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2020年の変化について


Joseph Latteri

Jan 5, 2021

 

2020年は誰にとっても、ものごとが予想通りに運ばなかった一年でした。この一年がもたらした多くのチャレンジは、私たちの手に余るものではありましたが、世の中の不確実性がその頂点に達したこの春を過ぎたあたりから、ビジネス界は“ニューノーマル“への対応の手がかりをつかみ始め、人類の最大の強みである”変化への対応“を実践してきました。

 

世界各国の政府が新型コロナへの感染拡大抑止と経済活動の維持のバランスをとるべく様々な対策を講じている間に、ビジネス界は新たな現実に対して、独自のルールで順応し始めたのです。

 

私たちメルトウォーターの場合、3月半ばからグローバルの全社員を在宅勤務とし、それ以降、テレワークを継続しています。この間、日本では全国民へのアベノマスクの配布やGo Toキャンペーン実施等の動きがありました。そしてメルトウォーターでは、日本を含む全世界で、年初からの2020年計画はいったんクリアして新たなバジェットを策定し、コロナ下でのコンシューマーの新たな消費ニーズおよび行動(ユーロモニターのレポートConsumer impact of coronavirus in Japan)ご参照)への対応をスタートさせました。

 

このような状況下で、トヨタ、ソニー、NTTや任天堂といった日本企業はイノベーションを通じて成長を確保し、またファイナンシャル・タイムズのTop 100 Companies Prospering during the Pandemicのリストには、世界の多くのテクノロジー企業が名を連ねました。

 

それではここで、この2020年に登場もしくは加速したマーケティングおよびPR領域の戦略で、2021年においても成功の指標となるものについて見てみましょう。

 

1: デジタル化のさらなる加速

今回のパンデミック以前から、日本はインターネットと携帯電話の浸透率でトップをいく国の一つでしたし、2019年には、デジタル広告支出がTVその他伝統的な媒体向け広告支出を上回りました。そしてこのパンデミックの状況下で、自宅に籠っている.コンシューマーに対して、日本の各ブランドが携帯電話その他のデジタルのプラットフォームを通じてリーチしようとするなかで、このシフトはさらに加速しています。

 

したがって、2021年においては、ペイド、アーンド、シェアードおよびオウンドの全メディアチャネルを横断する統合的な戦略の必要性、そしてマーケティングとPRが緊密に連携して活動する必要性が、これまで以上に強まるでしょう。(ちなみに、当社では最近、このような新たな流れをつかむためのガイドをまとめましたので、ご参照ください)。

 

たとえば、PR部門の活動の仕方にも大きな変化が訪れています。これまでは、企業の全体イメージのPRを担うコーポレートコミュニケーションのチームと、ペイド広告やキャンペーンを中心に製品・サービスのマーケティング、ブランドのコミュニケーションを担うマーコムのチームは、往々にして組織的にも分かれて活動してきましたが、PRにおけるシェアードメディアの戦略的重要性の拡大に伴い、これまで以上に両者が連携して、インテグレートされたPRを目指していくことが重要となっています。

  

2: バランスの取れたソーシャルメディアの使い分けの重要性

新型コロナにより都市のロックダウン、旅行の制限、テレワーク、ソーシャルディスタンスの徹底が続いた2020年、友人・家族やコミュニティーとの関りを継続する手段として、世界中の人々がソーシャルメディアへの傾斜を強めました。

 

私たちはネット上で過ごしている時間の3分の1をすでにソーシャルメディアに使っていますので、、ソーシャルメディアがビジネスにもたらすオポチュニティーについては、さらに詳しく見てみる価値があります。

 

ソーシャルメディア領域における近年最も顕著なトレンドの一つは、ユーザーにとってもブランドの側にとっても利用できるプラットフォームが増え続けている、ということです。ソーシャルメディアマーケティングのコムニコが、日本における各プラットフォームの利用状況についてわかりやすくまとめたeブックがありますので、ご参照ください: https://blog.comnico.jp/we-love-social/sns-users

どのソーシャルメディアのプラットフォームが好まれるかについては、地域、年齢や性別によってもちろん異なります。(この点についてはStatistica.comや、Datareportals のfree report のライブラリーの中に素晴らしいレポートがあるので、是非ご覧ください。)

 

ソーシャルメディアのプラットフォームとオーディエンスが多様であるということは、マーケターとしては様々な戦略、技法、コンテンツを駆使し、異なるチャネルをまたいでオーディエンスにリーチする必要があるということになります。デロイトのCMO studyによれば、 3分の2の企業が、カスタマーとつながる上でソーシャルメディアを活用していると言われています。

 

この情報の宝の山を最大限に活用してオーディエンスへのより良いアピールを行い、ブランドを効果的に打ち出し、コンシューマーに的確にリーチできるマーケターこそが、成功する次世代のマーケターとなります。そしてソーシャルメディアの多様性と加速度的な成長により、ブランドの側ではトレンドの先端でカスタマーにリアルタイムで対応したいとの要望が強まり、これがアジャイルマーケティング“の誕生につながりました。

 

3:アジャイルマーケティングで、デジタルの時代にも人間味を

データ、テクノロジー、オートメーションの進行により、ブランドの側がカスタマーの持つ人間的な側面から引き離されてしまうようになる危険があります。

 

そこで、アジャイルマーケティングの実施に当たっては、カスタマーデータプラットフォーム (CDP)を通じて得られるカスタマーについての認識を、組織内でしっかり共有しておくことが重要です。 このプラットフォームはAIを活用した予測モデルへと進化し、カスタマーの欲求をブランド側があらかじめ予測して、適切なオーディエンスにより迅速に対応することを可能にしてくれます。

 

このようなトレンドのもと、メルトウォーターの日本におけるもっとも先進的なクライアントにおいては、当社のAPIから提供されるソーシャルメディアおよびネット上の外部データを自社のCDPとつなげて、社内のセールスおよびカスタマーデータと統合し、自社のキャンペーンや競合の活動に対するコンシューマーの反応や行動を、より正確に理解するために活用しています。 

しかし、ブランドにとって、データ分析だけでは十分ではありません。そこから得られるインサイトを、普遍的なブランドイメージにマッチするアクションに結び付ける必要があります。ブランドのコミュニティーとエンゲージし、それをさらに育んでいくために、PRとマーケティングのチームは、まさにこの領域において一体となって行動することが重要です。

 

メルトウォーター本社作成のブログ では、2021年はPRの領域でテクノロジーの活用がこれまでにないレベルで加速する年になる、とみています。CIO、CMO、そしてPR のチームがこれまで以上に緊密につながり、不確実性の続く世界の状況に対応し、画期的なやり方で切り抜けていく年になるはずです。

 

2020年の状況からも明らかなように、将来を正確に予測することは不可能ですが、世界の人々がこの一年で見せた柔軟な対応を考えると、私たちは来るべき2021年を楽観的な気持ちで迎えることができるのではないでしょうか。皆さま、どうか実り多き新年をお迎えください。

そして2021年も、メルトウォーターへの温かいご支援を、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

 

ジョセフ・ラッテリ