インフルエンサーから、アドボケイトの時代へ

まず、インフルエンサーマーケティングからブランドアンバサダーやブランドアドボケイトへのシフトを取り上げましょう。これは、2019年に注目された大きな動きのひとつです。

インフルエンサーマーケティングとは、インフルエンサー、つまりフォロワーが多い人に自社の商品についての情報発信をしてもらう方法です。一度の発信で多くの人に知ってもらえるメリットがある一方で、フォロワー数の多さを基準にインフルエンサーを選んだことで、ブランドイメージと異なる人がインフルエンサーになるケースも多いです。そのため、投稿が嘘っぽくなったり、宣伝色が強く嫌われてしまったりすることもあります。また、投稿を依頼するためにはそれなりのコストがかかります。

ブランドアンバサダーは、ブランドにもともと好意的な人で、積極的にブランディングに協力してくれます。ブランドアドボケイトは、アドボケイト(advocate=支持者)という言葉のとおり、熱狂的な支持者(ファン)です。もとからそのブランドが好きで、自発的に購入する人なので、商品提供やイベント招待をすれば、報酬が無くても自ら能動的にブランディングに関わってくれます。ブランドのターゲット層と重なり、ナチュラルな情報を発信できるのがメリットです。

より自然なプロモーションをしていくためには、情報発信の担い手をインフルエンサーからアドボケイトへシフトするのが世界的な潮流です。この動きは、今後ますます強くなっていくでしょう。

インフルエンサーやアドボケイトについては、以下の記事もあわせてお読みください。

Instagramはまだまだ健在。しかし、活用には留意すべき点も

次に注目したいのがSNS。Instagramは、2020年にサービス開始10周年を迎え、コアユーザーは30代となりました。10代~20代の若者はTikTokを使うようになってきています。しかし、TikTokはまだ新しく、マーケティングツールとしての活用方法が定まっていません。2020年は、Instagramをプロモーションに活用する価値はまだ十分にあるといえるでしょう。

2019年、Instagramはいくつかの仕様変更を行いました。そのひとつが「いいね」数の表示を消したことです(厳密にいうとPCでは表示されます。スマホでは本人には表示されますが、他の人からは見えなくなりました)。この変更により、発信者は「いいね」数に一喜一憂することから解放され、自由に投稿ができるようになったといえます。一方で、広告効果を「いいね」数で測定していた企業にとっては、インフルエンサーマーケティングの効果測定ができなくなったことを意味します。実際、仕様変更直後、企業から戸惑いの声が多く挙がりました。

Instagramの使われ方においても、「フィードへの投稿数が減り、ストーリーへの投稿が増えた」「キャプションの文字数が増えた」といった変化が出ています。

インスタグラムユーザートレンド

この変化の背景を探ってみたところ、

  • 今まで:撮った写真を片っ端からフィードに投稿
  • 現在:写真や動画はとりあえず、24時間で自動的に消えるストーリーに投稿
    → ストーリーに投稿したなかから残したいものだけを選んで編集し、コメントをつけてフィードに投稿
    と、投稿行動が変わってきていることが見えてきました。ちなみに、ストーリーは他の人でも閲覧履歴が確認できるようになっています。閲覧回数で投稿を効果測定するなど、マーケティング的にも利用価値があるといえるでしょう。
<事例>日本の老舗化粧品メーカーのケース
インフルエンサーに依頼したInstagram投稿が、その後どうなっているのかを調べたところ、投稿の75%が1年で削除されていることがわかりました。インフルエンサーは、企業からの依頼で投稿したもののうち、自分のポリシーとあわないものは一定期間表示した後に削除するという行動をとっているようです。
これは、Instagramのフィードへの投稿数が減っている理由のひとつになるかもしれません。また、報酬で動くインフルエンサーより、共感でつながるアドボケイトへシフトしたほうがよいことの裏付けにもなるでしょう。

AI-marketing

テクノロジーの活用で、マーケティングはどう変わる?

2020年、マーケティング分野でもAI(人工知能)が活用される場面がますます増えていくでしょう。なかでも注目したいのが感情分析です。感情分析とは、テキスト内容から発信者の感情を分析し、ポジティブか、ネガティブか、ニュートラルかを判定するものです。

自社製品の評判を把握したい場合、今までは、製品名と一緒に使われそうな言葉を予想し、「製品名+○○」で検索し、アラートがついたコンテンツを読み、内容から発信者の感情を判断していました。また、アドボケイトを見つけたい場合は、カスタマージャーニーに基づき、「大好き」「いつも買っている」「手放せない」など、アドボケイトが発信しそうな言葉と「ブランド名」を組み合わせて検索する方法で探していました。これらはかなり手間のかかる作業です。しかも、予想できない言葉やキーワードを使っているコンテンツは検索できないので、発信された情報すべてを網羅できるとは限りません。

感情分析を活用すると、SNSなどで発信されているすべてのテキストから、AIがブランドに関連するものを選び出し、文脈を理解し、発信者の感情を分析。「ポジティブな投稿がどのくらいあったのか」「ネガティブな投稿がどのくらいあったのか」をスコア化します。また、ポジティブな感情をもつ発信者、つまりアドボケイトを簡単に見つけられるようにもなります。加えて、アドボケイトがブランドのどのような点に好意をもっているのかを発見することも可能です。

<A社製スマホに対するネガティブな評判を調査するケース>

「A社製スマホ 故障」「A社製スマホ 壊れた」「A社製スマホ 使いにくい」など、ネガティブな感情につながる言葉を選別し、検索。例えば「A社製スマホは使いやすいが、B社製スマホは使いにくい」というA社にとってポジティブな発信であっても、「使いにくい」という単語に反応しネガティブなコンテンツとして表示されます。

↓ 感情分析を導入すると…

「A社製スマホ」について触れた発信を分析。「A社製のスマホは使いやすいが、B社製のスマホは使いにくい」という発信は、A社に対してはポジティブなコンテンツとして、B社に対してはネガティブなコンテンツとして表示されます。

 

感情分析を活用すると、「どのような感情をもっているユーザーが多いのか」といったマクロレベルでの傾向を把握できるので、例えば、

  • ポジティブな感情をもつ人が多い場合:
    →アドボカシーマーケティングを実施し、共感をより高める発信をする
  • ネガティブな感情をもつ人が多い場合:
    →ネガティブな感情を抱かせる要因を調べ、それを払拭するような情報発信を重ねることで、
    →ネガティブな感情をポジティブな感情に変えていく

といった、感情をコントロールするマーケティングもできるようになるでしょう。

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まとめ

インフルエンサーからアドボケイトへのシフトは、海外を中心とした動きでしたが、2020年は日本でも始まっていくでしょう。感情分析は、Meltwaterとしても重要になると考え、数カ月以内に新たなサービスを導入する予定です。

国際的スポーツイベントの開催、それに伴うインバウンド需要の拡大などが見込まれる2020年。重要なのは「その後」についても考えておくことです。2020年は、2021年以降の成功に向けたスタートの年ととらえ、長期スパンのマーケティングプランを持ちたいものですね。

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