前回のブログで紹介したように、日本企業も中国など海外のソーシャルメディアの影響を大きく受ける時代。こうなると従来の地域を絞ったマーケティングリサーチでは足りなくなってきました。

 

そこでソーシャルメディアの分析、いわゆる「ソーシャルリスニング」をマーケットリサーチに使うという新しい手法も出てきました。ソーシャルリスニングなら、世界中にいるユーザーの声を収集できます。これを活用してヒット商品を生み出したり、マーケティング戦略を見直したりする事例もあります!

 

海外の企業でも、ソーシャルメディアを分析しているマーケティング部門は多いですね。実はソーシャルメディアは、口コミやトレンド情報の宝庫なんです。

 

そこでソーシャルリスニングでどんなマーケティングリサーチができるのか、成功事例をもとに解説します。

ソーシャルリスニングで売上アップ?マーケティング活用事例

 

先日たまたま見つけて面白いなと思ったのが、イギリスの菓子メーカー「キャドバリー」社の事例。過去に販売したチョコレートバーを復活してほしい!というソーシャルメディアの投稿を、担当者が偶然見つけたそうです。そこで同じ要望がどれくらいあるか分析。結果をもとに再発売したところ、ヒットにつながったという話でした。

 

消費者の声をきっかけに再発売したのも面白いですし、再発売後ソーシャルメディアで拡散されてヒットしたというのも興味深いですね。こういうマーケティングができたのも、ソーシャルメディアの活用があってこそだと思います。

 

これは海外の事例ですが、日本でもソーシャルメディアを分析してマーケティングに生かすところは増えています。弊社クライアントさまのユニークな事例を紹介したいと思います。

 

事例1:ソーシャルメディアからユーザーの声を集めて、新商品を開発

 

あるコスメブランドでは、シートマスクの改良にソーシャルメディアのデータを活用しました。ソーシャルメディアでシートマスクの課題や使い勝手を分析したところ、「シートが薄くて頼りない」という声が多いことが判明しました。そこでより厚手のシートを使った新商品を発売、大ヒットにつながったそうです。

 

この事例では自社の商品だけではなくて、シートマスク全般の意見を分析できた点が成功につながったのかなと思います。

 

事例2:ソーシャルリスニングの結果をもとに、マーケティング戦略を見直し

 

ある食品メーカーでは、自社商品のヨーグルトを購入するきっかけやどんなシーンに食べるかについて、ソーシャルリスニングツールを使って調査しました。

 

マーケティング部門としては、スナックとして食べることを想定していたそうです。でも実際はダイエットや朝食など他の用途も多いことが判明。これをもとにマーケティング戦略を見直したといいます。ソーシャルリスニングをしなかったら、気づかなかったかもしれないですね。

 

事例を見ると、企業によってソーシャルリスニングの目的や使い方が全然違います。ソーシャルメディアのデータは使い道が広い!ということをわかっていただけると思います。

ソーシャルメディアは宝の山!?世界のトレンドがリアルタイムでわかる

 

「ソーシャルメディアは匿名掲示板みたいなコメントばかりで、ビジネスに役立たないのでは」という声も、まだあるようです。特に日本だと匿名で書き込めるTwitterの利用者が多いことも影響しているかもしれません。でも、だからこそ世間のダイレクトな本音がわかるソーシャルメディアは、ユーザーの行動や意見が集約された宝の山なんです!

 

例として、弊社Meltwaterのシンガポール支社が作った「Beauty Industry Report」(英語版)を紹介します。これはソーシャルメディアを分析して、シンガポールを含めた東南アジアの美容業界トレンドを独自にまとめたものです。

 


*Beauty Industry Reportをご覧になられる場合は、上記画像をクリックしてください。

 

例えば「コスメのカテゴリーの中で、何が一番話題になっているか」といったこともわかります。実はLipsの話題が半数近く占めていて、Face、Eyes、Cheekよりも圧倒的に多いんです。

 

さらにブランド別の傾向なんかもわかります。競合他社も分析できるところは、ソーシャルリスニングの強みだと思います。

 

他にも「東南アジアで今、日本のコスメブランドの人気が復活しつつある」「東南アジアの中で美容に関する話題の比率が高いのはインドネシア」なんてことも見えてきます。このあたりビジネスに役立ちそうじゃないですか?

