ソーシャルメディアの炎上って防げる?事例で知る広報の危機管理術

ソーシャルメディアのネガティブな投稿がきっかけで企業イメージが大きく下がった、なんて話も最近よく聞きますね。危機感を持つ広報の方も多いのではないでしょうか。

 

弊社のクライアントさまも、危機管理(いわゆる炎上対策)を目的にソーシャルリスニングをしているところは多いです。そういった企業のほとんどが「炎上は起こるもの」ととらえています。

 

これはユーザーの行動が変わってきているから。ユーザーがクレームを伝えるとき、直接お客様係に言うのではなくて、あえてソーシャルメディアに書き込んで拡散を狙う人が多い気がしませんか?

 

ユーザー1人のクレームだと、なかなか会社は動きません。でもソーシャルメディアで拡散されて話題になれば、企業も対応を迫られます。最近はテレビなどでソーシャルメディアの炎上をニュースで報じることも増えてきました。ユーザーもソーシャルメディアの影響力が大きいことをよく知っています。

 

こうなると、もう他人ごとではないんですよね。そこで実際にソーシャルリスニングを使って危機管理をしている広報の4事例をもとに、炎上対策をまとめました!

 

4事例に学ぶ!ソーシャルメディアの炎上対策を実践する方法

 

「ソーシャルメディアの危機管理」とくくっていますが、企業によって目的や方法が結構違いますね。ここでは危機管理の実例を4つ紹介します。

 

事例1:近隣住民の動きをソーシャルメディアでチェックして、炎上に備える

 

全国に工場を持つある会社では、近隣住民の皆さんが工場についてネガティブな投稿をしていないか、ソーシャルメディア上で確認するためにソーシャルリスニングを行っています。ソーシャルメディアは近隣住民の心配や不安など本音がわかる点が、大きなメリットです。

 

ちなみにこの会社では、ネガティブな投稿があっても返信するなどの行動は起こしていません。ただこうした情報を集めておくと、年に数回ある住民とのコミュニケーションの場で役立つそうです。

 

普段から近隣住民についてソーシャルメディアでリサーチしておけば、クレームや風評被害への備えになるという考え方ですね。

 

この会社ではネガティブな投稿の拡散についても、対策をしています。工場ごとに「ネガティブな投稿が●●件以上になったら現場担当のスマホへプッシュ通知を送る」という設定にしているそうです。現場に通知が行けば素早い対応ができます。

 

事例2:ソーシャルリスニングで、社員のネガティブな投稿がないかをチェック

 

ソーシャルメディアでの炎上対策はBtoCだけではなくて、BtoB企業にとっても切実な問題のようです。特に従業員数の多い会社になると「社員のネガティブな投稿に対して危機管理をしたい」という目的が多いですね。

 

あるBtoBの会社では、過去に社員がネガティブな投稿をしたということがあって、それからソーシャルリスニングツールを検討したそうです。特にこの会社が懸念していたのが、採用活動への影響。パワハラやパタハラ(※)などに関わる投稿がソーシャルメディアで拡散すれば、新卒採用などにも大きなダメージになります。

 

この会社では広報部門がまず社員の投稿全般をチェック、気になる投稿があれば人事など各部門に引き継ぐそうです。

 

※パタハラとは、男性の育児参加をする権利を上司や周囲が侵害すること。パタニティー(Paternity)は父性という意味です。

 

事例3:炎上の原因を知るために、特定のアカウントの投稿をチェック

 

あるBtoC企業では、ネガティブ発言を繰り返す特定のアカウントに悩んでいたそうです。そこでこのアカウントの投稿内容・時期などを分析するため、ソーシャルリスニングを導入しました。そのアカウントが投稿している内容を見てきっかけや傾向がわかれば、対策もやりやすくなります。

 

炎上を最小限にとどめるには、炎上理由や拡散のきっかけを正しく把握することが大事です。例えば炎上の「発端となった人」とソーシャルメディアで「拡散した人」が別人だった、なんてことも結構あります。こんなときはソーシャルリスニングツールを使って「フォロワーが●●人以上のアカウントに絞って調べる」なんて方法もあります。

 

「うちの会社、しょっちゅう炎上してるんですよ」という方もたまにいらっしゃいますが、炎上理由や拡散の要因がわかれば、炎上は減らせるんじゃないかなと思います。

 

事例4:グローバル展開企業では、世界中のネガティブ投稿をチェック

 

グローバル展開している企業が世界中の投稿をチェックする事例もあります。ある日本の電気機器メーカーでは、エリア別でネガティブな投稿をチェックするためにソーシャルリスニングツールを使っています。

