これまでのブログでも、広報にとってソーシャルメディアは無視できない存在になってきたことをお伝えしました。とはいえ日本の広報部門ではソーシャルメディアの情報収集、いわゆるソーシャルリスニングに取り組むところはまだ少ないですね。

 

「うちの会社、経営陣がなかなかソーシャルメディアの重要性をわかってくれない」なんてお話を聞くこともあります。「ソーシャルメディアを使っているのは一部の人たちだけ、うちには関係ない」みたいな感覚かもしれません。

 

でも今は10代や20代を中心に、ソーシャルメディアでニュースをチェックする人が増えています。こうなると、広報も従来のメディアだけ相手にしているわけにはいきません!

 

そこで、ソーシャルメディアでニュースを見る人が増えている状況について、日本とアメリカのトレンドをまとめてみました。ニュースサイトもアプリもあるのに、なぜソーシャルメディアでニュースを読む人が多いのか…気になりますよね?そのあたりの理由も探ってみます!

 

日米ともに、ソーシャルメディアでニュースを読む人が主流になってきている

 

アメリカでは、成人の68%がソーシャルメディアでニュースを読んでいるといわれています。

この数字、思ったより多いと思いませんか?

さらにアメリカでは、2018年初めて紙の新聞(Print newspapers)よりソーシャルメディア(Social media)が上位になったという調査結果もあるんです。ソーシャルメディアでニュースを読む人が増えている状況がよくわかりますね。

 

ちなみにこの調査結果、面白いのが年代によってニュースの入手先が全然違うという点。年代別の調査結果を見ると、10代と20代のニュース入手先の1位はソーシャルメディアで、テレビやニュースサイトより上なんです。一方30代以上になると、ソーシャルメディアよりテレビやニュースサイトが上位に来ています。

 

この傾向、実は日本でも似たような感じです。公益財団法人 新聞通信調査会が「メディアに関する全国世論調査」を行い、日本で「インターネットニュースを見る時、アクセスするのは?(P.40)」という調査をしたところ、全世代ではポータルサイトが84.6%で1位。でも10代と20代に限ると、ソーシャルメディアが1位(全体の70%超え)という結果なんです。

 

確かに周囲を見ても、30代以上の人はポータルサイトやアプリでニュースを見る人が多い気がしますね。でも10代や20代にとっては、もうソーシャルメディアでニュースを見ることが普通になっているというわけです。

 

ソーシャルメディアでニュースを見る人が増えている2つの理由

 

若年層を中心に、なぜソーシャルメディアでニュースを見る人が多いのか…いろいろ理由はあると思いますが、個人的には2つ大きな理由があると思っています。

 

1.   興味が同じ人をフォローすれば、関心のある記事だけ見られる

 

好きなニュースメディアがあっても、自分が興味のある記事も興味のない記事も全部目を通す、なんて人はレアですよね。やはり関心のある記事だけ読みたくなります。

 

ソーシャルメディアなら、自分と興味が似ている人をフォローすればその人が自分の知りたいニュースをシェアしてくれます。つまり自分が知りたい情報だけ見られる。海外では、気に入ったジャーナリストのアカウントをフォローして、ニュースをチェックするなんて人もわりと多いですね。

 

この方法なら、自分の興味があるジャンルについては知識が貯まるスピードが上がります。効率がいい、という考えなんだと思います。

 

かつては、新聞を読めば自分の興味がない分野の情報もチェックできる、といわれていました。でも今の若い人たちは、紙媒体で育った世代とは考え方が違うデジタルネイティブ世代。紙の新聞を見たとしても、やはり関心のない情報はスルーするんじゃないでしょうか。より効率的に情報収集をすることが優先されているのかな、と感じます。

 

2.   元記事をサマライズ(要約)して、要点だけ紹介してくれる人が多い

 

効率的という意味では、ソーシャルメディアなら記事本文を全部読まなくても把握できる、というメリットもあります。

 

ソーシャルメディア上には、ニュースの要点だけまとめてシェアする人が結構います。こういう人をフォローしておけば、記事を最後まで読まなくても大体の内容はわかります。

 

ネットの記事に慣れているデジタルネイティブ世代から見れば、画像と見出し、要点を見ることが「ニュースを読むこと」という認識なのかもしれません。

 

