デジタル時代における広報担当者の難関

プレスリリースを記者一人ひとりにファックスで配信する、というのは今ではあまり聞かない作業ですが、このブログを読んでいる方の中には経験者も少なくはないでしょう。

配信にファックスを使う、という時代からインターネットが生活の一部の今、PR職の我々にとっては仕事内容がだいぶ変わりました。インターネットがあることにより便利・効率良くなったことがほとんどですが、それと同時に新たな課題・難関が浮上しているのも事実です。

このブログ投稿では「デジタル」がPRプロに与える影響について考えたいと思います。

危機管理ーもう対策時間に余地はない

クライシスが起きた時、事態に対応する時間・対応が求められている時間がどんどん短くなっています。

「クリティカル・コミュニケーションズ」の設立者でサウスウェスタン大学の准教授でもあるジョン・トンプソンは世界を代表するIT企業との職務経験があります。Intel、DellやMotorolaなどと仕事の経験のあるトンプソン氏はインターネット界で初(と言っても過言ではない)クライシス、1990年代Intelの「ペンティアム・ポロセッサー クライシス」も間近で対応経験があります。

時代の変化について「その頃はメディア対応をするのに何時間も時間がありました。今ではその時間が「何分」の世界に短縮され、私達は的確な対応をすることが求められている」とトンプソンは言います。

クライシスが起きた時、企業は早急な対応が求められます。起こり得るシチュエーションを全て想定し、事前に対応策を準備しておくのが必要です。消費者はクライシスが起きた時に企業の対応を観察し、SNSで厳しく批判することがあります。対応の仕方によっては企業としてレピュテーションを持ち直すのがとても難しくなります。

Polycomでグローバル・コーポレート・コミュニケーションズをリードしており、Appleの広報チームで10年の経歴のあるキャメロン・クレイグは通販サイト「Zappos」の危機管理手法を良い事例として紹介しています。大幅なリストラをしなければいけなくなった時、Zapposは社内向けメッセージを社外向けサイトにも載せたのです。

「リストラは受け入れづらいニュースですが、Zapposの対応の仕方はブランド力を強めました。消費者は企業の透明性を評価したからです。」とクレイグは説明します。

ニュースを「秘密」にする

クレイグは秘密を守るのもインターネットの為さらに難しくなっている、と話します。
Appleに勤めていた時代、新製品の発表は当日まで守ることが可能でした。
「今は製作に時間が掛かればかかるほど、発表まで詳細がリークされないことが難しくなっています。」
このような時、クレイグは情報がリークされた場合、受け入れるのが一番とアドバイスします。ブランドによってはわざと情報をリークする場合もあるでしょう。

同じく、Appleでは社内イントラネットで最新ニュースを紹介した際にそれがリークされる、ということが起きましたが、実はリークされることを見越していたのではないか、と考える人もいます。

クレイグはこのようなシチュエーションに対し、「社内・外のコミュニケーションズの壁がなくなってきているのであれば、コミュニケーションの仕方を変えるべき」と提案します。

広報担当者の直面する倫理的問題

倫理的な問題は時代に沿って変わっているのでしょうか?思っているよりは変わっていないかもしれません。クレイグとトンプソンは移り変わりについて以下のように話しています。

クレイグ:「変わった面もありますが、どちらかというとあまり変化はありません。記者からくる質問に対しても、一つ一つ評価し、ブランドに対してどのような影響を与えるか、など全てを考える必要があります。」

トンプソン:「広報担当者は常に物議を起こすようなトピックの対応をすることが求められています。社内議論の結果、個人としては納得のいかない結果でもリリースを書くなり、行動に移さないといけないこともあります。このようなことは時代を問わず起きています。ただ、今はトピックに対して誰もが意見を持ち、議論することができるようになっています。そこが広報担当者としては悪夢のようなシチュエーションなのです。」

企業のメッセージングの必要性を理解している広報担当者にとってデジタル時代はメッセージングのドライバーになる良いチャンスです。

インターネットで誰もが編集長に

インターネットの普及で広報担当者を悩ませていることもある反面、チャンスとなっている部分もあります。独自のコンテンツ配信ができることはチャンスの一つです。

「LinkedInやMedium、そしてハフィントンポストなどから独自のコンテンツを投稿するのはとても簡単にできます。効率良くこのようなプラットフォームを使用することで一から始めるよりも大きなオーディエンスにリーチすることが可能です」ークレイグ

トンプソンは「多くの企業はまだ独自のコンテンツ作成・配信と企業ストラテジーを繋げる、最初の段階にいる」と企業の現状の見解を話します。「クリック数を数えることにフォーカスを当ててしまい、業界での立ち位置を確立する、ということが目標の二の次になっています。人気アニメの画像を投稿すればクリック数は増えますが、決して業界での立ち位置を確立することには繋がらないでしょう。」

広報担当者の役割は進化し続けています。

今求められているコンテンツはセールスピッチではなく、記者が書いたかのようなコンテンツで内容に興味を持った人が純粋に「読みたい」と思ってくれるようなものです。

このような方向転換で新しいチャレンジに直面しますが、その難関のおかげで良い方向にコミュニケーションズ活動を進めることができます。広報担当者は常に進化し続け、時には慣れ親しんだ手法を捨て、次のステップに進むことが必要です。

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執筆者:Meltwater, Michelle Garrett

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