プレスリリース配信すべき?と思った時の 3つの質問

プレスリリース配信すべき?と思った時の 3つの質問

Meltwater
20 September 2017

「これはプレスリリースを出すに値するニュースなのか?」誰しも絶えず耳にする疑問でしょう。

実際、PRに携わる人間が”ビッグニュース”を発表するプレスリリースを出して欲しいというリクエストを受けること無く一週間が過ぎることはまず無いのですから、こうした疑問には正面から向き合いましょう。プレスリリースに値するかどうかの判断には人それぞれ違った基準があると思いますが、こうしたリクエストは必ずしもいつも筋が通っているものばかりとは限らない、という点では全員の意見が一致するのではないでしょうか。プレスリリースを出すことが、個々のビジネスの目的にぴったりマッチする場合(ニュースバリューがある、パートナーシップ締結の発表である、SEO的にも注目度が高い,企業としてのメッセージを届ける等々)も往々にしてあります。しかし、時として本当にニュースにするような価値が無かったり、ストーリーのアイデアが意味をなさないケースがあるのも事実です。そこで私は、プレスリリースのリクエストを受けた時に、それがベストなアクションなのかを判断するために次の3つの質問をすることにしています。

しかしまず、なぜ社内で頻繁にプレスリリースを出せと言われるのかを理解するために、配信プロセスの進化とあなたの周りの人がプレスリリースの効果をどのように受け止めているのかに目を向けてみたいと思います。

プレスリリース配信の今昔

かつて:15年以上も広報を経験している人間にとって、ある時までプレスリリースは最も大切な武器でした。その当時、記者は皆ストーリーを求めてワイヤー配信をチェックしていて、いま思うと不思議な時代でした。
私が初めて書いたプレスリリースのことは忘れもしません。当時私は大学の総務部門で働いていて、新しいミュージックセンターの設立資金が集まったことに関して発表をしようとしていました。これは本当にビッグニュースでした。その頃は私の経験もまだまだ浅く、私のPR活動における初めての上司であったアンドレが、プレスリリースとはどのようなものなのかを丁寧に指導してくれました。一緒にリリースを書いてその日の夕方にはワイヤーサービスと地元の新聞社に持ち込むことができました。私はすっかり興奮していましたが、アンドレからは、すべてのプレスリリースがプレスの目に止まるとは限らないので電話をかけてフォローアップする必要があると説明を受けました。
そこで、何人かのレポーターに我々がプレスリリースを出したことを知らせ、ワイヤーを見てくれるようにメッセージを残しました。ちなみにこれは編集部で電子メールがまだ一般的でなかった頃の話で、普段はすべて電話でやりとりをしていました。
その晩、実際に記者の誰かと直接話をしたかどうかの記憶はありませんが、次の日のことは鮮明に覚えています。オフィスに着くとアンドレが地元紙を私の方に投げてきました。その新聞のセクションBの6ページ目には私の書いたストーリーが載っていました。しかも、ただ私のストーリーが書かれていたのではなく、私の書いたプレスリリースそのものが一言一句そのまま印刷されていたのです! 本当に誇らしい気分でした。私のプレスリリースが地元紙の記事とになって、きちんとその役目を果たしてくれたのです。
現在:今日のプレスリリースはあの頃とは違うものとなっています。プレスリリース自体が変わったわけではなく、その配信の仕組みが変わったのです。そして今日のプレスリリース配信の性質によって、広報部門の外の人々がリリースの成功を錯覚し、リリースを極度に礼賛することにつながっています。ワイヤー配信自体は素晴らしいものですが、それを正しく使って、適切な期待値を設定するためには、配信の仕組みを理解しなければなりません。

前述の時代には、プレスリリースはまだ当たり前の手段ではありませんでした。出すための敷居は高く、大多数の企業では、現在存在しているような多数のオンラインのワイヤーサービスで毎日大量のプレスリリースを出すようなことはありませんでした。インターネットはまだ発達しておらず、ワイヤーサービスはニュースを配信するために喜んで料金を払う広報関係者と、ストーリーを探す編集者のためだけのものでした。
しかし今日では少ない予算でもオンラインワイヤーサービスを使って誰でも配信が可能となり、それによってプレスリリースは自ら選択した配信エリア内のあらゆるニュースサイトに載ることになります。しかしこれは良いことでもあり、悪いことでもあります。
ワイヤーサービスに料金さえ払えば、数百とまではいかなくとも数十のニュースサイトに載るのはほぼ確実となります。プレスリリースが転載されれば確実にプレスリリースが広まり、ニュースサイトでも一般の検索サイトからでも見つけられるようになります。会社とニュース自体のいい露出になるし、プレスリリースの効果自体も長持ちするようになります。