ソーシャルメディアでニュースを「シェア」するときの、日本と海外の違い

 

ソーシャルメディアといえば、記事をシェアできる点も大きな特徴。ただ海外と日本だと、シェアの傾向に違いがあるように感じます。

 

弊社Meltwaterの分析ツールには、ニュースの記事がソーシャルメディアでどれだけシェアされたか集計できる機能があります。この数字を見ていると、全体的に海外と比べて日本はシェアされる数が少ないですね。

 

海外では、シェアすることで自分の意見を主張する人が多い印象。例えばアメリカの人たちの投稿を見るとわかりやすいです。トランプ大統領に関するニュースをシェアしながら、それに対する自分の意見を発信したり、ソーシャルメディアで議論したりするのも普通ですね。

 

一方日本でシェアが海外ほど多くないのは、TwitterやFacebookなどオープンな場ではなくて、表に見えないところ、つまり1対1で記事をシェアする人が多いからなのではないでしょうか。

 

オープンなところで意見を出したがらない、という国民性もあるかもしれません。あとは日本の場合クローズドなLINEの利用率が高いことも影響していると思います。

 

私自身LINEニュースで気になる記事があると、よく友人にシェアします。先日友人が勤める会社の記事が載っていたので、「君の会社、こんなニュースが出ているけど大丈夫?」という感じでシェアしました。

 

皆さんも気になるニュースをLINEなどで直接シェアした経験、きっとあるのではないでしょうか。だから日本も、海外とスタイルは違っても実はシェアの数は多いと思うんですよね。

 

こういうシェア状況は、広報にも影響があります。いいニュースも悪いニュースも、広報が知らない間にどんどんシェアされていたら…広報として気まずくないですか?だからどんな企業にも、ソーシャルリスニングをするのが普通、みたいな時代になってきています!

 

最近はソーシャルメディアでのシェアを意識して、プレスリリースを制作する企業もあります。弊社クライアントのある自動車メーカー様のケースでいうと、技術的なリリースではターゲットが限られるためあまりシェアは想定しません。でも新車発表など一般ユーザーのシェアが増えそうなときは、シェアされることを前提にカッコいい画像をリリースのメインに持ってくるそうです。

 

ソーシャルメディアがきっかけでメディアに注目されることもある

 

ソーシャルメディアがきっかけでメディアが記事化する、なんてことも起こっています。これも、広報としては「知らなかった」では済まされないですよね。ここ最近では、イエローハットとピザハットによるTwitterのやり取りが話題になりました。

ざっくりいうと、イエローハットがTwitterでピザハットに「8月10日(ハットの日)に一緒に何かしませんか?と提案。その後のやり取りで、イエローハットのハットが帽子のHatだった一方、ピザハットは小屋という意味のHutと判明…!というお話。

 

ソーシャルメディアでオープンにやり取りする過程が面白くて、Twitterでちょっとしたバズが起こりメディアにも取り上げられました。メディア側がソーシャルメディア上の動きに敏感になっていることも要因ですね。

 

この事例、ほとんどコストがかかっていないわりに結構なPR効果があったんじゃないでしょうか?もし2社で「8月10日にコラボします」というリリースを出しても、ここまで話題にならなかったと思うんですよね(たぶん)。

 

イエローハットとピザハットは公式アカウント同士のやり取りでしたが、公式アカウントを持たない会社でも意外なことでソーシャルメディアで話題になるケースもあります。

 

あらゆる企業にとってソーシャルメディアでいい意味でも悪い意味でも、話題になりうることをやはり意識しておく必要がありますね。

 

ソーシャルメディアは、もはや主要なニュースメディアのひとつ

 

ニュースをソーシャルメディアで見る人が増えている中、広報が「うちはソーシャルメディアなんて関係ない」とはいきません。ソーシャルメディアはもはや主要なニュースメディアのひとつ。だから広報としてメディアモニタリングの対象にすべきなんです。

 

経営層がソーシャルメディアをあまり意識していないときは、今回紹介した調査データをプレゼンに使ってみてください!数字を見てびっくりされるかもしれませんが。

 

次回は具体的にソーシャルリスニングに取り組むコツや、効果をどう見るかについて紹介します。