 

・ソーシャルメディア分析なら、トレンドを数値化できる

 

ソーシャルリスニングは、トレンドを数値化できるのがメリットですね。「なんとなく今流行ってる」ではなくて「投稿数全体の〇%をこの話題が占めている」みたいに市場の動きを数値化できます。

 

・マーケットリサーチにかかる時間と費用を節約

 

ソーシャルメディアは、ユーザーが自ら勝手にコメントを書いてくれています。だからソーシャルリスニングツールを使えば、情報を集める手間はほとんどかかりません。

 

もし同じようなデータを聞き取り調査で集めたら、莫大な時間とお金がかかるんじゃないでしょうか?トレンド変化のスピードが速い業界になると、手間暇かけて調査をしている場合じゃないかもしれません。

 

以前弊社のイベントで講演いただいた、資生堂のビー・アサヴァジャル氏も「ソーシャルメディアを使って、ユーザーのニーズにすぐ対応できる会社がシェアを伸ばしている」と語っていましたね。

 

【参考】講演内容はイベントレポートに掲載されています。

 

・世界全体もエリアを限定した分析もできる

 

「Beauty Industry Report」は東南アジア版ですが、他の国で行ったら全然違う結果になると思うんですよね。美容業界は国によってニーズが大きく違いますから。例えば東南アジアの高温多湿な気候とアメリカ西海岸の乾燥した気候では、好まれる機能とか質感も変わってきます。

 

ソーシャルリスニングは世界を対象にした分析もできますし、投稿エリアで絞り込んだ分析もできます。このあたりも幅広くマーケティングリサーチに使えるところだと思います。

 

今回はシンガポールでまとめたレポートの紹介でしたが、Meltwaterでは世界各地でいろいろなレポートを作って公開しています。日本でもこうした取り組みを進めていきたいと思っています。

ソーシャルリスニングでマーケットリサーチを始めるときのコツ

 

ソーシャルメディアでトレンドがわかるといっても「投稿を全部読む暇がないし、集計の手間が増えるのは避けたい」という方がほとんどだと思います。

 

ソーシャルリスニングではツールを使うのが基本。ソーシャルリスニングツールと呼ばれるものは、日本にもいろいろあります。たいていのツールは社名やブランド名を登録すれば関連する投稿を自動で分析してくれるので、扱いやすいツールだと思います。

 

ただしソーシャルリスニングツール使ってマーケティングリサーチをする場合、おさえておきたいポイントが2つあります。

 

(1)ソーシャルリスニングで分析できるデータ量の問題

 

自社に関する投稿を調べるときと比べて、マーケットリサーチでは対象のデータ量が圧倒的に増えます。一方でツールやサービスによっては、調べられるデータ量に上限を設けているところも。データ量の上限について、あらかじめ確認しておくことをおすすめします。

 

(2)ソーシャルメディアとあわせてニュースメディアもチェックすること

 

例えば他社サービスが急にソーシャルメディアで話題になっていたら、メディアで取り上げられた可能性があります。ニュースメディアの分析もまとめてできれば、よりユーザーの動きやその要因を掘り下げられるのでは。

 

「ソーシャルメディアとニュースメディアをまとめて分析できるか」という点も、ツールを選ぶときのポイントになると思います。

ソーシャルリスニングでビジネスの結果を出すには「仮説」が必須

 

事例にもありましたが、弊社のクライアントさまもソーシャルメディアの使い方に変化が出てきています。少し前はソーシャルメディアというと、ネガティブな投稿がないかといった情報収集がメインでした。

 

情報収集も大事ですが、最近はさらに踏み込んでソーシャルメディアをマーケティングデータとして活用するところが多くなってきたと感じます。

 

自社の評価や業界トレンドを把握するなど、ソーシャルメディアのデータには無限の使い方があります。この宝の山を使わないと、本当にもったいないと思います!

 

とはいえソーシャルリスニングツールを使ってなんとなくデータを見ているだけでは、ビジネスへの活用は難しいです。コスメブランドを例にすると、「Lipsの市場調査をしたい」だけではざっくりしすぎ。

 

目的をもとに「こんな属性の人たちが、こんな理由で、こういう質感のLipsを求めているのでは?」みたいな仮説があると、データの見方が変わってきます。

 

ソーシャルメディアはデータ量が膨大なので、仮説がないと方向がブレやすいんですよね。答えとなるデータはツールで出せても、答えを出すための計算式は人が考える必要があると思うんです。

 

そこで次回のブログはソーシャルリスニングをする上で重要な、「仮説の立て方」について考えていきます!