将来の広報は攻めの戦略が必須 今磨くべき広報スキルとは?

将来の広報は攻めの戦略が必須 今磨くべき広報スキルとは?

Kenji Sunano
10 April 2019

広報やPRを担当している方の中には、「プレスリリースを出して、掲載されたかどうか新聞をチェックする毎日…」という方も多いのではないでしょうか。
新しいことに取り組みたいと思っても、「会社があまり新しい手法に積極的ではない」など、さまざまな事情があるようです。とはいえ今は紙メディアだけではなく、デジタルメディアやソーシャルメディアの利用が進んでいる時代。「広報の業務、本当にこのままでいいのかな?」と悩んでいるという方も多いようです。
また広報としてのキャリアプランを考える上で「将来どんなスキルが必要となるのか?」という点も、気になるところ。
実際に海外では、ここ数年で広報やPR活動は大きく変化しています。そこで海外のトレンドも交えながら、将来の広報に求められる役割やスキルについて紹介します!

世界の約50%の人がソーシャルメディアでまずニュースをチェックする

近頃は電車の中で新聞や雑誌を読む人、少なくなりましたね…気づいたら車内にいる全員がスマートフォンの画面に夢中だった!なんて経験もあるのではないでしょうか?
クリッピングなどメディアモニタリング(情報収集)は、欠かすことのできない広報業務の一つです。とはいえ将来の広報を考える上では、ニュースメディアのトレンドも把握しておきたいところ。実際、デジタルメディアの利用は思った以上に進んでいるようです。
グローバルに展開している広告代理店Oglivyが2016年に行った調査では、意外な結果が出ています。アジアを含む世界のメディア関係者を対象に、主にニュースをどこでチェックするかをリサーチ。その結果なんと約50%がTwitterやFacebookなどのソーシャルメディアと回答しています。一方で紙の新聞(Traditional Newspapers)という回答は、20%にとどまっています。

 

 

日本も世界と比べれば緩やかですが、デジタルメディアへのシフトは進んでいます。PR総研が2016年に行った「メディア利用度に関する調査」によれば、1位はネット検索、3位はニュースサイトとなっていて、いずれも新聞を上回るという結果が出ています。
この結果をタイプ別で見ると、特に学生・20代ではデジタルメディア派が多数ということがわかっています。将来はこうした1980年~2000年代に生まれ、子どものころからスマートフォンやソーシャルメディアに慣れ親しんでいる世代、いわゆる「ミレニアル世代」が消費者の中心になっていきます。つまりデジタルメディアへのシフトは、ますます加速するのではないでしょうか。
こうなると広報としては、紙メディアのメディアモニタリング(情報収集)だけでは足りません。ニュースサイトやソーシャルメディアなど、幅広いデジタルメディアへ対応する必要があるわけです。

ソーシャルメディア活用が「できる広報」への道

 Ogilvyのリサーチ結果にあるように、すでにニュースを得る手段として主流になっているソーシャルメディア。実際にアメリカなどの海外では、広報もソーシャルメディアへの取り組みを積極的に行っています。
一方で日本の状況を見ると、ソーシャルメディアで企業アカウントが炎上したというネガティブな報道が目立ち、「広報としてソーシャルメディアとどう向き合えばいいか悩む…」というケースが多いようです。
もちろんリスクへの対策も重要ですが、ポジティブな意味でのソーシャルメディア対応も今後広報業務の範疇になってくるはずです。
弊社のクライアント様でも、広報やPR部門がソーシャルメディアを使って大きな効果を上げている事例があります。ある酒造メーカーでは、新商品のPRを考えた際にあえてデジタルに強い若手社員を集め「予算は出す!やり方は任せる!」という大胆な決断を行いました。
若手チームは若年層をターゲットにして、インフルエンサーを活用するなどソーシャルメディアを駆使。最終的に売上もブランド認知度も大きく向上したそうです。
広報といえば、従来はメディア対応が業務のメインでした。しかしソーシャルメディアの場合、顧客など個人とのコミュニケーションも必要になってきます。つまりこれからの広報が対応するべきステークホルダーは、メディアに限らずもっと広い範囲になってきていると言えます。

守りの広報から、将来は攻めの広報へ!

