイドラインを必ず添付しましょう。ユーザーの目に確実に入るよう、プレスキットの一番初めに提示しておくのがおすすめです。

ロゴデータの改変や違法媒体での使用など、禁止事項を盛り込んでおきます。利用範囲を制限しすぎると活用されにくくなるため、使いやすさも考慮することが重要です。


定期的に情報の更新を行う

プレスキットの価値を維持するためには、定期的な情報更新が不可欠です。古い情報や誤った内容が含まれていると、メディアによる誤報につながるリスクがあり、企業の信頼性を損なう可能性もあります。役員人事や組織変更、新サービスの開始、業績データなどは、変更があり次第速やかに更新しましょう。

運用ルールとして、見直しの頻度や担当者を明確にしておくと、情報の質が保てます。

プレスキット作成の見本になる事例3選

どのようなプレスキットを作ればよいかイメージしにくい場合は、他社の事例を参考にするのが効果的です。ここでは、情報のまとめ方や素材の見せ方が洗練されている3社を紹介します。構成や掲載内容を比較することで、自社のプレスキット作成のヒントが得られるでしょう。

株式会社メルカリ

フリマアプリ「メルカリ」を運営する株式会社メルカリでは、公式サイトにプレスキットを公開しています。掲載されているのは、企業ロゴやガイドライン、サービスロゴ、アプリのスクリーンショット、経営陣のプロフィール画像、オフィス写真です。

ガイドラインはあるものの、ロゴや写真はすぐにダウンロードできるようになっており、使いやすさも兼ねています。シンプルなつくりで、必要な素材にすぐにアクセスできるのが特徴です。

参考:プレスキット一覧 | 株式会社メルカリ



note株式会社

コンテンツ配信プラットフォーム「note」を展開するnote株式会社では、自社用のnoteにプレスキットを掲載しています。掲載項目は、コーポレートロゴやサービスロゴ・ガイドライン・スクリーンショット・サービス説明文・会社説明文・代表プロフィール・問い合わせ先・会社概要・過去のプレスリリース一覧です。

ロゴなどの素材だけでなく、サービスや代表者の説明文もあり、企業の全体像がつかみやすい構成になっています。

参考元:プレスキット|note株式会社


Mr.CHEESECAKE

「Mr.CHEESECAKE」は、オンラインや店舗でのチーズケーキの販売をしているスイーツブランドです。公式ホームページで、ブランド紹介文・ロゴ・キービジュアル・シェフの紹介文をプレスキットとして提供しています。

シェフの紹介文は短めのバージョンと長めのバージョンが文字数付きで掲載されていたり、テキストコピーが可能だったりと、素材の使いやすさが配慮されています。

参考:Mr.CHEESECAKE MEDIA KIT


まとめ|プレスキットで広報活動を加速させよう

プレスキットは、企業の情報を的確かつスムーズに伝えるための重要な広報ツールです。企業概要やロゴ素材、サービス説明などを一元化しておくことで、メディア対応の効率が大幅に向上します。

また、ブランドイメージの統一や情報の正確性維持にも役立ちます。作成時には、配信方法や掲載内容を明確にし、利用ガイドラインと更新体制を整えることが不可欠です。実際の事例を参考にすることで、自社に合った構成や表現方法のヒントも得られるでしょう。

Meltwaterでは、ほかにも広報・PRに役立つホワイトペーパーやブログ記事を多数掲載しています。こちらもあわせてご覧ください。

この記事の監修者:

宮崎桃(Meltwate Japanエンタープライズソリューションディレクター)

国際基督教大学卒。2016年よりMeltwater Japan株式会社にて新規営業を担当。 2020年よりエンタープライズソリューションディレクターとして大手企業向けのソリューションを提供。 ソーシャルメディアデータ活用による企業の課題解決・ブランディング支援の実績多数。 趣味は映画鑑賞、激辛グルメ、ゲーム

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