しかしその一方で、ワイヤー配信したプレスリリースがニュースサイトに掲載されると、社内の、しかも広報部門以外の人々に露出状況に関しての間違った印象を与え、もっとプレスリリースを出して欲しいというさらなるリクエストが来るようになります。私はこうした状況に至ると、いつも説明に窮してしまいます。確かにリリースはLAタイムズのようなニュースサイトには載ったけれど、LAタイムズのニュースサイト上やグーグルでわざわざ検索することなく、その記事を見つけることができるのでしょうか?
答えはNOです。シンジケーション向けに配信されたプレスリリースは検索されず、ニュースサイトのホームページや関連トピックごとのページを見てもプレスリリースへのリンクがついているわけではありません。つまり、読者や顧客たちがそのニュースをわざわざ直接検索しない限り、彼らの目にはそのニュースは届かないのです。配信したニュースは確かに人々に見てもらえるものの、一部の人々がそう信じていたり、期待している数の人々の目に触れるわけではないのです。
上記で述べたワイヤー配信にはメリットもあって、もしあなたの会社の事業目的にマッチしていればそれは理に適ったものとなります。ですから、広報部門以外の社内の人々の思い違いを避けるためにも、彼らにワイヤー配信の仕組みを理解してもらうようにすることが大切です。
プレスリリースの仕組みと広報の外の社内の人々がリリースを出したがる理由を理解すると、PRの立場から論理的に、プレスリリースを行うことが理に適っているかを判断する手助けになるような質問をすることが可能となります。
プレスリリースの必要性を評価するための3つの質問
表面上、そのニュースがプレスリリースに値するかを判断するにはニュースバリューテストだけで十分と思われるかもしれませんが、実際のところ、それは重要な質問の一つに答えることにしかなりません。
ニュースバリューテストからは、ストーリーがあるかどうかしかわかりません。直接ピッチしたり、メールでアプローチするのではなく、プレスリリースを書くべきかどうかをを精査すると、プレスリリースに値するだけのビジネス上のニーズがあるかどうかが明らかになります。

質問1: プレスリリースすることにビジネス上の意味はあるのか?

私の場合、誰かにプレスリリースを書くように頼まれたら、「いいアイデアだね! で、このプレスリリースで達成したい目的は何かな?」と返します。
この質問をすることで話がプレスリリース自体からプレスリリースで解決しようとしているビジネス上の問題に移ることになります。私の経験では、この質問に対する答えが、ニュースそのものにバリューがあるから、というものだったケースはほとんどなく、むしろ大抵の場合、ビジネスの観点から理にかなっているからというものでした。社内のビジネス部門の人々は、プレスに直接アプローチするよりもプレスリリースの形で、新たな提携先や、新商品、プロモーション等、様々な形でセールスに貢献する情報を発信したいと考えています。たとえその中身にニュースバリューがない案件でも、プレスリリースに意味のある場合もあります。このような場合、プレスリリース配信をリクエストした人の期待値さえ初めにコントロールできていれば、プレスリリース配信すること自体に問題はありません。

質問2: 社外の人々にとってこのニュースに意味はあるのか?

これは結構聞きづらい質問で、相手を身構えさせてしまうかもしれませんが、重要な質問です。人が常に100%客観的でいることはとても難しく、自分にとってエキサイティングなニュースだったら、他の人にとっても同様に違いないと思いがちです。ただ、プライベートの場合と同様、ビジネスにおいても、残念ながらそうはいきません。社外であなたの会社に影響力を持つ他のグループ―例えば顧客、プレス、提携先、有望顧客等―にとってエキサイティングなニュースでないならプレスリリースはやめるべきかもしれません。

質問3:このニュースをプレスリリースの形で知らせなくてはならない理由はあるのか。

もし、リクエストされたプレスリリースの内容のニュースバリューが高く、現実的なビジネスの目的があったとしても、プレスリリースの形をと必要があるのでしょうか?媒体に直接話を持ち込んだほうがいいのでしょうか?あなたの社内の依頼元はカスタマーとの直接コミュニケーションとかメールベースでの発信を望んでいるわけではないのでしょうか?
これまでの経験から、広報以外の人がプレスリリースのリクエストをして来る場合も、PR活動の仕組みが分かっていなかったり、ニュースにするための唯一の手段がプレスリリースだと考えていたりする場合が多々あります。となると、プレスリリースがニュースを記者や狙ったターゲットに届けるためのベストな方法なのかを判断することは私たちPR専門家の仕事になります。

以上3つの質問を社内のビジネスパートナーに投げかけることでプレスリリースをすることが正しいやり方なのかの判断に役立つことはこれまでの経験から証明されています。どの答えが返ってくればプレスリリースOKで、どの答えが来たらプレスリリースを出すべきでないかをきっちり、素早く判断できるルールはどこにもありません。しかし、これら3つの質問をすれば必ず状況分析に必要な情報が得られ、ビジネスとして理にかなった判断が可能となります。
この一般的な評価システムを身につけていただければ、プレスリリースをリクエストした人もきちんと担当者と話ができたことで納得し、あなたがチームとして下した判断も尊重してもらえるはずです。もちろん中にはノーと言われて不快に思う人もいるかもしれませんが、理由は分かってもらえるはずです。