 

フランスやドイツなどでネガティブ投稿があった場合、日本から各国の担当者へ対応を指示することもあるそうです。

 

世界にいるユーザーの本音をまとめて分析できるのは、ソーシャルメディアならではじゃないでしょうか。ただ世界中のデータを収集するとものすごいデータ量になります。データ量に上限があるソーシャルリスニングツールだと、カギとなる投稿にたどりつけないことも。

 

細かい炎上まで気にするのは日本特有な気がしますが、ソーシャルメディアでの危機管理そのものは海外でも課題だと思っている人は多いですね。実際弊社Meltwaterでも海外向けに、ソーシャルメディアの危機管理に関する記事を発信しています。

Seven Golden Rules of Crisis Communications(英語版)

https://www.meltwater.com/au/blog/seven-golden-rules-of-crisis-communications/

 

 

ソーシャルメディアの危機管理をはじめるときの2原則

 

4つの事例を見ると、会社によって危機管理の目的が違うことにお気づきでしょうか?これからソーシャルメディアの危機管理に取り組むなら、まずは自社の課題に近い事例を参考に目的をはっきりさせるとやりやすいと思います。

 

とはいえ「危機管理をはじめるには具体的に何からすればいいか?」という疑問があるかもしれません。そこでベーシックな危機管理の流れをまとめました。

 

1)ネガティブな投稿をチェックできる体制をつくる

 

まずは自社に関連するネガティブな投稿があるかどうか、ソーシャルリスニングツールを使ってチェックできるようにしておきます。社名や商品名などのワードとネガティブワードの組み合わせを登録すれば、ソーシャルリスニングツールが日々自動的に対象の投稿を抽出してくれます。

 

例えば食品メーカーなら、商品名と「異物混入」といったワードを登録しておきます。ショップ運営企業なら、店舗名と「二度と行かない」といったワードを登録するパターンも多いですね(会社によってネガティブとみなすワードの種類や数はバラつきがあるようです)。

 

ただ自動抽出された投稿の全部を毎日見るのは、実際すごく大変です。「大きな変化があったら気づける」という体制づくりが、まずは大事だと思います。一般的なのは、●件以上ネガティブな投稿があったらアラートメールを送る設定にしているケースですね。

 

またMeltwaterツールの場合、「モーニングレポート」として、前日の動向を毎朝メールでお知らせする機能もあります。まずはこのレポートをチェックして、大きく件数が変動していたら詳しく状況を見る、という方も多いです。

 

こうやってソーシャルメディアの動きを見ておけば、炎上しそうな火種にいち早く気づけます。定期的な分析で「どんなことが炎上しやすい?」「特定のアカウントが原因?」なんていう傾向も見えてきます。

 

2)炎上してしまったら、時間との勝負!

 

もし炎上しはじめたら時間との勝負。対応が遅れてしまうだけで、炎上は加速します。

 

ここで重要なのが状況把握。どんなことで炎上しているか、どんな意見が多いかを知らないうちに対応してしまうと、逆に炎上が進む可能性も。ある会社の広報の方は記者会見をする直前、経営者と一緒にソーシャルメディアの投稿を見て質疑応答に備えたそうです。ソーシャルメディアなら、リアルタイムな世間の声がわかります。

 

時間との勝負とはいえ、その場限りの対応はかえってリスクがあります。例えば、炎上が収まりつつある中でおわびのリリースを出してしまうパターン。新たに問題を知る人が増えることで再炎上することもあります。

 

スピード感は大事ですが、一方で冷静に状況を見て判断することも必要。なのでソーシャルリスニングツールを使って、炎上の動きを時系列のグラフで見るのも有効だと思います。グラフで炎上のピークが過ぎているのか、炎上が続いているのか、といった状況が見えれば判断しやすくなります。

 

広報に求められているのは「ソーシャルメディアに普段から慣れること」

 

ソーシャルリスニングツールを危機管理目的で使う会社の中には、もともとあまりソーシャルを使っていない、見ていないというところも多いです。でもスピーディーで冷静な危機管理をしていくには、ある程度普段からソーシャルメディアに慣れておくことが大事だと思います。

 

炎上までいかなくても、メディアに取り上げられるとソーシャルメディア上でも大きなリアクションが起こるなんてことはよくあります。こんなときもソーシャルメディアの扱いに慣れている広報なら、より適切な対応ができるんじゃないでしょうか?

