ソーシャルメディアにある口コミやトレンド情報を分析して、マーケティングリサーチに役立てる会社が増えてきました。ソーシャルメディアなら、自社サービスのユーザーはもちろん、競合他社ユーザーについての情報も手に入ります。何なら世界中の人たちが今何を話題にしているか?なんてこともリサーチできます!

 

一方で「ソーシャルメディアはとにかく情報量が多すぎる」という悩みもあるようです。ソーシャルメディアの膨大な情報の中から、マーケティングリサーチに使えるデータをどうやって引き出すか。ここで重要になってくるのが「仮説」です。

 

そこで「なぜ仮説が必要なのか」「実際にどうやって仮説を立てていけばいいか」について事例をもとに紹介します!

ソーシャルメディアのビックデータに向き合うために、なぜ仮説が必要?

 

ソーシャルメディアの情報量は本当に膨大です。例えばTwitterでは「1分あたり34万件ツイートされている」なんてデータもあります。想像できないぐらいの量ですね。

 

これだけのビッグデータを扱うわけですから、データからどんな情報を集めたいのか?という「探す目的」が決まっていないと、欲しい情報にたどり着けません。高機能なAIを搭載したソーシャルリスニングツールがあっても、人間が目的をもって使わないと、何の答えも出してくれないんですよね。

 

先日弊社イベントに登壇いただいたレクサスのマーケティングリーダー、スピロス・フォティノス氏も「目的が大事」ということを語っていらっしゃいました。

 

「データを自分の企画を正当化するために使うのではなく、『次に何をしたらいいか』を見いだすために活用すべきです。(中略)どのようなデータを扱う際にも、最も重要なことは「何を知りたいのか」を明確にすること。データを活用したいなら、まずは自分の中の質問をはっきりさせることが必須です。」

 

【参考】講演内容はイベントレポートで詳しく紹介しています!

 

 

この自分の中にある疑問が、仮説につながります。疑問に対して「たぶんこんな理由じゃないかな?」という仮の答えが、仮説になるわけです。ここでわかりやすい事例として、弊社クライアントさまの事例を2つ紹介します。

 

・仮説をもとにソーシャルメディア分析を行った2つの事例

 

1つめは前回のブログでも紹介した、ある食品メーカーの事例。この会社では「自社のヨーグルトをユーザーはどんな目的で買っているんだろう?」という疑問を持っていました。このときは「朝食用に購入する人が多い」という仮説を立てたそうです。

 

実際にソーシャルメディアでユーザーの声を分析してみると、朝食用だけではなくダイエット用などさまざまな理由で購入していることが判明しました。この結果をもとにマーケティング戦略の見直しを行ったそうです。

 

2つめも食品メーカーの事例です。この会社では自社製品の売上比率を見たところ、商品Aの比率が特に高く、「なぜ商品Aの売上比率が高いのか?」という疑問が生まれました。

 

そこで試しに商品ごとにソーシャルメディア投稿数を集計したそうです。結果を見ると売上比率とは異なり、ソーシャルメディアで商品Aについての話題はそれほど多くないことがわかりました。

 

こうなると、例えば「商品Aは投稿数が少ないものの売上は高い。つまりコアなファンが多いのでは」という仮説が生まれます。この会社では投稿の内容も詳しく分析して、商品ごとにどんな話題が多いのかを調べたそうです。

 

「仮説」と聞くと構えてしまう、という方もいらっしゃいます。でも事例にあったように、ちょっとした疑問から仮説につながることがほとんどです。まずは気になっている疑問から「こうじゃないかな?」という仮説を立てていくと、進めやすいと思います。

 

具体的に仮説を立ててソーシャルメディア分析をするコツ

 

仮説はそれほど難しく考えなくていいと思いますが、ソーシャルメディアに慣れていないとスタートでつまずきやすいかもしれません。

 

実際にソーシャルリスニングツールを導入するクライアント様の中にも、はじめのうちは「データが多すぎて、何を見ればいいかわからない」「ソーシャルメディアのデータをどう使っていいかわからない」というご意見もあります。そこで分析する3つのコツを紹介します。

 

(1)大きな課題から深く掘り下げ、的を絞った仮説を立てていく

 

弊社ではソーシャルリスニングツールの操作方法のほかに、分析のやり方についてアドバイスすることもあります。どこから手を付けていいかわからないときは、大きな課題からだんだん掘り下げていく、というケースが多いですね。

 

ある会社では「売上があるけど、なぜうまくいっているかわからない」という課題がありました。これだけだと、正直なところソーシャルメディアを分析する方向がわかりづらいです。

 

そこで掘り下げてお話を聞くと、「部署として売りたい商品とは別の商品がなぜか売れている」ということが見えてきました。こうなると疑問が具体的になっていくので、仮説も立てやすくなります。

 

(2)前年とデータを比べてみると、疑問が生まれやすい

 

他にもどういう方向で分析していいかわからないときは、前年と比較してみるのもおすすめです。例えば今年と昨年の売上を比べてみて、差が出た要因を考えていくと疑問が出やすくなります。

 

ちなみに仮説は正解じゃなくても全然構いません。ソーシャルメディアの情報は幅広いので、仮説として考えていたこととは違う要因が見えてくることも普通によくあります。むしろ売上など社内データだけでは気づけなかったインサイトが見つかるのは、ソーシャルメディア分析ならではのメリットじゃないでしょうか。

 

(3)データの取りこぼしより、全体を見渡すことが重要!

 

ソーシャルメディア分析でインサイトに気づくためには、データ全体を俯瞰することがコツです。ソーシャルメディア分析をするとき「1件もデータを取りこぼしたくない」と考えがちですが、これだとうまく行かないことが多いですね。大事なデータももちろんあるんですけど、全部のデータを集めるのは不可能と割り切ることも必要じゃないでしょうか。

 

ソーシャルメディアの膨大な情報量を扱っているので、まず全体的に仮説があっているかズレているか、俯瞰して見るほうが進めやすいと思います。

 

ソーシャルメディア分析に仮説があれば、消費者の声をもっとビジネスに応用できる

 

仮説をたててソーシャルメディア分析ができるようになれば、より消費者のリアルな声をもっとマーケティングに活用できます。

 

例えばあるブランドでは、日本人が「参加型イベント」と「体験型イベント」のどっちを好むかについて、ソーシャルリスニングツールを使ってリサーチしました。

 

こうしたマーケティングリサーチをすることで、次のイベント企画に大きく役立つ情報が得られますよね。ちなみにこのリサーチでは、実際にはショーを見る「参加型イベント」より、ものづくり体験をする「体験型イベント」の方が人気は高かったそうです。写真映えするかどうが、大きなポイントだったみたいですね。

 

この方が単純にイベントの効果測定をするより、マーケティングに役立つ情報が増えると思いませんか?

 

実際の仮説から検証までのケーススタディがあると、もっとわかりやすいかもしれないですね。そこで次回は実際に疑問をもとに仮説を立て、ソーシャルリスニングツールを使って分析・検証するところまでやってみます!