 広報業務といえば、プレスリリースを出してメディアの掲載を待つ、いわば「守り」というイメージがあります。でもこれからはメディアだけではなく、さまざまなタイプのステークホルダーが相手。そこで広報から積極的にコミュニケーションを図る「攻めの広報」への方向転換が求められています。
実際に海外では、攻める広報が主流。取材依頼を待って「記事化されてラッキー」という希望的観測で動く、ということは少なくなっています。攻めの広報では、媒体ではなくそのジャンルに強いジャーナリストを指名してリリースを送り記事化を狙うことも。
実はこうした攻めの広報、一部グローバルに展開する日本企業にも広がってきています。ある大手電機メーカーの海外向け広報も、最近攻めている事例です。このケースでは特定のジャンルに強いジャーナリストに狙いをつけてアプローチ。記事化につながった後も、Meltwaterのツールで海外での反響を分析するなど、先進的な取り組みをしています。(ただ日本では海外と比べるとジャーナリストの署名記事が少ないため、国内では事情も違うかもしれませんが)

将来、広報とマーケティングが一体化する?

 ターゲットを見極め、広報自らが積極的に行動を起こす―このスタイルは、もはや広報というよりもマーケティングでは?と感じた方も多いかもしれません。実は今、広報とマーケティングの境界線が曖昧になってきているのも事実です。
日本では広報部門とマーケティング部門は明確にチームが分かれていることがほとんど。同じ案件でも、リリースを出す広報部門とプロモーションを担当するマーケティング部門のコミュニケーションが少なく、アウトプットの内容がちょっとズレている…なんてケースもあります。
海外を見ると、広報とマーケティングが一体化しているケースが多いのです。同じ部門の中に広報とコンテンツマーケティング担当がいることも珍しくありません。こうなると広報もマーケティング担当と一緒に営業成績を見て「どうやったら数字を上げられるのか?」という視点で広報業務に取り組みます。中には広報でも「数値目標」を持つ、というところも出てきています。つまり、広報担当もマーケティングスキルが求められてきます。実際にある先進的な取り組みをしている方にお話を聞いたところ、「これからの広報はリリースの文章力があるかよりも、数字にフォーカスしてリリースを書ける人が強いよね」ということをおっしゃっていました。
広報にとって、これからはメディアだけではなくその先にいる顧客が相手。媒体に掲載されたときの広告換算値だけではなく、顧客へメッセージが浸透したかどうかの効果分析も広報のタスクになってくるのではないでしょうか。

攻める広報になるために、どう動けばいい?

将来の広報を取り巻く環境と、必要なスキルをまとめると以下の5つになります。

1.ミレニアル世代が消費の中心になり、ますますデジタルメディアへのシフトが進む
2.特にソーシャルメディア活用が広報の課題。ここが「できる広報」になれるかの分かれ目
3.ソーシャルメディアをはじめ、従来のメディア以外のステークホルダーが増えている
4.相手が増えれば、取材を待つ守りの広報から攻めの広報にシフトする必要がある
5.攻めの広報には、マーケティングスキルが求められる

とはいえ、いきなり攻める広報へ方向転換するというのは、なかなか無理があります。「どこから手をつけていいかわからない…」というケースも多いかもしれません。
まずは、デジタルメディアを幅広くメディアモニタリングできるかどうかがベースになります。現状紙メディアだけチェックしているという場合は、ソーシャルメディアを含めたデジタルメディアを網羅できる体制を目指したいところ。
そこで次回のブログでは「紙のクリッピング業務を見直す方法」について詳しく解説します!