 

今の時代、ソーシャルメディアとニュースメディアのつながりは強くなっています。ソーシャルリスニングツールの中には炎上対策や危機管理に特化したものもありますが、それだけだと広報の対応が追いつかないのでは、と感じます。

 

これからの広報は、ニュースメディアとソーシャルメディアの両方を、まとめてモニタリングできることが必要になってきています。このあたりは次回詳しくお伝えします! 

ソーシャルリスニングで売上UP?マーケティングリサーチ活用事例

前回のブログで紹介したように、日本企業も中国など海外のソーシャルメディアの影響を大きく受ける時代。こうなると従来の地域を絞ったマーケティングリサーチでは足りなくなってきました。

 

そこでソーシャルメディアの分析、いわゆる「ソーシャルリスニング」をマーケットリサーチに使うという新しい手法も出てきました。ソーシャルリスニングなら、世界中にいるユーザーの声を収集できます。これを活用してヒット商品を生み出したり、マーケティング戦略を見直したりする事例もあります!

 

海外の企業でも、ソーシャルメディアを分析しているマーケティング部門は多いですね。実はソーシャルメディアは、口コミやトレンド情報の宝庫なんです。

 

そこでソーシャルリスニングでどんなマーケティングリサーチができるのか、成功事例をもとに解説します。

ソーシャルリスニングで売上アップ?マーケティング活用事例

 

先日たまたま見つけて面白いなと思ったのが、イギリスの菓子メーカー「キャドバリー」社の事例。過去に販売したチョコレートバーを復活してほしい!というソーシャルメディアの投稿を、担当者が偶然見つけたそうです。そこで同じ要望がどれくらいあるか分析。結果をもとに再発売したところ、ヒットにつながったという話でした。

 

消費者の声をきっかけに再発売したのも面白いですし、再発売後ソーシャルメディアで拡散されてヒットしたというのも興味深いですね。こういうマーケティングができたのも、ソーシャルメディアの活用があってこそだと思います。

 

これは海外の事例ですが、日本でもソーシャルメディアを分析してマーケティングに生かすところは増えています。弊社クライアントさまのユニークな事例を紹介したいと思います。

 

事例1:ソーシャルメディアからユーザーの声を集めて、新商品を開発

 

あるコスメブランドでは、シートマスクの改良にソーシャルメディアのデータを活用しました。ソーシャルメディアでシートマスクの課題や使い勝手を分析したところ、「シートが薄くて頼りない」という声が多いことが判明しました。そこでより厚手のシートを使った新商品を発売、大ヒットにつながったそうです。

 

この事例では自社の商品だけではなくて、シートマスク全般の意見を分析できた点が成功につながったのかなと思います。

 

事例2:ソーシャルリスニングの結果をもとに、マーケティング戦略を見直し

 

ある食品メーカーでは、自社商品のヨーグルトを購入するきっかけやどんなシーンに食べるかについて、ソーシャルリスニングツールを使って調査しました。

 

マーケティング部門としては、スナックとして食べることを想定していたそうです。でも実際はダイエットや朝食など他の用途も多いことが判明。これをもとにマーケティング戦略を見直したといいます。ソーシャルリスニングをしなかったら、気づかなかったかもしれないですね。

 

事例を見ると、企業によってソーシャルリスニングの目的や使い方が全然違います。ソーシャルメディアのデータは使い道が広い!ということをわかっていただけると思います。

ソーシャルメディアは宝の山!?世界のトレンドがリアルタイムでわかる

 

「ソーシャルメディアは匿名掲示板みたいなコメントばかりで、ビジネスに役立たないのでは」という声も、まだあるようです。特に日本だと匿名で書き込めるTwitterの利用者が多いことも影響しているかもしれません。でも、だからこそ世間のダイレクトな本音がわかるソーシャルメディアは、ユーザーの行動や意見が集約された宝の山なんです!

 

例として、弊社Meltwaterのシンガポール支社が作った「Beauty Industry Report」(英語版)を紹介します。これはソーシャルメディアを分析して、シンガポールを含めた東南アジアの美容業界トレンドを独自にまとめたものです。

 


*Beauty Industry Reportをご覧になられる場合は、上記画像をクリックしてください。

 

例えば「コスメのカテゴリーの中で、何が一番話題になっているか」といったこともわかります。実はLipsの話題が半数近く占めていて、Face、Eyes、Cheekよりも圧倒的に多いんです。

 

さらにブランド別の傾向なんかもわかります。競合他社も分析できるところは、ソーシャルリスニングの強みだと思います。

 

他にも「東南アジアで今、日本のコスメブランドの人気が復活しつつある」「東南アジアの中で美容に関する話題の比率が高いのはインドネシア」なんてことも見えてきます。このあたりビジネスに役立ちそうじゃないですか?

 

・ソーシャルメディア分析なら、トレンドを数値化できる

 

ソーシャルリスニングは、トレンドを数値化できるのがメリットですね。「なんとなく今流行ってる」ではなくて「投稿数全体の〇%をこの話題が占めている」みたいに市場の動きを数値化できます。

 

・マーケットリサーチにかかる時間と費用を節約

 

ソーシャルメディアは、ユーザーが自ら勝手にコメントを書いてくれています。だからソーシャルリスニングツールを使えば、情報を集める手間はほとんどかかりません。

 

もし同じようなデータを聞き取り調査で集めたら、莫大な時間とお金がかかるんじゃないでしょうか?トレンド変化のスピードが速い業界になると、手間暇かけて調査をしている場合じゃないかもしれません。

 

以前弊社のイベントで講演いただいた、資生堂のビー・アサヴァジャル氏も「ソーシャルメディアを使って、ユーザーのニーズにすぐ対応できる会社がシェアを伸ばしている」と語っていましたね。

 

【参考】講演内容はイベントレポートに掲載されています。

 

・世界全体もエリアを限定した分析もできる

 

「Beauty Industry Report」は東南アジア版ですが、他の国で行ったら全然違う結果になると思うんですよね。美容業界は国によってニーズが大きく違いますから。例えば東南アジアの高温多湿な気候とアメリカ西海岸の乾燥した気候では、好まれる機能とか質感も変わってきます。

 

ソーシャルリスニングは世界を対象にした分析もできますし、投稿エリアで絞り込んだ分析もできます。このあたりも幅広くマーケティングリサーチに使えるところだと思います。

 

今回はシンガポールでまとめたレポートの紹介でしたが、Meltwaterでは世界各地でいろいろなレポートを作って公開しています。日本でもこうした取り組みを進めていきたいと思っています。

ソーシャルリスニングでマーケットリサーチを始めるときのコツ

 

ソーシャルメディアでトレンドがわかるといっても「投稿を全部読む暇がないし、集計の手間が増えるのは避けたい」という方がほとんどだと思います。

 

ソーシャルリスニングではツールを使うのが基本。ソーシャルリスニングツールと呼ばれるものは、日本にもいろいろあります。たいていのツールは社名やブランド名を登録すれば関連する投稿を自動で分析してくれるので、扱いやすいツールだと思います。

 

ただしソーシャルリスニングツール使ってマーケティングリサーチをする場合、おさえておきたいポイントが2つあります。

 

(1)ソーシャルリスニングで分析できるデータ量の問題

 

自社に関する投稿を調べるときと比べて、マーケットリサーチでは対象のデータ量が圧倒的に増えます。一方でツールやサービスによっては、調べられるデータ量に上限を設けているところも。データ量の上限について、あらかじめ確認しておくことをおすすめします。

 

(2)ソーシャルメディアとあわせてニュースメディアもチェックすること

 

例えば他社サービスが急にソーシャルメディアで話題になっていたら、メディアで取り上げられた可能性があります。ニュースメディアの分析もまとめてできれば、よりユーザーの動きやその要因を掘り下げられるのでは。

 

「ソーシャルメディアとニュースメディアをまとめて分析できるか」という点も、ツールを選ぶときのポイントになると思います。

ソーシャルリスニングでビジネスの結果を出すには「仮説」が必須

 

事例にもありましたが、弊社のクライアントさまもソーシャルメディアの使い方に変化が出てきています。少し前はソーシャルメディアというと、ネガティブな投稿がないかといった情報収集がメインでした。

 

情報収集も大事ですが、最近はさらに踏み込んでソーシャルメディアをマーケティングデータとして活用するところが多くなってきたと感じます。

 

自社の評価や業界トレンドを把握するなど、ソーシャルメディアのデータには無限の使い方があります。この宝の山を使わないと、本当にもったいないと思います!

 

とはいえソーシャルリスニングツールを使ってなんとなくデータを見ているだけでは、ビジネスへの活用は難しいです。コスメブランドを例にすると、「Lipsの市場調査をしたい」だけではざっくりしすぎ。

 

目的をもとに「こんな属性の人たちが、こんな理由で、こういう質感のLipsを求めているのでは?」みたいな仮説があると、データの見方が変わってきます。

 

ソーシャルメディアはデータ量が膨大なので、仮説がないと方向がブレやすいんですよね。答えとなるデータはツールで出せても、答えを出すための計算式は人が考える必要があると思うんです。

 

そこで次回のブログはソーシャルリスニングをする上で重要な、「仮説の立て方」について考えていきます!